第14話は、若き日の葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)が紅岸基地で過ごした日々と、そこに渦巻く人間模様が描かれ、息をのむ展開でしたね。過去のピースが、現在の謎にピタリとはまっていく感覚…。今回も、その詳細なあらすじとネタバレを語っていきたいと思います!

物語は、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)が紅岸基地に到着した直後から始まります。彼女は当初、正式な仕事を与えられず、監視の目が光る中で雑用をこなす日々を送っていました。監視役の警備員ですら、「彼女は一体何をしたんだ?」と不思議に思うほど。

しかし、彼女の非凡な才能は隠しきれません。機械の清掃中に、その鋭い観察眼で機器の不具合を見抜いたことで、基地の責任者の一人である楊衛寧(ヤン・ウェイニン)に認められます。ただ、楊衛寧(ヤン・ウェイニン)は彼女の亡き父の話になると、決まって言葉を濁すのでした。葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)の理論が父親と大きく異なることに、彼は驚きを隠せない様子でした。

その才能と知識が評価され、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)はついにメンテナンス担当という正式な役職を得ます。これは彼女にとって、長い苦難の末に手にした「認められた」という実感であり、その顔には久しぶりに心からの笑みが浮かびました。

孤独を好むかのように、彼女は食堂には行かず、仕事場で一人食事をとるのが常でした。そんなある日、再びロケットの発射実験が行われますが、またしてもトラブルが発生。葉文潔はすぐさま発射室に駆け込み、エラーの原因がベテランの老劉(ラウ・リウ)のデータ入力ミスであることを見抜きます。

その直後、彼女は楊衛寧と老劉(ラウ・リウ)が激しく口論しているのを目撃します。老劉は自分のミスではないと主張し、楊衛寧が責任を押し付けようとしていると非難。葉文潔は老劉の能力を惜しみ、彼を解雇しないでほしいと楊衛寧に伝えますが、実は真相は違いました。楊衛寧は、老劉が自ら基地を去りたがっており、わざとミスをしていたことを見抜いていたのです。このプロジェクトの核心に一度入れば、一生を捧げることになる。老劉はそれを理解し、自ら身を引こうとしていたのでした。

老劉の後任として、もう一人の責任者である雷志成(レイ・ジーチョン)が葉文潔を強く推薦します。しかし、楊衛寧は彼女の過去の「過ち」を理由に、核心的なポストに就けることに強く反対。二人の意見は対立しますが、最終的に雷志成(レイ・ジーチョン)の意見が通り、葉文潔は後任に抜擢されます。楊衛寧は彼女に「余計なことには関わるな」と、改めて釘を刺すのでした。

雷志成は葉文潔を全面的に信頼し、資料室へのアクセスも許可します。彼は葉文潔に「紅岸システムは、巨大な電子レンジのようなものだ」と、その機能の一端を明かしました。軍人らしい率直さで接してくれる雷志成に、葉文潔は心からの感謝と帰属意識を感じ始めます。

しかし、その会話を耳にした楊衛寧は、雷志成が機密情報を漏らしていると激しく非難。雷志成は「成果を出すためには彼女の力が必要だ」と反論しますが、この一件がきっかけとなり、葉文潔は発射部門から異動させられてしまいます。

この時から、何かが変わり始めました。後に葉文潔が知ることになるのですが、雷志成が語った「巨大な電子レンジ」という話すら、真実の一部を隠すための嘘だったのです。紅岸の本当の目的は、彼女の想像を遥かに超える、恐ろしくも壮大なものでした。

そして、物語は現代へ。葉文潔からこの過去の話を聞いた汪淼(ワン・ミャオ)は、史強(シー・チアン)にすべてを報告します。話を聞いた史強(シー・チアン)は、楊冬(ヤン・ドン)と楊衛寧の関係性(親子関係)に鋭く気づきます。それは汪淼(ワン・ミャオ)も薄々感じていたことでしたが、直接本人に尋ねることはできませんでした。史強は、一連の事件の最大の謎は、葉文潔その人にあると確信し、彼女への疑いをさらに深めていくのでした。

『三体』第14話の感想

今回のエピソードは、若き日の葉文潔が紅岸基地で経験した、希望と裏切りが静かに描かれた秀逸な回でした。彼女が自らの才能で居場所を見つけ、久しぶりに笑顔を取り戻すシーンには、思わずこちらの心も少し温かくなりました。しかし、その安らぎが長くは続かないことを、私たちは知っています。楊衛寧の過剰なまでの警戒心と、雷志成の功を焦るような信頼。この二人の対照的な態度が、葉文潔を更なる運命の渦へと巻き込んでいく様子は、非常に巧みな脚本だと感じさせられます。特に、雷志成が語った「巨大な電子レンジ」という言葉が、真実を隠すための巧妙な嘘だったと明かされる構成には唸らされました。一つの信頼が、実はより大きな欺瞞の始まりだったという展開は、物語に深い奥行きを与えています。過去の出来事が、現代の汪淼と史強の捜査に直接的なヒントを与えていく流れも鮮やかで、静かながらも濃密な緊張感が全編を支配していました。

つづく