葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)への尋問が続き、ついに彼女が紅岸基地で犯した重大な罪の真相が語られる。夫である楊衛寧(ヤン・ウェイニン)と上官の雷志成(レイ・ジーチョン)が命を落とした「事故」は、彼女が仕組んだものだったのだ。その冷徹な告白は、汪淼(ワン・ミャオ)に大きな衝撃を与える。一方、入院中の史強(シー・チアン)の病状は深刻さを増していた。なぜ葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は人類を裏切ったのか。彼女の過去の記憶の中に、その根源となる絶望と、束の間の温かい日々の記憶が明かされていく。
「三体」あらすじネタバレ26話
第26話は、これまで謎に包まれていた葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)の過去が、彼女自身の口から赤裸々に語られる、息をのむような回でした。人類への絶望と、その中で見つけた一筋の光。彼女の行動のすべてが、このエピソードに凝縮されています。さっそく、衝撃の真実を振り返っていきましょう。
紅岸基地の悲劇:二つの命を奪った日
物語は、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)への尋問シーンから始まります。彼女はついに、あの紅岸基地で起きた「事故」の真相を語り始めました。
異星文明からの返信を受け取った葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)。しかし、その事実を基地の政治委員である雷志成(レイ・ジーチョン)に気づかれてしまいます。彼は手柄を独り占めするために、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)に事実の隠蔽を強要しました。しかし、すでに人類を見限り、三体文明に救いを求めていた彼女にとって、雷は邪魔な存在でしかありません。
彼女は冷静に、そして計画的に行動します。設備のメンテナンスを口実に、崖に設置されたアース線のネジを緩めるという巧妙な罠を仕掛けました。悪天候の中、案の定トラブルが発生し、雷志成が修理のために崖を下ります。葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は、彼を崖下へ突き落とすため、命綱を切ろうとしました。
しかし、そこへ現れたのが、彼女の夫であり、唯一の理解者でもあった楊衛寧(ヤン・ウェイニン)でした。彼は雷志成を助けるため、同じ命綱を使って崖を下りてしまったのです。想定外の事態でしたが、葉文潔に迷いはありませんでした。彼女は、夫と邪魔者、二人の命がかかったロープを、ポケットに忍ばせたノコギリで無心に切り裂きます。叫び声と、体が崖底に叩きつけられる鈍い音。そして、谷川の水が赤く染まっていくのを、彼女はただ静かに見つめていました。
この冷徹な告白をモニター越しに聞いていた汪淼(ワン・ミャオ)は、言葉を失います。彼が尊敬していた老科学者の、信じがたい過去でした。
現代パート:史強(シー・チアン)の優しさと忍び寄る病魔
汪淼(ワン・ミャオ)は、入院中の史強(シー・チアン)を見舞います。史強(シー・チアン)は、葉文潔の尋問の続きを気にする汪淼(ワン・ミャオ)を案じ、自分の体のことは心配するなと元気づけます。しかし、部下の徐冰冰(シュー・ビンビン)が持ってきた検査報告書には、深刻な結果が記されていました。史強はそれを一瞥すると、汪淼には絶対に知らせるなと口止めします。相変わらずの、不器用で深い優しさを見せる史強なのでした。
葉文潔の回想:罪と温もりの日々
常偉思(チャン・ウェイスー)司令官に「後悔は?」と問われた葉文潔は、きっぱりと否定します。しかし、彼女の脳裏には、罪を犯した後の意外な日々が蘇っていました。
夫を亡くした悲劇のヒロインとして周囲に同情され、誰も彼女を疑いませんでした。そんなある日、大学受験を控えた村の子供たちが、彼女に勉強を教えてほしいと訪ねてきます。それをきっかけに、彼女の部屋は小さな私塾のようになりました。雪の降る大晦日の夜、孤独に過ごす彼女のもとへ、子供たちが手作りの餃子を持ってきてくれたこともありました。それは、彼女の人生で最も温かい記憶の一つでした。
やがて、娘の楊冬(ヤン・ドン)が生まれます。難産で生死の境をさまよった彼女を救ったのは、村人たちの輸血でした。産後、衰弱した彼女と楊冬(ヤン・ドン)の面倒を見てくれたのも、村のお母さんたちでした。「楊冬(ヤン・ドン)は百家の乳を飲んで育った」と、彼女は懐かしそうに語ります。星が手に取るように近く見えた夜、隣家の女性と共に赤ん坊の面倒を見た記憶。それはまるで、他人の人生が紛れ込んできたかのような、夢のように穏やかな時間でした。
しかし、その時間は長くは続きません。文化大革命で失墜した父の名誉が回復され、彼女も大学へ戻れることになります。しかし、彼女の心は、もう二度と「同志」には戻れないほど、人類から離れてしまっていました。
基地を去った後、彼女は母・紹琳(シャオ・リン)と再会します。しかし、母は父を死に追いやった過去を悔いるどころか、新しい夫と裕福な生活を楽しんでいました。そしてその夫は、葉文潔に「父親に問題があったのだから、恨むな」と無神経に告げます。それは、母自身の言葉でもありました。この再会が、彼女の人類に対する最後の希望を打ち砕いたのです。
『三体』第26話の感想
今回のエピソードは、葉文潔という人物の底知れない複雑さを見せつけられた回でした。人類の未来という大義のために、夫さえも冷徹に殺害する非情さ。その一方で、村の子供たちや赤ん坊の楊冬に向ける眼差しには、確かに愛情と温もりが存在していました。彼女が犯した罪は決して許されるものではありませんが、文化大革命で受けた心の傷、そして信じていた人々からの裏切りが、彼女をそこまで追い詰めたのだと思うと、単純に悪と断罪することもできません。罪を犯した後に手に入れた束の間の平穏な日々は、彼女にとって皮肉な慰めだったのか、それともさらなる絶望への序曲だったのか。彼女の行動原理の根源に触れ、物語全体の奥行きが一層深まったように感じます。
つづく