三体ゲームの謎を解くため、物理学者の汪淼(ワン・ミャオ)は、ある重要な人物に助言を求めることを決意します。一方、刑事の史強(シー・チアン)は、科学界で続く不可解な事件の背後にある思想的な対立を嗅ぎつけ、独自に調査を進めていました。そして、物語の鍵を握る老科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)の口から、これまで謎に包まれていた彼女の過去が語られ始めます。雪深い山奥に存在する最高機密施設「紅岸基地」。そこで彼女が経験したこととは何だったのか。物語は核心へと迫る新たな局面を迎えます。
「三体」あらすじネタバレ13話
三体ゲームの攻略に頭を悩ませる汪淼(ワン・ミャオ)。「答えはすべてゲームの中にある」という申玉菲(シェン・ユーフェイ)の言葉を信じ、宇宙の揺らめきの謎は太陽の運行法則を解き明かせばいいんだと、光明を見出し始めます。でも、それには天体物理学の専門知識が不可欠…。そこで史強(シー・チアン)が「強力な助っ人がいるじゃないか」と背中を押したのが、あの葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)でした。
史強(シー・チアン)にしてみれば、娘である楊冬(ヤン・ドン)の死に対してあまりに冷静な葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)の態度がずっと引っかかっていたんです。彼女に接触することで、何かボロが出ないか試したいという思惑もあったわけですね。
その頃、史強(シー・チアン)はジャーナリストの慕星(ムー・シン)にも接触。彼女の書く記事が、やたらと科学の危険性を煽る内容ばかりなのをいぶかしんでのことでした。一方、申玉菲(シェン・ユーフェイ)は海外の科学者が惨殺されたニュースを見て激昂し、潘寒(パン・ハン)に詰め寄ります。どうやら彼らは同じ組織に属しながらも、思想の違いで激しく対立しているようです。
汪淼(ワン・ミャオ)は意を決して葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)のもとを訪ね、三体ゲームで見た「飛星」について質問します。すると彼女は、まるで見てきたかのようにその光景を語り始めるのです。さらに汪淼(ワン・ミャオ)の研究室に招かれた葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は、参考になるからと2冊の本のタイトルを書き記しました。
そして汪淼は、以前からの疑問をぶつけます。「あの時、別の場所へ行ったと…」。その言葉に、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は重い口を開きました。彼女が送られた場所、そこは「紅岸」と呼ばれていました。
時は文化大革命の時代に遡ります。絶望の淵にいた若き日の葉文潔は、ヘリコプターで雪深い山奥の基地へと運ばれました。そこで彼女を待っていたのは、紅岸基地の責任者である雷志成(レイ・ジーチョン)と、総責任エンジニアの楊衛寧(ヤン・ウェイニン)。楊衛寧(ヤン・ウェイニン)はなんと、彼女の父の教え子だったのです。彼は葉文潔の論文を読み、大きなリスクを冒して彼女をこの基地に呼び寄せたのでした。
「ここに入れば、一生外には出られないかもしれない」。楊衛寧(ヤン・ウェイニン)はそう忠告しますが、葉文潔は「ここで一生を終えてもいい」と迷いなくその門をくぐります。俗世から隔絶されることこそ、彼女が望んでいたことだったのかもしれません。
汪淼が「紅岸基地とは一体何をする場所なんですか?」と尋ねると、彼女は静かに語り続けます。
そこは、巨大なアンテナがそびえ立つ、大型兵器の研究プロジェクトを進める最高機密施設でした。ある日、葉文潔は施設の入り口で、凄まじい光景を目の当たりにします。空を飛んでいた鳥の群れが、何の前触れもなく一斉に地面に墜落して死んでいくのです。同時に、肌が焼けるような熱さと痒みが全身を襲いました。巨大なアンテナが発する強烈な電磁波の影響でした。
しかし、そんな異様な場所でありながら、若き葉文潔は不思議な安らぎを感じていました。厳しい監視も、俗世のしがらみに比べれば気にならない。彼女はよく峰の頂上に登り、ただ静かに太陽を眺めていたと言います。北部林場で絶望していた時に見上げていた空の先に、この場所はあったのです。「ここがどんどん好きになった。一生ここにいてもいいと思った」と語る彼女の横顔に、汪淼は言葉を失うのでした。
『三体』第13話の感想
これまで断片的にしか語られなかった葉文潔の過去が、ついに物語の核心である「紅岸基地」と結びつきました。今回のエピソードは、その序章として非常に見ごたえのある内容でした。文化大革命で全てを失った彼女が、最高機密の軍事施設という閉鎖的な環境に、皮肉にも安らぎと居場所を見出していく過程が丁寧に描かれています。彼女の口から語られる過去の風景は、どこか物悲しくも美しく、その後の彼女の選択に繋がるであろう複雑な心境を深く感じさせました。希望と絶望が入り混じる彼女の回想シーンは、物語全体に重厚な深みを与えています。これから明かされる「紅岸」の真実が、現代の事件にどう影響してくるのか、目が離せません。
つづく