紅岸基地の調査を続けるナノマテリアル学者の汪淼(ワン・ミャオ)と、叩き上げの刑事・史強(シー・チアン)。史強は、一連の事件の背後にいる重要人物として、ある老科学者への疑いを深めていきます。その頃、廃墟となった紅岸の跡地では、地球の未来を左右する重大な密会が開かれていました。一方、警察署に一人の男が保護を求めて駆け込みます。彼は、驚異的な計算能力を持つ天才数学者でした。彼の出現により、科学者連続自殺事件の謎は、より根源的な宇宙の法則「三体問題」へと繋がっていきます。

「三体」あらすじネタバレ19話

第19話は、これまでの謎が一気に核心に迫る、静かながらも衝撃的な回でした。派手なアクションはないのに、会話劇だけでここまで物語の根幹を揺さぶってくるとは…!早速、今回のエピソードを振り返っていきましょう。

紅岸基地の調査を終えた汪淼(ワン・ミャオ)は、史強(シー・チアン)と合流します。史強(シー・チアン)は、申玉菲(シェン・ユーフェイ)がこのタイミングで紅岸基地の近くに現れたのは偶然ではないと、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)への疑いをますます強めていました。汪淼(ワン・ミャオ)はまだ半信半半疑ですが、史強(シー・チアン)の刑事としての勘は鋭く光ります。

その頃、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は「旧友に会う」と言い、一人である人物と再会していました。彼の名は伊文斯(エヴァンズ)。彼こそが、地球外文明とのコンタクトを目的とする組織「地球三体組織(ETO)」のもう一人の重要人物だったのです。

二人の会話から、衝撃の事実が明らかになります。地球三体組織の最高統帥は、なんと葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)その人でした。彼女が紅岸基地で宇宙に向けてメッセージを送ったあのボタンが、すべての始まりだったのです。しかし、実際に三体世界との安定したコミュニケーションを確立したのは、伊文斯が築いた「第二紅岸」でした。

彼らの間には、今や埋めがたい溝が生まれていました。伊文斯は、人類の邪悪さに絶望し、「主(三体文明)」による地球の改造こそが唯一の救いだと信じています。一方、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は、どれだけ傷つけられても、まだ人類にわずかな希望を抱いていました。

「火をつけたのは私。でも、もう制御できない…」

自らが始めたことが、思わぬ方向に暴走していくことへの絶望と無力感。葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)のこの言葉が、彼女の苦悩の深さを物語っていて、胸に突き刺さりました。

場面は変わり、作戦司令部へ。史強は汪淼(ワン・ミャオ)から得た情報を元に、葉文潔への捜査を深めようとしますが、常偉思(チャン・ウェイスー)司令官から別の任務を命じられます。それは、ある天才数学者の保護でした。

その男の名は、魏成(ウェイ・チョン)。彼は何者かに命を狙われていると警察に駆け込み、安全な場所でひたすら計算を続けていました。史強と汪淼が5時間も待った末にようやく対面できた魏成は、酒を要求するという、なかなかの変わり者。

彼は自身の半生を語り始めます。幼い頃から数学に異様な才能を発揮するも、それを証明する方法が分からず、社会に馴染めずにいたこと。やがて寺にこもった彼は、ある老師の言葉をきっかけに、頭の中に空っぽの世界と3つの球体を創造し、ある問題に取り組み始めます。

そう、彼が人生を賭して挑んでいる問題こそ、この物語の核心である「三体問題」だったのです。

『三体』第19話の感想

今回は、物語の核心に触れる重要な情報が、静かな会話劇の中で次々と明かされる、非常に密度の濃いエピソードでした。特に、葉文潔が地球三体組織の「統帥」であったという事実は、これまでの彼女の言動の裏にある重い背景を突きつけ、キャラクターの奥行きを一気に深めました。人類に絶望しながらも、どこかで信じたいと願う彼女の葛藤は、見ていて非常に苦しいものがあります。彼女が点した火が、伊文斯のような過激な思想を持つ者によって燃え広がり、もはや誰にも止められない業火となってしまった皮肉。この壮大な物語の悲劇性が、彼女という一人の女性の人生に凝縮されているように感じました。

そして後半、突如として現れた天才数学者・魏成の存在が、物語に新たな風を吹き込みました。彼の特異なキャラクターと、「三体問題」という純粋な科学的探求が、組織の陰謀や人類の存亡といったテーマとどう交錯していくのか。ミステリーからSFの核心へと、物語のギアが一段上がったことを予感させる、見事な構成だったと思います。

つづく