『幻楽森林』第5話、今回もそれぞれの思惑が複雑に絡み合って、目が離せない展開でしたね!早速、あらすじとネタバレを振り返っていきましょう。
物語は、姉の蘇若珊(そじゃくさん)が、あの瑤山(ようざん)夫人の前でハープを披露するシーンから始まります。その美しい音色は夫人を魅了し、若珊こそがかつて息子を救った「碧玉の少女」だと信じ込ませるには十分でした。夫人は若珊に高価な玉佩を贈り、二人の「縁」を喜びますが、当の若珊は冷や汗もの。本当の碧玉の少女ではない彼女は、詳細を知らない過去の話を振られて内心ヒヤヒヤです。それでも、最高の楽師「大楽正」の称号を得るため、妹を裏切ってでもこの身分を偽り続ける覚悟を決めるのでした。
その頃、妹の蘇若非(そじゃくひ)は、ひょんなことから気難し屋の楽師・雲沐(うんもく) の屋敷で暮らすことに。好奇心旺盛な蘇若非(そじゃくひ)は、早速雲沐(うんもく) の書斎に忍び込みますが、そこは無数の鏡が置かれた不思議な空間。「なんてナルシストなの!」と笑っていると、雲沐(うんもく) 本人が帰ってきてしまいます!慌てて連れ出される蘇若非(そじゃくひ)。雲沐は彼女の存在が目障りなようで、ありえない量の楽譜をすべて暗記しろだの、新しい衣装を身につけろだのと無理難題を押し付けます。
さらに驚くことに、蘇若非にあてがわれた部屋は、なんと雲沐の寝室!もちろん、雲沐様のベッドで寝るなんてことは許されず、屏風の裏にある小さな寝台が彼女のスペース。緊張で眠れない蘇若非を見かねた雲沐は、お互いの手首を一本の組紐で結び、「自分が動けばわかるだろう」とぶっきらぼうに提案します。これぞツンデレの極み!…かと思いきや、蘇若非が寝返りをうつたびに、彼女の手につけられた鈴がチリンチリンと鳴り響き、結局二人とも眠れない夜を過ごすのでした。
一方、都で大人気の楽師・靳商羽(きんしょうう)は、幼い頃に出会った蘇若非のことばかりを考えて笛を吹いています。そんな彼の前に、謎の女性・黄鶯(こうおう)が突如現れ、彼は慌てて身を隠します。どうやら彼女からも追われているようで、前途多難な様子。ファンと黄鶯から逃げ回って疲れ果てた靳商羽(きんしょうう)は、雲沐に助けを求め、彼の屋敷に住まわせてもらうことになります。
手鈴の練習にうんざりした蘇若非は、仮病を使ってサボり、木の上で一休み。すると、そこで偶然にも靳商羽(きんしょうう)と再会します。靳商羽はプレゼントを渡し、「子供の頃の僕だと思ってほしい」と切実に訴えますが、蘇若非は目の前のスター楽師と幼なじみがどうしても結びつきません。靳商羽がもどかしくも正体を明かそうとしたその時、蘇若非を呼ぶ声が聞こえ、彼女は慌ててその場を走り去ってしまうのでした。すれ違う二人が、なんとも切ないですね。
偽りの身分を手に入れた姉と、何も知らずに新たな生活を始めた妹。そして、想いを伝えられない幼なじみ。それぞれの運命が、幻楽坊で複雑に絡み合い始めます。
『幻楽森林』第5話の感想
今回のエピソードは、主要な登場人物たちの立場や心情がより深く掘り下げられ、物語に一層の厚みが出たと感じました。身分を偽る姉・若珊の罪悪感と野心、何も知らずに雲沐との奇妙な同居生活を送る妹・蘇若非の天真爛漫さ、そして過去の思い出を胸に秘めながらも蘇若非に気づいてもらえない靳商羽の切なさ。それぞれの感情が丁寧に描かれており、誰の視点で見ても感情移入してしまいます。特に、雲沐と蘇若非が組紐で手首を結ばれるシーンは、二人の関係性の変化を象徴するようで印象的でした。反発しあいながらも、どこかでお互いを意識し始めている不器用な二人の距離が、今後どう縮まっていくのか、非常に興味をそそられます。嘘と真実、そして過去の約束が、彼らの未来をどのように導いていくのか、物語の行く末から目が離せません。
つづく