新薬「HDQ39」の上市を巡り、開発責任者のドゥー・ユンチョンと、その危険性を訴えるスー・ウェイアンたちの対立が激化。ユンチョンは恋人ウェン・ランを巻き込み、強引に計画を進めようと画策します。一方、ウェイアンとグー・ユンジョンは、新薬の致命的な欠陥を示す証拠を掴み、ユンチョンに開発中止を迫ります。追い詰められたユンチョンから、彼の行動の裏に隠された衝撃の動機が明かされることに。それぞれの想いが交錯し、登場人物たちは重大な決断を迫られます。

「 癒やしの恋人~ロマンスの処方箋~」あらすじネタバレ27話

新薬「HDQ39」の承認を巡る株主総会は、重苦しい空気に包まれていました。世論の風当たりは強く、ほとんどの株主がリスクを恐れて及び腰。そんな中、開発責任者のドゥー・ユンチョンは、中国における希少疾患治療薬の市場規模と、このプロジェクトの重要性を力説します。彼の必死の訴えと、恋人であるウェン・ランの擁護もあって、なんとかその場は収まりますが、失敗すれば全責任を負うという、あまりにも重い十字架を背負わされることになりました。

その頃、スー・ウェイアンは、叔母の闘病ビデオがなぜ温(ウェン)教授の講演で使われたのか、真相を突き止めるためにユンチョンの会社を訪れます。ユンチョンは「部下のミスだ」と白々しく嘘をつき、その場を切り抜けます。ウェイアンは、HDQ39が動脈瘤破裂を引き起こす証拠を掴んだことを伝え、自らの手で開発を中止してほしいと懇願するのでした。

しかし、ユンチョンの暴走は止まりません。その夜、彼は恋人のウェン・ランを操り、彼女の父親である温(ウェン)教授のパソコンから、HDQ39に関する重要な実験報告書を盗み出させます。娘の裏切りに気づいた温(ウェン)教授は激怒。時を同じくして、グー・ユンジョンとウェイアンから提出された「HDQ39が動脈瘤破裂を引き起こす」という決定的なデータを見て、自らの過ちを認め、二人に深く頭を下げました。

真実を知ったウェイアンとユンジョンは、ユンチョンを問い詰めます。そこで明かされたのは、衝撃の事実でした。ユンチョンは、ウェイアンがハンチントン病を患っていることを知っており、彼女を救いたい一心で、この薬の開発を続けていたのです。「君に生きる道を見つけたかった」と。しかし、ウェイアンはその愛を受け入れることができません。自分の命のために、他の患者を危険に晒すことはできないと、涙ながらに彼の申し出を拒絶します。

事態を重く見た温(ウェン)教授は、緊急記者会見を開き、HDQ39の欠陥と、治験で動脈瘤破裂が起きた事実を公表。原因が解明されるまで、薬の上市は絶対にないと宣言しました。

この会見で、ユンチョンはすべてを失います。会社の支配権を失い、家族からも見放され、自暴自棄に。そして、恋人ウェン・ランの怒りの矛先は、ウェイアンへと向かいます。「あなたが彼の夢も、自分の生きる道も、全部壊したのよ!」と。さらにウェン・ランは、希望を絶たれた他の患者たちを扇動し、ウェイアンを「希望を奪った裏切り者」に仕立て上げます。多くの患者からの罵声と憎悪を一身に浴び、ウェイアンは自分の選択が本当に正しかったのか、深い罪悪感と苦悩に苛まれるのでした。

一方、ウェイアンの苦しみを目の当たりにしたグー・ユンジョンは、重大な決意を固めます。成功間近だった膠芽腫の研究を中断し、ゼロからハンチントン病の研究を始めることを指導教官に申し出たのです。愛する人を救うため、たとえ一生かかっても諦めない。その強い覚悟が、新たな物語の扉を開こうとしていました。

『 癒やしの恋人~ロマンスの処方箋~』第27話の感想

今回は、登場人物それぞれの「正義」と「愛」が激しく衝突し、胸が締め付けられるような展開でした。特に、ユンチョンがウェイアンのために危険な新薬開発を続けていたという告白は、彼の歪んだ愛情の深さを示していて衝撃的です。愛する人を救いたいという純粋な想いが、結果的に多くの人を危険に晒し、自らを破滅へと導いてしまう皮肉。そして、その愛を拒絶し、多くの患者の希望を断つという苦渋の決断を下したウェイアンの心の痛みは、計り知れません。彼女が背負った十字架の重さを思うと、言葉を失います。そんな中、ユンジョンがウェイアンのために新たな研究を始める決意をした場面は、唯一の光でした。絶望の淵で、愛する人のために立ち上がる彼の姿は、この物語の核となる「癒やし」の本当の意味を問いかけているように感じました。

つづく