物語の舞台は過去の紅岸基地へ。若き天体物理学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は、研究に行き詰まりを感じていた。そんな中、彼女は太陽を巨大な電波増幅器として利用し、宇宙へ向けて強力なメッセージを送るという画期的な理論にたどり着く。しかし、その壮大な計画は、潜在的なリスクを懸念する上官の猛反対にあってしまう。科学への純粋な情熱と、組織の壁との間で葛藤する葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)。彼女が下すある決断が、後に人類史を大きく揺るがすことになるとは、この時まだ誰も知る由もなかった。
「三体」あらすじネタバレ24話
今回はついに物語の核心、すべての始まりである「あの日」が描かれる『三体』第24話について、熱く語っていきたいと思います!
過去の紅岸基地を舞台に、若き日の葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)がどんな想いで宇宙にメッセージを送ったのか。そして、何を受け取ったのか。彼女の口から静かに、しかし衝撃的に語られる真実は、まさに圧巻の一言でした。
さっそく、第24話の世界に飛び込んでいきましょう!
太陽は使える!天才のひらめきと立ちはだかる壁
物語は、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)が自身の研究について語る回想シーンから始まります。
紅岸基地での研究は完全に行き詰まり、彼女は自身の無力さを認める報告書を提出しようとまで思い詰めていました。しかし、上司である雷志成(レイ・ジーチョン)と、父の教え子でもある楊衛寧(ヤン・ウェイニン)は、彼女の才能を信じ、研究を続ける環境を与えようと励まします。
その言葉に後押しされ、報告書を胸にしまった葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)。彼女は諦めませんでした。そしてある日、太陽の活動を研究する中で、とんでもない可能性に気づくのです。
「太陽は、巨大な電波増幅器として使えるかもしれない」
これは、地球から発した微弱な信号を、太陽のエネルギーを利用して何億倍にも増幅し、宇宙の果てまで届けることができる、という画期的なアイデアでした。この発見に、楊衛寧(ヤン・ウェイニン)は同志として興奮を隠せません。しかし、この壮大な実験にはあまりにも大きなリスクが伴いました。政治委員である雷志成は、「潜在的な危険が大きすぎる」と猛反対。彼の立場からすれば当然の判断ですよね。
希望の光を見出した矢先に、分厚い壁が立ちはだかります。楊衛寧(ヤン・ウェイニン)は彼女の身を案じ、「自分のために諦めてくれ」と説得しますが、一度燃え上がった探求の炎は、もう誰にも消せませんでした。
たった一人で起こした奇跡と、その代償
葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は、諦めませんでした。彼女は、紅岸の巨大なパラボラアンテナがしばしば故障することに目をつけます。そして、あるメンテナンスの機会を狙い、誰にも気づかれずに発射パラメータを自分の計算通りに書き換えるという、とんでもない行動に出るのです。
そして、ついに運命の日。彼女は普段の業務を装い、宇宙に向けて信号を発射します。発射ボタンを押した直後、基地内にけたたましい警報が鳴り響きました。彼女はすぐさま現場を離れ、楊衛寧に助けを求めます。
事態を知った楊衛寧は驚愕しつつも、彼女を守るために「このことは誰にも言うな。二度とやるな」と釘を刺し、事態の収拾に協力します。
しかし、彼女が起こした奇跡への応答は、すぐにはやってきませんでした。楊衛寧からは「何も受信できなかった」と告げられ、海外の専門家からの返信も、彼女の仮説を裏付けるものではありませんでした。再び深い失望に沈む葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)。
ですが、彼女はこの時まだ知りませんでした。地球から放たれた人類最初の産声が、光の速さで宇宙を駆け巡り、ある文明の元へと届いていたことを…。
平穏な日々と人類への絶望、そして…「応答するな」
あの無謀な実験の後、葉文潔の生活は驚くほど平穏なものになりました。紅岸基地に来て4年目、彼女は自分を理解し、支えてくれた楊衛寧と結婚します。しかし、彼女の出自の問題で、楊衛寧は総エンジニアの職を解かれ、二人は一技術者として基地に残ることになりました。
穏やかな日々の中で、彼女は人類が決して目を背けることのできない「悪」の側面と向き合い続けます。止まらない環境破壊、人間の果てしない欲望と狂気…。かつて理想に燃えた彼女は、自分のしてきたことの無意味さを痛感し、人類そのものに深い絶望を抱くようになっていきました。
そして、すべてが変わる日が訪れます。
1979年11月21日。
いつものように観測データを監視していた彼女の耳に、今まで一度も聞いたことのない、異常な波形が飛び込んできました。彼女はすぐさまその信号を解析します。
そこに記されていたメッセージは、あまりにも衝撃的なものでした。
「応答するな。」
この一言が、彼女の、そして全人類の運命を決定づけることになるのです。
『三体』第24話の感想
今回のエピソードは、派手なアクションや視覚的なスペクタクルは一切ありません。しかし、一人の科学者の内面で繰り広げられる葛藤と決断が、静かながらも強烈な緊迫感を生み出していました。純粋な科学的探求心から始まった葉文潔の行動が、文化大革命で受けた心の傷や、その後の人類への深い絶望と結びつき、取り返しのつかない選択へと繋がっていく過程が、非常に丁寧に描かれていたと感じます。
彼女が密かに発射ボタンを押すシーンは、一個人の小さな行動が、惑星全体の運命の引き金を引くという、物語の根幹を象徴する名場面でした。その後の平穏な結婚生活との対比が、彼女の内なる孤独と、来るべき衝撃のメッセージの重みを一層際立たせています。静寂の中にこそ、物語の最も重要な転換点が隠されている。そんな深みを感じさせる、見事な一話でした。
つづく