宝の謎を追う穆青(ムー・チン)、王家洛(ワン・ジアルオ)、そして囚われの柳琳(リウ・リン)は、本当の目的地である福建を目指し列車で旅立つ。その道中、王家洛は自身の過去と国への揺るぎない忠誠心を語り、林安靜(リン・アンジン)との距離を縮めていく。しかし一行が立ち寄った江南地方は、役人の汚職が招いた大洪水により、流民で溢れかえる悲惨な状況にあった。そこで穆青は、賑災のために派遣された高官・存清(ツン・チン)と再会するが、彼の口から語られたのは民を見捨てるかのような冷酷な計画だった。それぞれの正義と理想が激しくぶつかり合う、物語の大きな転換点となる。

「天行健~革命前夜、風立ちぬ~」あらすじネタバレ17話

いやあ、今回の第17話は、物語が大きく動きましたね!アクションシーンは控えめでしたが、その分、登場人物たちの信念や思想が激しくぶつかり合う、見ごたえのある回でした。宝の謎を追う一行は、ついに本当の目的地・福建を目指すことになります。

福建への旅路、列車での攻防

山西での一件を終え、穆青(ムー・チン)は柳琳(リウ・リン)を連れ、王家洛(ワン・ジアルオ)と共に福建へ向かうことになりました。軍の許可が下りないため、卓不凡(ジュオ・ブーファン)は同行できず、王家洛(ワン・ジアルオ)が単独でついていく形に。そして、王家洛(ワン・ジアルオ)はなんと林安靜(リン・アンジン)も一緒に連れてきていました。穆青(ムー・チン)は、王家洛が彼女に好意を寄せていることを見抜いているようでしたね。

列車の中、穆青(ムー・チン)はあえて柳琳(リウ・リン)を見張らせませんでした。彼女がまだ何か秘密を隠していると察しつつも、逃げ出すことはないと信じているようでした。しかし、二人が話していると、列車の屋根に何者かの気配が!穆青が確認しに行きますが、すでに姿はなく…。一体誰が彼らの会話を盗み聞きしていたのでしょうか。不穏な空気が漂います。

一方で、卓不凡(ジュオ・ブーファン)たちのもとには、本当の目的地が山東ではなく福建の安慧寺だという情報が林安靜(リン・アンジン)から届き、彼らも福建へと向かいます。これで、全ての勢力が福建に集結することになりそうです。

王家洛の信念と林安靜(リン・アンジン)の眼差し

道中、王家洛は林安靜に自身の過去を語ります。科挙を目指していたものの、両親の喪に服している間に制度が廃止されてしまい、役場の書記に応募したつもりが、ひょんなことから捕快になったという経歴。

彼は、国を危うくした維新変法を心から憎んでいました。「国を強くするのに変法など必要ない。変えるべきは制度ではなく人の心だ」と熱く語る王家洛。一人ひとりが自分の本分を全うし、国のために尽くすことこそが重要だと信じているのです。そのあまりにも純粋でまっすぐな姿に、林安靜は可笑しさを感じながらも、心を動かされているようでした。この二人の関係、今後どうなっていくのか気になりますね。

地獄絵図の江南、存清の恐るべき本性

福建へ向かう途中、一行は江南地方に立ち寄ります。しかし、そこで彼らが目にしたのは、洪水によって溢れかえる流民たちの姿でした。役人たちが河川の堤防工事の予算を横領し、手抜き工事を行ったせいで、堤防はあっけなく決壊。さらに役人たちは事実を隠蔽し、重税を課して民を苦しめていたのです。

穆青たちが心を痛めていると、そこに現れたのはなんと存清(ツン・チン)!彼は賑災(災害救助)のために派遣されていました。しかし、穆青がなぜ蔵を開いて食料を配らないのかと問うと、存清は恐ろしいことを口にします。

「今、食料を配っても民は朝廷を恨むだけだ。数千万人ほど死んで、飢えのどん底を味わってから救いの手を差し伸べれば、彼らは朝廷に心から感謝するだろう」

この言葉にはゾッとしました…。さらに、四両の銀子があれば家族が助かると懇願する流民・何富貴を、存清は「官に逆らう者」として連行させてしまいます。穆青は、後に道端で亡骸となっている何富貴を見つけ、彼の家族にと四両の銀子を渡すのでした。このシーンは本当に胸が痛みましたね。

穆青の葛藤と柳琳(リウ・リン)の革命思想

穆青の行いを見た柳琳は、「その四両では、この街の乞食たちも、何千何万という子供たちも救えない」と断言します。そして、腐りきった清朝を根こそぎ覆し、新しい世界を創るしかないと、孫先生が掲げる「民族・民権・民生」の理想を熱く語りました。

穆青は、自身も変法によって12年も投獄された過去があるため、彼女の言うことに一定の理解を示します。しかし、「その革命と共和の理想は、二度と私の前で口にするな」と、厳しい言葉で釘を刺すのでした。それぞれの正義がぶつかり合う中、穆青の苦悩は深まるばかりです。

『天行健~革命前夜、風立ちぬ~』第17話の感想

今回は、登場人物たちの思想や哲学が色濃く描かれた、非常に重厚なエピソードでした。特に印象的だったのは、王家洛の純粋なまでの保守思想、柳琳の革命にかける熱い情熱、そして存清が見せた恐ろしいほどの現実主義です。三者三様の「国を思う形」が提示され、誰が正しくて誰が間違っているとは一概に言えない複雑さに、深く考えさせられました。その中心で、それぞれの思想に触れて苦悩する穆青の姿が痛々しくも人間味に溢れていました。彼が、存清に見殺しにされた流民の亡骸にそっと銀子を置くシーンは、彼の優しさと、一個人の力の限界を同時に描き出しており、非常に切なかったです。清朝末期の腐敗と民衆の苦しみがリアルに描かれることで、物語に一層の深みと説得力が生まれています。

つづく