葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)への尋問により、三体世界に関する驚くべき事実と、科学者たちの実験を妨害していた存在の正体が明かされる。その告白は、汪淼(ワン・ミャオ)をはじめとする科学者たちに大きな衝撃を与えた。さらに、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は自らの口から、娘・楊冬(ヤン・ドン)が死を選んだ悲しい真相についても語り始める。一方、作戦センターでは、敵の重要情報が眠る船「審判の日」号を拿捕するための会議が開かれていた。しかし、情報を守りつつ船を制圧するという難題に、誰もが有効な手立てを見つけられずにいた。その膠着した状況を、史強(シー・チアン)が誰も思いつかなかった大胆な奇策で打ち破る。

「三体」あらすじネタバレ28話

いやあ、今回の『三体』は息をのむ展開の連続でしたね…。静かな告白から始まって、最後は人類の未来を賭けたとんでもない作戦が立ち上がるんですから。葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)の口から語られる真実は、どれもこれも重すぎて、聞いているこっちの心までズシンと来ました。

静かなる告白、そして残酷な真実

物語は、常偉思(チャン・ウェイスー)司令官による葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)への最後の尋問から幕を開けます。これまで三体世界から地球に送られてきたのは、単なる電波だけだったのか?その問いに、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)は「ほぼ、そうです」と静かに頷きます。しかし、彼女が続けた言葉に、その場にいた誰もが凍りつきました。

三体艦隊の地球到着には、40年やそこらではなく、実に400年以上の歳月がかかること。そして、彼らが送り込んできたのは電波だけではないこと。科学者たちの実験を妨害し、物理学の法則そのものを揺るがしてきた元凶…それは、三体世界が地球に放った、たった2つの「質子(陽子)」だったのです。この陽子が、人類の科学の進歩に鍵をかけていた――その事実を知った汪淼(ワン・ミャオ)と丁儀(ディン・イー)は、これまでどうしても解けなかったパズルのピースが、カチリと音を立ててはまるのを感じるのでした。

さらに、汪淼(ワン・ミャオ)は個人的に葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)と面会し、ずっと心に引っかかっていた疑問をぶつけます。なぜ、娘の楊冬(ヤン・ドン)は自ら命を絶たなければならなかったのか、と。

葉文潔の推測は、あまりにも残酷なものでした。楊冬(ヤン・ドン)は、偶然にも母親である葉文潔のファイルを見てしまった。そこには、人類を裏切り、異星文明と交信していた「もう一人の母」の姿があったのです。信じていた物理学の法則が崩れ去り、さらに信じていた母親の正体を知ってしまった楊冬。彼女の心を壊したのは、紛れもなく母である自分自身だった…葉文潔は、そう静かに語るのでした。

史強(シー・チアン)の奇策、その名は「飛刃」

葉文潔の告白に、丁儀(ディン・イー)は怒りを露わにし、汪淼は言葉を失います。人類の未来に暗雲が立ち込める中、作戦センターでは重苦しい会議が開かれていました。議題は、ETOの拠点であり、三体文明の貴重な情報が眠る船「審判の日」号をいかにして拿捕するか。情報を破壊されることなく、船をまるごと制圧する――そんな無茶な要求に、各国のエリートたちも頭を抱えるばかり。

会議が行き詰まったその時、場違いなほどラフな格好の男が立ち上がります。我らが史強(シー・チアン)です!彼は「斜招(奇策)がある」と不敵に笑い、とんでもない作戦を提案します。

「汪淼先生が作ったナノマテリアル、『飛刃(フライングブレード)』を使いましょう」

その作戦とは、汪淼が開発した極細で超高強度のナノ素材をワイヤーのように張り巡らせ、運河を通過する「審判の日」号を、船内の情報ごとスライスするという、まさに悪魔的な発想でした。しかし、それは最も確実で、唯一可能な方法でもあったのです。史強の提案は満場一致で採択され、この作戦は「古筝作戦」と名付けられました。

これまで理論の世界に生きてきた科学者・汪淼。彼が生み出した一本の細い糸が、今、人類の存亡を賭けた壮大な反撃の刃(やいば)となろうとしていたのです。

『三体』第28話の感想

今回は、物語が静から動へと大きく舵を切った、非常に密度の濃いエピソードでした。前半、葉文潔が語る楊冬の死の真相は、親子の悲劇として胸に深く突き刺さります。人類への絶望から始まった彼女の行動が、最も愛する娘の命を奪うという皮肉な結末に、言葉を失いました。この静かで重厚な人間ドラマパートがあるからこそ、物語に深みが生まれています。

そして後半、その重苦しい空気を一変させたのが、史強の存在です。エリートたちが頭を抱える難問を、まるでコロンブスの卵のような大胆な発想で解決してしまう彼の姿は、まさに希望の光。彼が提案した「古筝作戦」の壮大さと恐ろしさには、ただただ圧倒されるばかりでした。科学の粋を集めたナノ素材が、かくも原始的かつ破壊的な方法で使われるという対比が鮮やかで、物語のスケール感を一気に押し上げたように感じます。個人の悲劇と人類の戦いが交錯し、物語は新たな局面へと突入しました。

つづく