ナノ科学者の汪淼(ワン・ミャオ)は、相次ぐ科学者の自殺の謎を追う中で、自殺した物理学者・楊冬(ヤン・ドン)の元恋人から「物理学は存在しない」という衝撃的な言葉を聞かされます。彼は真相を探るべく、謎の学術組織「科学境界」に接触。そこで、人類が信じる科学法則の絶対性を揺るがす、ある不気味な仮説を知ることになります。一方、彼の身の回りでは不可解な現象が起き始め、ついに自身の視界に謎のカウントダウンが出現。見えない脅威が、刻一刻と彼に迫っていました。

「三体」あらすじネタバレ2話

第1話で科学者たちの連続自殺という不穏な幕開けをしましたが、第2話はさらに不気味な謎が深まり、主人公・汪淼(ワン・ミャオ)に直接的な恐怖が忍び寄る、まさに息をのむ展開でした!

物語は、自殺した物理学者・楊冬(ヤン・ドン)の元恋人、丁儀(ディン・イー)に汪淼(ワン・ミャオ)が会いに行くところから始まります。婚約まで考えていた相手を失い、すっかり憔悴しきった丁儀(ディン・イー)。彼は酒に溺れながら、汪淼(ワン・ミャオ)に衝撃的な言葉を告げます。「物理学は存在しない」と。

「は?物理学が存在しないってどういうこと?」って思いますよね。汪淼も同じで、そんなバカな話があるかと信じません。すると丁儀(ディン・イー)は、おもむろにビリヤードを始めます。彼と楊冬(ヤン・ドン)が好きだったというビリヤード。それはまるで、加速器の中での粒子衝突を彷彿とさせるから。

丁儀は、同じように打っても、台の位置や角度を少し変えるだけで、球の動きが全く予測不能になるという奇妙な実験を汪淼に見せつけます。そして、これと同じ「ありえないこと」が、楊冬(ヤン・ドン)の実験でも起きたのだと語ります。どんな条件下でも同じ結果が得られるはずの物理実験で、結果がバラバラになる。しかも、楊冬が実験結果を出す前に、遠く離れた彼女の指導教官が全く同じデータを得ていたというのです。これが、天才物理学者だった彼女を絶望させ、自ら命を絶つ原因になったのではないか、と。

このエピソードだけでも十分に不気味ですが、話はさらに核心に迫っていきます。

汪淼は、科学者連続自殺の鍵を握るとされる謎の組織「科学境界(かがくきょうかい)」の会合に足を踏み入れます。そこで語られていたのが、「射手(しゃしゅ)仮説」と「農場主(のうじょうしゅ)仮説」という、二つの不気味なたとえ話でした。

  1. 射手仮説: ある凄腕の射撃手が、的に10cm間隔で正確に弾を撃ち込んでいるとします。もしその的の上に二次元世界の生物がいたら、彼らの科学者は「この宇宙は10cmごとに穴が開く」という法則を発見し、それを宇宙の真理だと信じ込むでしょう。
  2. 農場主仮説: ある農場の七面鳥たちは、毎日午前11時に農場主が餌をくれるので、「午前11時には食べ物が降ってくる」という法則を発見します。しかし、感謝祭の日の午前11時、彼らに与えられたのは餌ではなく、死でした。

要するに、私たちが信じている物理法則も、実は高次元の存在の気まぐれな行動や、もっと大きなサイクルのほんの一部を観測しているに過ぎないのではないか?というわけです。私たちは、的の上の二次元生物か、あるいは感謝祭を待つ七面鳥なのかもしれない…。この仮説は、科学者たちのプライドと根幹を揺るがし、精神を蝕むほどの力を持っていました。

そして物語のラスト、汪淼を決定的な恐怖が襲います。楊冬の葬儀で、彼女の母親である葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)に会った汪淼。彼は、生前に趣味で撮影した楊冬の写真を渡そうとしますが、その写真に奇妙な数字が写り込んでいることに気づきます。

慌てて家に帰り、他の写真も確認すると、そこにも数字が。しかも、ネガフィルムの段階から写り込んでいるのです。汪淼は、その数字の羅列が、実は「カウントダウン」であることを突き止めます。彼が最初に見た数字は「1194:00:00」。約49日。そして、彼が今この瞬間に撮った写真にも、減り続けるカウントダウンがはっきりと写し出されていました。

このカウントダウンは一体何を意味するのか? ゼロになった時、何が起こるのか? 謎は深まるばかりです。

『三体』第2話の感想

物理学という、この世界の絶対的なルールが根底から覆されるかもしれないという恐怖。第2話は、その知的でありながらも原始的な恐怖を巧みに描いていました。「射手仮説」と「農場主仮説」は、私たち人類の知見がいかに狭く、傲慢なものであるかを突きつけてきます。自分が信じてきた世界の成り立ちが、実は誰かの掌の上で弄ばれている結果に過ぎないかもしれないという発想は、足元がぐらつくような心もとなさを感じさせます。そして、その抽象的な恐怖が、主人公の身に「謎のカウントダウン」という具体的な形で降りかかってくる展開は見事でした。壮大な宇宙論と、個人の身に迫るサスペンスが結びついた瞬間、この物語の持つ底知れない奥行きと不気味さが一気に立ち上ってきたように思います。

つづく