科学者をテロから守る作戦司令センターで、保護施設の場所という極秘情報が外部に漏洩する緊急事態が発生。史強(シー・チアン)は情報提供者とみられる不審な男を尋問するが、男は謎めいた言葉で挑発するばかりで、見えない敵の存在がちらつきます。一方、科学者連続自殺の謎を追う汪淼(ワン・ミャオ)は、鍵を握る申玉菲(シェン・ユーフェイ)と接触するため、再びVRゲーム「三体」にログインすることを決意。今回は相棒の史強も同行し、ゲームの中で驚愕の光景を目の当たりにすることに。そしてゲームの後、ついに申玉菲の口から世界の真実の一端が語られます。
「三体」あらすじネタバレ9話
いやあ、第9話はこれまで散りばめられてきた謎が一気に核心に近づく、とんでもない回でしたね。汪淼(ワン・ミャオ)の視界に現れるカウントダウンの謎、そして科学者たちの相次ぐ自殺。その裏に見え隠れする「科学境界」と申玉菲(シェン・ユーフェイ)の存在。今回は、そのすべてが繋がる重要なエピソードです。
さっそく、第9話の世界に飛び込んでいきましょう!
情報漏洩と不気味な挑戦者
物語は、汪淼(ワン・ミャオ)が目の前のカウントダウンを赤信号の待ち時間に使ったりと、少しだけ日常に取り込んでいるシーンから始まります。しかし、その裏ではとんでもない事態が進行していました。
常偉思(チャン・ウェイスー)率いる作戦司令センターは、科学者たちを保護するためのセーフハウスの情報が外部に漏洩したことで大混乱に陥ります。護衛の特警にすら直前まで知らされていなかった極秘情報が、なぜ漏れたのか?
史強(シー・チアン)の捜査線上に浮かび上がったのは、胡晓希(フー・シャオシー)という奇妙な男。元はネットカフェの管理人で、今は売れないネット小説家。しかし、彼は自ら史強(シー・チアン)の前に現れ、常偉思(チャン・ウェイスー)の尋問にも不遜な態度を崩しません。「あなた方は、誰と戦っているのか分かっていない」と挑発し、「火鶏と農場主」の寓話を持ち出して煙に巻こうとします。
常偉思(チャン・ウェイスー)は「お前ごときが我々の敵になるには値しない」と一蹴しますが、この一件で作戦司令センターには見えない敵に対する危機感が募ります。そして、この情報漏洩は、科学境界に潜入している汪淼(ワン・ミャオ)の存在が敵にバレたことを意味していました。
ゲームの中の再会と世界の終わり
受動的な状況を打破するため、史強(シー・チアン)は汪淼と共に、謎の鍵を握る申玉菲(シェン・ユーフェイ)に直接会うことを決意します。「何かあれば俺が必ずあんたを守る」という史強の言葉、頼もしすぎますよね。
汪淼が申玉菲(シェン・ユーフェイ)に連絡を取ると、彼女は意外な場所を指定します。それは、VRゲーム「三体」の中でした。
汪淼がログインすると、そこは139番目の文明。すでに蒸気時代まで発展しており、これまでの原始的な世界とは一線を画しています。そこで待っていた申玉菲のもとに、なんと史強もログインして登場!この展開は熱いですよね。
申玉菲は、科学者のリストが漏れたことなど気にする必要はないと平然と語ります。しかし、その直後、空に2つの太陽が昇る「双日凌空」が発生。発展を遂げたばかりの文明は、一瞬にして灼熱地獄と化し、滅亡してしまいます。
申玉菲の告白、そして「主」の存在
ゲームの世界で文明の崩壊を目の当たりにした汪淼と史強は、すぐさま現実世界の申玉菲の家へと向かいます。
家の扉は開け放たれており、申玉菲は二人を待っていました。そして、ついに彼女の口から、科学者たちが絶望し、自ら命を絶った理由が語られます。
「主は、全てをご存じなのです」
申玉菲は、物理学者マンフェの死の真相を語ります。彼女は、楊冬(ヤン・ドン)の実験結果が出る前に、その「正しい結果」をマンフェに見せたのです。それは、物理学の法則が、この宇宙では普遍的ではないという残酷な真実でした。自分たちが生涯をかけて積み上げてきた物理学という信仰が根底から覆された科学者たちは、その絶望に耐えきれず自ら死を選んだ、と。
申玉菲は、彼らに「真実」を見せただけ。その後の選択は彼ら自身のものだ、と淡々と語ります。彼女が語る「主」とは一体何者なのか?その問いに、彼女は「重要ではない」と答えるだけでした。
一方で、慕星(ムー・シン)に接触していた潘寒(パン・ハン)は、彼女に機密ファイルを見せ、さらなる協力を持ちかけます。胡晓希を動かしていたのも潘寒であり、物語の裏で暗躍する彼の存在もますます不気味さを増していきます。
科学の根幹を揺るがす「主」の存在が明かされ、物語は新たな次元へと突入しました。
『三体』第9話の感想
これまで提示されてきた不可解な現象の数々が、「物理法則がこの世界では絶対ではない」という、ひとつの根源的な恐怖に収束していく様に圧倒されました。科学者たちがなぜ自ら命を絶つのか、その理由が「信仰の崩壊」という形で語られたことで、本作が単なるSFサスペンスではなく、人間の知性と精神の脆さを描く壮大な物語なのだと改めて感じさせられます。
申玉菲が淡々と、まるで天気の話でもするかのように「主」の存在と世界の真実を語るシーンは、彼女自身の信仰の深さと、それ以外の人間に対する無関心さが際立っており、底知れない不気味さがありました。常識外れの事態に、人間臭いやり方で立ち向かおうとする史強の存在が、この物語の唯一の救いのように思えます。
つづく