『三体』第25話は、これまで散りばめられてきた謎が一気に収束し、息もつかせぬ展開が繰り広げられました。葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)の秘められた過去と、地球三体組織(ETO)との最終決戦。今回は、この濃密なエピソードの全貌を、あらすじとネタバレありで徹底的に解説していきます!
ETO総本部へ突入!史強(シー・チアン)の命をかけた作戦
物語は、常偉思(チャン・ウェイスー)司令官の号令一下、地球三体組織(ETO)の集会への突入作戦から幕を開けます。潜入していた汪淼(ワン・ミャオ)の身を案じながらも、作戦は決行。現場は大混乱に陥ります。特殊部隊が突入し、パニック状態の会場から汪淼(ワン・ミャオ)は徐冰冰(シュー・ビンビン)によって保護されます。
しかし、事態は最悪の方向へ。ETOのメンバーである陳雪(チェン・シュエ)が、なんと原子爆弾を手に「葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)を解放しろ」と要求。現場は凍りつきます。誰もが手をこまねく中、我らが史強(シー・チアン)が前に進み出ます。彼は巧みな話術で陳雪(チェン・シュエ)に揺さぶりをかけ、「お前の母親、葉文雪(イエ・ウェンシュエ)が見つかった」と嘘の情報を伝えます。
一瞬生まれた動揺。その隙を狙撃手は見逃しませんでした。銃弾が爆弾を正確に撃ち抜き、最悪の事態は回避されます。しかし、史強は負傷し、さらに放射線を浴びてしまうのでした。「福か禍か、どうせ避けられねぇ」と笑う彼の姿に、胸が締め付けられます。そして、混乱の末、ついに葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は逮捕されるのでした。
葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)の告白「私が二人を殺した」
場面は変わり、常偉思(チャン・ウェイスー)による葉文潔の尋問へ。ここで、視聴者がずっと知りたかった紅岸基地の真実が、彼女自身の口から語られます。
話は、彼女が三体世界からの最初のメッセージを受け取ったあの夜に遡ります。
「応答するな。応答すれば、我々の位置が特定され、あなた方の世界は侵略される」
それは、三体世界の平和主義者からの、人類への最後の警告でした。しかし、文化大革命で父を失い、人類そのものに絶望していた葉文潔の心には、その警告は届きません。
彼女は警告を隠蔽し、独断で返信します。
「こちらへ来なさい。私はあなた方がこの世界を得る手助けをしよう」
人類の運命を、たった一人で売り渡した瞬間でした。
返信直後、彼女は倒れますが、目覚めた彼女を待っていたのは夫・楊衛寧(ヤン・ウェイニン)でした。彼は、葉文潔が妊娠していることを告げます。新しい命の始まりが、人類文明の終わりへの引き金を引いた日と重なるという、あまりにも皮肉な運命。
そして、最も衝撃的な告白が続きます。彼女は、紅岸基地で二人の人間を殺害したと認めました。一人は、三体からのメッセージという手柄を横取りしようとした上官の雷志成(レイ・ジーチョン)。そしてもう一人は…彼女の夫、楊衛寧(ヤン・ウェイニン)でした。雷志成(レイ・ジーチョン)が「君のせいで楊衛寧と生まれてくる子供の人生が台無しになる」と彼女を脅し、手柄を独り占めしようとしたことが引き金でした。葉文潔は、自らの目的のため、最も身近な人間さえも手にかけたのです。
汪淼が問いかけた「楊冬(ヤン・ドン)の死の真相」については、まだ完全には明かされませんでしたが、その答えに繋がるであろう、母親の恐ろしい罪が明らかになった回でした。
『三体』第25話の感想
今回のエピソードは、物語の核心に深く切り込む、非常に重厚な内容でした。特に印象的だったのは、葉文潔という人物の計り知れない複雑さです。人類への深い絶望が、彼女を異星文明への救いを求める行動に駆り立て、その過程で夫を含む二人の命を奪うという冷徹な決断を下させました。彼女の行動は決して許されるものではありませんが、その根底にある孤独や悲しみを思うと、単純に悪と断じることもできない、人間の業の深さを感じさせます。
一方で、そんな重苦しい物語の中で、史強の存在が際立っていました。放射線を浴びるという致命的な状況にありながら、決してユーモアを忘れず、仲間を気遣う彼の姿は、この物語における人間性の最後の砦のように見えます。彼の無事を心から願わずにはいられません。過去の罪が明らかになり、現代の戦いが一つのクライマックスを迎える。二つの時間軸が見事に交差し、物語が一つの大きなうねりとなっていく構成には、ただただ圧倒されるばかりでした。
つづく