ナノ科学者の汪淼(ワン・ミャオ)は、刑事の史強(シー・チアン)と共に、物語のすべての始まりである場所「紅岸基地」へと向かう。同じ頃、物理学者の申玉菲(シェン・ユーフェイ)もまた、ある重要人物と共に行動を起こしていた。彼らが乗る列車で不穏な事件が発生し、それぞれの思惑が交錯する。一方、先に目的地に到着した葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は、過去と向き合い、未来のための重大な決断を下そうとしていた。廃墟となった基地で、ついに世界の根幹を揺るがす秘密の扉が開かれようとする。
「三体」あらすじネタバレ17話
物語は、史強(シー・チアン)が常偉思(チャン・ウェイスー)に、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)の機密解除されたファイルを持ってこいと急かす、相変わらずの強引さで幕を開けます。葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)と申玉菲(シェン・ユーフェイ)が同じ日に同じ目的地へ向かう。この偶然の一致に、史強(シー・チアン)の刑事の勘が「何かある」と警鐘を鳴らすわけです。その目的地とは、かつての紅岸(こうがん)基地がある場所。史強(シー・チアン)は汪淼(ワン・ミャオ)を巻き込み、真相を探るべく後を追うことを決意します。
その頃、まさにその渦中にいる申玉菲(シェン・ユーフェイ)は、列車の中で不気味な電話を受けます。「お前を殺しに来る奴がいる」と。電話の指示通りに行動すると、間一髪で暗殺者の手から逃れることができました。彼女を救ったのは、なんと地球三体組織(ETO)の統帥、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)その人でした。このシーン、痺れましたね。これまで謎に包まれていた葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)の、組織のトップとしての顔が垣間見えた瞬間です。
葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は、もはやこの列車は安全ではないと判断し、次の駅で降りることを決断します。彼女の口から語られる「救済派も降臨派も、元々はない」という言葉は重い。人間がそれぞれの思想で派閥を作るように、主(三体文明)もまた、救済か破滅かを選ぶのだろうか。そんな哲学的な問いを投げかけながら、彼女たちは静かに列車を降りました。
一方、ヘリコプターと列車を乗り継いで必死に追いかける汪淼(ワン・ミャオ)と史強。しかし、彼らが乗った列車で殺人事件が発生し、足止めを食らってしまいます。車内にいるはずの葉文潔と申玉菲(シェン・ユーフェイ)の姿はなく、史強は汪淼(ワン・ミャオ)に葉文潔へ電話をかけさせます。電話口の葉文潔は、友人の車で紅岸基地に向かっていると冷静に答えます。ここで汪淼が「紅岸基地を見てみたい」と伝えると、あっさりと了承。このやり取りの裏で、一体どんな思惑が渦巻いているのか…。
先に紅岸基地に到着した葉文潔は、申玉菲に観測設備の撤去を命じます。主からの通信が途絶えた今、これまでのやり方を見直す必要があるのかもしれない。彼女は申玉菲を北京へ帰らせると、その携帯で潘寒(パン・ハン)に連絡を取り、降臨派のトップである伊文斯(エヴァンズ)との面会を要求します。組織内のパワーバランスが、大きく動こうとしているのを感じさせます。
ついに汪淼は、迎えの車に乗り、今は廃墟となった紅岸基地へと足を踏み入れます。そこで待っていたのは、静かな佇まいの葉文潔。彼女は汪淼を伴い、朽ち果てた基地の中を歩き始めます。そして、自分がかつて所属し、この場所の本当の目的を知ることになった「監視部門」の前で、重い口を開くのでした。物語は、ついにすべての始まりの場所で、その核心が語られようとしています。
『三体』第17話の感想
今回は、物語の舞台がすべての原点である「紅岸基地」へと移り、物語が大きく動く前の静かな緊張感に満ちたエピソードでした。派手な展開はないものの、登場人物たちの心理的な駆け引きや、水面下で進む組織内の権力闘争が丁寧に描かれており、非常に見ごたえがありました。特に印象的だったのは、統帥としての葉文潔の姿です。これまで見せてきた穏やかな老科学者の顔とは全く違う、冷静沈着で、時には非情とも思える決断を下すリーダーの顔。彼女が背負ってきたものの重さと、その複雑な内面が垣間見え、キャラクターの奥行きが一層深まったように感じます。汪淼が彼女と共に過去の秘密へと足を踏み入れていく最後のシーンは、これから明かされるであろう真実への期待感を高めてくれました。静かなサスペンスが好きな方には、たまらない回だったのではないでしょうか。
つづく