ついに最終回を迎えた『七夜雪』。愛する人のため、ただひたすらに走り続けた霍展白(フオ・ジャンバイ)を待っていたのは、あまりにも悲しい結末でした。今回は、涙なくしては見られない第32話の全貌を、ネタバレありでじっくりとお届けします。

馬を飛ばし、やっとの思いで薬師谷にたどり着いた霍展白(フオ・ジャンバイ)。しかし、谷に満ちていたのはいつもの穏やかな空気ではなく、廖谷主(リャオこくしゅ)や妙風(ミアオフォン)たちの沈痛な面持ちでした。何かを察した霍展白(フオ・ジャンバイ)は、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) はどこだと皆に詰め寄ります。しかし、寧ばあやの口から告げられたのは「紫夜はもういない」という信じがたい言葉でした。

彼の目の前には、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) の名が刻まれた、真新しい墓碑が。その事実を受け入れられず、霍展白は意識を失い、その場に崩れ落ちてしまいます。

再び目覚めても、過酷な現実は変わりません。廖谷主(リャオこくしゅ)は、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) が自ら金針で喉を突き、命を絶ったことを告げました。彼女は最期の瞬間まで薬師谷へ帰ることを望み、霍展白との再会を願っていたのです。しかし、その願いも虚しく、耐えがたい苦しみの末に、自ら死を選んだのでした。霍展白は「彼女の最期は、安らかだったか」とだけ問い、廖谷主は「彼女が望んだ通り、安らかだった」と答えました。たった一日、あと一日早く着いていれば…。霍展白の胸を、生涯消えることのない後悔が突き刺します。

夜が更けるまで薛紫夜の墓前に跪く霍展白に、寧ばあやは一通の手紙を返します。それは、霍展白が送ったものの、彼女が読むことのできなかった手紙。二人の運命は、あまりにも残酷にすれ違ってしまったのです。

その後、霍展白は鼎剣閣へと戻ります。閣主は彼の功績を称え、次期閣主の座を譲ろうとしますが、霍展白は静かにそれを断りました。8年という月日を経て、彼の心はもはや江湖の覇権にはなく、ただ愛する人を想うことだけにあったのです。

時が流れ、妙風(ミアオフォン)は薬師谷の新たな谷主となりました。彼は薛紫夜の遺志を継ぎ、谷の門戸を広く開け、多くの病人を救っています。

ある日、霍展白は薛紫夜を弔うために薬師谷を訪れ、妙風(ミアオフォン)と酒を酌み交わします。そこへ、かつての魔宮での装いを解いた瞳(トン)が現れました。彼は薛紫夜を「小夜姉さん」と呼び、姉を訪ねてきたのです。薛紫夜がどれほど霍展白を愛していたか、そして彼を救うために二人が結ばれなかった運命を、瞳は静かに語りました。三人は、それぞれが愛した薛紫夜の墓に杯を掲げます。人は去り、酒は乾き、それぞれの道がまた始まります。

瞳は己の罪を洗い流すため、仏門に入り青灯の下で生涯を送ることを決意しました。

そして霍展白は、薬師谷に留まりました。来る日も来る日も薛紫夜の墓を訪れ、彼女に語りかけ、共に酒を飲む。そんな穏やかな日々を重ね、若き剣客は白髪の老人となりました。彼の愛は、その生涯をかけて薬師谷の雪の中に捧げられ、愛する人の隣で静かに永遠となったのです。

『七夜雪(しちやせつ)』最終回 第32話の感想

あまりにも静かで、切なく、そして美しい最終回でした。愛する二人が結ばれるという結末ではなく、一人の男がその生涯をかけて愛を貫き通すという形で物語は幕を閉じました。霍展白が薛紫夜を失った悲しみと後悔を背負いながらも、彼女の思い出と共に薬師谷で穏やかに老いていく姿は、涙なしには見られません。彼の愛は、決して声高に叫ばれるものではありませんが、その深さと誠実さには胸を打たれます。また、妙風や瞳がそれぞれの形で薛紫夜の想いを継いで生きていく姿にも、静かな救いを感じました。悲劇的な運命に翻弄されながらも、登場人物たちが示した愛と信念の形は、深い余韻を残してくれました。壮大な物語の終着点として、これ以上ないほど心に染み入る結末だったと思います。

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