手術を終え、故郷の南枰(ナンピン)町で静養することになった荘潔(ジュアン・ジエ)。そこで高校時代の同級生で、今は遺体安置技師として働く陳麦冬(チェン・マイドン)と再会します。心穏やかな日々が始まるかと思いきや、弟が川で遺体を発見したことから、町の静けさは破られます。この事件をきっかけに、陳麦冬は自らの死生観を語り、荘潔は家族との関係や自身の将来と深く向き合うことに。そして、二人の間にあった高校時代の淡い思い出が、少しずつ明らかになっていきます。

「春色の恋人」あらすじネタバレ3話

仕事一筋で生きてきた荘潔(ジュアン・ジエ)が、親友の計らいで故郷の南枰(ナンピン)町へ帰ってきました。手術を終えたばかりの彼女にとって、この静養は心と体を癒すための大切な時間。そして何より、あの忘れられない同級生、陳麦冬(チェン・マイドン)との再会が、彼女の心に小さな波紋を広げていました。相変わらず少し風変わりな彼ですが、その再会は荘潔(ジュアン・ジエ)にとって嬉しいサプライズでした。

しかし、穏やかな田舎町で衝撃的な事件が起こります。荘潔の弟・荘研(ジュアン・イェン)が、川辺でスケッチをしている最中に、水面に浮かぶ遺体を発見してしまったのです。現場に駆けつけたのは、遺体安置技師として働く陳麦冬(チェン・マイドン)でした。まだ未成年だという被害者の死は、町に暗い影を落とします。

初めて死を目の当たりにし、大きなショックを受ける荘研(ジュアン・イェン)。陳麦冬はそんな彼を気遣い、意外にも自らの職場である遺体安置所へ連れて行きます。そこで彼は、衝撃を受ける荘研に静かに語りかけました。「死は誰にとっても無力で、そして最も公平なものだ。成功も失敗も関係なく、存在したという事実そのものに意味がある」と。彼の言葉は、駆けつけた荘潔がかつて弟を慰めた言葉と重なり、荘潔の胸を打ちます。

一方、荘潔の家では、母・廖濤(リャオ・タオ) が息子の荘研の将来を案じ、不満を募らせていました。店の経営も思うようにいかず、つい荘潔に愚痴をこぼしてしまいます。口論になりながらも、荘潔は自分が仕事で貯めたお金をそっと母に手渡します。そして、強い決意を語るのでした。「私はこの町が心地よすぎて、自分の意志が鈍るのが怖いの。ハンディキャップがあるからこそ、人一倍努力して、上海で成功したい」。娘の偽らざる本心に触れ、母の表情も和らいでいきました。

そんな中、陳麦冬のおばあちゃんは、二人の再会に大喜び。「この二人は運命だ!」と信じて疑わず、町でばったり会った荘潔と麦冬をなんとかくっつけようと大奮闘。その様子を荘潔の妹・何袅袅(ホー・ニャオニャオ)が面白がってスマホで撮影する場面も。荘潔は麦冬に好意があることを認めつつも、「友達以上にはなれない」と線を引きますが、麦冬のそっけない態度が、さらにおばあちゃんの恋の炎に油を注ぐのでした。

おばあちゃんの結婚プレッシャーから逃げるように、友人の元へ身を寄せた陳麦冬。仲間たちに荘潔との関係をからかわれ、彼は高校時代の淡い思い出を語り始めます。それは、学校の舞台で、二人して「木」の役を演じた日のこと。性格が合わず孤立しがちだった二人が、木の役を通じて初めて心を通わせた瞬間。廊下で目が合い、言葉なく微笑み合ったあの日、二人の心には確かに特別な感情が芽生えていたのでした。

『春色の恋人』第3話の感想

静かな田舎町を舞台にしながらも、「死」という重いテーマを非常に丁寧に、そして詩的に描いている点に心を掴まれました。陳麦冬が語る死生観は、彼の職業からくる独特のリアリティがあり、物語全体に深い奥行きを与えています。彼の言葉は冷たく聞こえるようで、その実、命あるものすべてへの優しい眼差しを感じさせます。また、都会での成功を夢見る荘潔の姿も印象的でした。故郷の居心地の良さを知りながらも、あえて厳しい道を選ぼうとする彼女の強さと、その裏にある葛藤がひしひしと伝わってきます。過去の学芸会のシーンで明かされた二人の純粋な思い出が、現在の少しぎこちない関係性と対比され、今後の展開への期待感を静かに高めてくれました。

つづく