ナノ科学者の汪淼(ワン・ミャオ)は、立て続けに起こる不可解な現象の謎を解明するため、科学団体「科学境界」への接触を図る。そこで彼は、紹介されたVRゲーム『三体』に全ての答えがあると告げられる。半信半疑のまま、刑事の史強(シー・チアン)と共に最新鋭のVR機器を装着し、ゲームの世界へログインする汪淼。彼が足を踏み入れたのは、太陽の動きが不規則で、文明が何度も滅んでは再生を繰り返す過酷な異世界だった。汪淼はそこで出会った人物と共に、この世界の法則を解き明かすための旅に出る。

「三体」あらすじネタバレ7話

汪淼(ワン・ミャオ)の目の前に現れたカウントダウン、そして宇宙全体の瞬き。常識では考えられない現象の連続に、科学者としての彼のプライドは打ち砕かれそうになっていました。しかし、彼は申玉菲(シェン・ユーフェイ)の言う「神」の存在を簡単には受け入れません。これは誰かが仕組んだ壮大な「農場」であり、自分はその中で翻弄される「シチメンチョウ科学者」に過ぎないのではないか。その疑念を胸に、汪淼(ワン・ミャオ)はついに「科学境界」への加入を決意します。農場の主は誰なのか、そして自分を待ち受ける運命とは何なのか。恐怖よりも好奇心が勝った彼は、申玉菲(シェン・ユーフェイ)が示した謎の寺院へと向かいます。

そこで汪淼(ワン・ミャオ)を待っていたのは、線香の煙ではなく、科学者たちが集う異様な光景でした。申玉菲(シェン・ユーフェイ)から告げられたのは、ここが故・楊冬(ヤン・ドン)が最後に訪れた場所であるという事実。そして、すべての謎を解く鍵として、ひとつのURLを手渡されます。それは、VRゲーム『三体』への招待状でした。

早速、史強(シー・チアン)と共に高価なVR装備を装着し、ゲームの世界へダイブする汪淼。 ログインした瞬間、彼は古代中国の戦国時代を思わせる荒野に立っていました。空からは無数の岩が降り注ぎ、「三体」という文字を形作ります。そこで出会ったのは、自らを「周文王(しゅうぶんおう)」と名乗る男。彼の話によれば、この世界では太陽の動きが完全に不規則で、いつ昇り、いつ沈むか、そして次にいつ現れるかすら予測不能な「乱紀元」にあるというのです。

この過酷な世界で生き抜く知恵、それが「脱水」でした。極寒や酷暑の時代が訪れると、人々は体内の水分を排出し、乾いた繊維状の姿になって厳しい環境をやり過ごします。そして、過ごしやすい「恒紀元」が来ると、水に浸かって元の姿に戻るのです。 汪淼は周文王(しゅうぶんおう)と共に、文明の存続をかけて太陽の法則を解明し、次の恒紀元を予測するために旅を始めます。

一方、ゲーム内で汪淼とはぐれた史強(シー・チアン)は、「脱水」のシステムを知らずに他のプレイヤーに騙され、燃料にされかけるという危機に陥ります。現実世界でVRゴーグルをつけたまま暴れる汪淼の姿に史強(シー・チアン)は驚きますが、一度ログアウトしてしまうと、もはや彼を助ける術はありませんでした。

仲間を救えなかった無力感を抱えながらも、汪淼は周文王と共に旅を続け、ついに朝歌の都にいる「紂王(ちゅうおう)」との謁見に成功します。周文王は、これまでの観測データから、もうすぐ安定した「恒紀元」が訪れると予測。その言葉を信じた紂王(ちゅうおう)は、脱水状態にある全臣民を水に浸し、「再水化」させるよう命じるのでした。果たして彼の予測は当たるのでしょうか。そして、この奇妙なゲームの目的とは一体何なのでしょうか。物語は、現実と仮想の世界が交錯しながら、さらに深い謎へと進んでいきます。

『三体』第7話の感想

今回のエピソードは、物語の核心に繋がるであろうVRゲーム「三体」の世界観が丁寧に描かれ、非常に引き込まれました。科学では説明不能な現象に直面した科学者が、その謎を解くために非科学的なゲームの世界に没入していくという構図は、実に皮肉が効いていて面白いです。太陽が不規則に動く「乱紀元」や、生命維持のための「脱水」といった独創的な設定は、単なるファンタジーではなく、ある過酷な物理法則下にある文明の姿をシミュレートしているように感じさせます。現実世界で起きる科学者たちの不可解な死と、ゲーム内で繰り返される文明の破壊と再生。この二つの世界がどのように結びついていくのか、その壮大な仕掛けの一端が見えたことで、物語への没入感が一層深まりました。派手なアクションはなくとも、知的好奇心を強く刺激される知的エンターテイメントとしての真価が発揮された回だったと思います。

つづく