自らの過ちで雲沐(うんもく) を窮地に立たせてしまった蘇若非(そじゃくひ)は、深く反省し、彼との絆を取り戻そうとする。そんな中、蘇若非(そじゃくひ)の才能を認めさせるため、雲沐(うんもく) は彼女が公式の楽師になるための機会を作ろうと奔走する。それは、新たな才能を発掘する登竜門「遺珠賽(いしゅさい)」の開催だった。最高の師の指導のもと、蘇若非は厳しい試験に挑むことになる。二人の想いが試される中、幻楽坊では新たな人間模様が動き出す。
「幻楽森林」あらすじネタバレ11話
やっちゃいましたね、蘇若非(そじゃくひ)!雲沐(うんもく) の最大の秘密である耳のことを、うっかり人前で……。あの気まずい空気、見てるこっちまで胃がキリキリしました。
魂が抜けたようにその場を去る雲沐(うんもく) 。蘇若非(そじゃくひ)は必死に謝りますが、今の彼には届きません。「少し一人にしてくれ」という言葉が重く響きます。そんな蘇若非(そじゃくひ)に、小七(しょうしち)が怒りをぶつけます。「お前のせいでご主人様が危険に晒されたんだぞ!」と。まあ、小七の気持ちも痛いほどわかりますよね。ずっと命がけで雲沐(うんもく) を守ってきたんですから。
でも、雲沐は蘇若非を責めませんでした。ただ静かに小七を連れてその場を去る姿に、彼の優しさと苦悩が滲み出ていました。
その夜、小七は蘇若非の元へお菓子を持って現れます。何も知らない蘇若非がそれを口にすると、小七は「毒を入れた」と一言。もちろん、これは蘇若非をこらしめるための嘘。小七は、雲沐がこれまでどれだけ大変な思いをしてきたか、耳が聞こえないというハンデを抱えながら、常に危険と隣合わせで生きてきたかを語り聞かせます。そして、蘇若非の鼓の音を初めて聴いた時、雲沐がどれほど喜んだかということも…。
自分の軽率な行動を心から悔いた蘇若非。小七からお菓子に入っていたのはただの小麦粉だと明かされ、深く反省するのでした。
翌日、蘇若非は心を込めて書いた誓約書を雲沐に渡します。そして、手にした鈴を鳴らして、音で「ごめんなさい」と伝えました。その健気な姿に、雲沐も心を許します。彼は母が書き写した大切な楽曲を蘇若非に託し、二人は一緒に練習を始めます。お互いを見つめ合うその瞳には、確かな愛情が芽生えていましたね。この甘い雰囲気、最高です!
そんな幸せな時間も束の間、衝撃的な事件が起こります。
小七が、雲沐の身の回りを完璧に整え、「一生お仕えします」といった意味深な言葉を残して姿を消します。蘇若非から小七の置き土産(雲沐の好物リスト)を見せられた雲沐は、嫌な予感に襲われ、彼の部屋へ。そこには、首を吊って自ら命を絶とうとする小七の姿が…!
なんとか一命を取り留めた小七。彼は「ご主人様の秘密を知る者は二人まで。蘇若非様が知ってしまった今、自分は万死に値する」と、古い誓いを頑なに守ろうとしていたのです。雲沐は、かつて王総管(おうそうかん)の自決を止められなかった過去のトラウマを思い出し、「二度と自分を傷つけるな」と小七を強く抱きしめました。主従の絆の深さに、思わず涙腺が緩んでしまいました。
蘇若非を幻楽坊(げんがくぼう)に入れるため、雲沐は父である領主(りょうしゅ)の元へ直談判に向かいます。するとそこには、なんとライバルの靳商羽(きんしょうう)の姿が!驚くべきことに、二人とも目的は同じ。「遺珠賽(いしゅさい)」を再び開催し、新たな才能を発掘してほしいと願い出たのです。目的が一致したことで、領主(りょうしゅ)もこれを快諾。雲沐と靳商羽(きんしょうう)、二人の新たな戦いの火蓋が切られました。
雲沐は蘇若非に朗報を持ち帰ります。楽師としての籍を取り戻し、遺珠賽への参加資格を得たこと、そして最高の師匠である凌楽正(りょうがくせい)が指導してくれることを伝え、蘇若非を力強く勇気づけます。
いよいよ始まった遺珠賽。幻楽坊には姉の蘇若珊(そじゃくさん)の姿もありました。妹が来るとは思っていなかった若珊は、表面上は再会を喜びますが、その心は穏やかではありません。かつて自分が清音(せいいん)に合格した時も、周りが「妹の蘇若非はとっくに合格していた」と噂していたことを思い出し、嫉妬の炎を静かに燃やすのでした。
厳しい試験を勝ち抜き、蘇若非は見事、呉為(ご・い)、劉新年(りゅう・しんねん)、黄鶯(こうおう)と共に合格を掴み取ります。しかし、姉妹の再会は、新たな波乱の幕開けを予感させるものでした。
『幻楽森林』第11話の感想
今回は、登場人物それぞれの人間性が深く掘り下げられた回でした。蘇若非の失敗と健気な反省、それを受け入れる雲沐の器の大きさによって、二人の関係はより一層深まりましたね。一方で、小七が見せた命がけの忠誠心には胸を打たれました。彼の行動は、雲沐が背負うものの重さを改めて突きつけてきます。そして、靳商羽(きんしょうう)とのライバル関係、若珊の内に秘めた嫉妬心など、新たな対立の構図がはっきりと見えてきました。甘い恋模様だけでなく、ヒリヒリするような人間関係が巧みに描かれ、物語にさらなる奥行きが生まれたように感じます。それぞれのキャラクターが抱える光と影が鮮明になり、今後の展開から目が離せません。
つづく