鼎剣閣の霍展白(フオ・ジャンバイ)ら七剣は、不穏な噂が流れる刺客組織・元一宮へと潜入します。そこで彼らを待っていたのは、死んだはずの仲間との驚くべき再会でした。しかし、その再会は巧妙に仕組まれた罠の始まりに過ぎませんでした。一方、深手を負った薬師谷の谷主・薛紫夜(シュエ・ズーイエ) を救うため、妙風(ミアオフォン)はたった一人で彼女を運び、必死に薬師谷を目指します。それぞれの場所で極限の状況に立たされる中、霍展白と薛紫夜、二人の運命が残酷に交錯していきます。信じていた者からの裏切り、そして静かに迫りくる悲劇の予感が、物語を深い闇へと誘う回です。
「七夜雪(しちやせつ)」あらすじネタバレ31話
運命の悪戯か、悲痛なるすれ違い
物語は、霍展白(フオ・ジャンバイ)率いる鼎剣閣の七剣が、傷ついた薛紫夜(シュエ・ズーイエ) を抱えて急ぐ妙風(ミアオフォン)と遭遇するシーンから始まります。もう、ここからが辛い!妙風(ミアオフォン)の「妙春風」の功力は完全に回復しており、霍展白(フオ・ジャンバイ)でさえ簡単には手出しできません。
妙風(ミアオフォン)は一刻も早く紫夜を救いたい一心で、争うつもりはないと告げます。霍展白(フオ・ジャンバイ)は、彼が抱えているのが心から想う紫夜だとは夢にも思わず、道を開けようとします。その瞬間、紫夜がかすかに声を発するのですが、霍展白の耳には届かず、彼女は再び意識を失ってしまいます…。そして、紫夜が落とした木の簪(かんざし)にも気づかぬまま、霍展白は仲間と共に元一宮へと向かうのでした。すぐそこにいるのに、どうして気づいてあげられないの…!と、画面の前で叫んでしまいました。これほど残酷なすれ違いがあるでしょうか。
信じた友の裏切り、元一宮の闇
元一宮にたどり着いた七剣ですが、そこは不気味なほどに静まり返っていました。すると大殿に、仮面をつけた一人の男が現れます。その正体は、なんと死んだはずの兄弟子、徐重華(シュー・チョンホワ)!
霍展白は彼の生存を心から喜びますが、それこそが徐重華の仕掛けた罠でした。彼は自らの死を偽装し、元一宮で潜伏していたのです。長無絶(チャン・ウージュエ)と妙水(ミアオシュイ)が相打ちになり、瞳(トン)も重傷を負って捕らえられたという話も、すべては霍展白たちを誘い込むための嘘。
雪獄で、徐重華はその本性を現します。彼は衛風行(ウェイ・フォンシン)を人質に取り、武林の覇権と鼎剣閣の閣主の座をよこせと叫びます!長年、霍展白への嫉妬と劣等感に苛まれていた彼の心は、完全に闇に堕ちていました。霍展白が閣主の座など望んでいないと訴えても、もう彼の耳には届きません。
霍展白は仲間を救うため、涙をのんで剣を捨てます。徐重華は瞳に、霍展白へ瞳術をかけるよう命令。しかし、ここで驚きの展開が!瞳は徐重華を裏切り、結果的に霍展白が衛風行(ウェイ・フォンシン)を守るために徐重華を討つ形となったのです。
「なぜ俺を助けた」と問う霍展白に、瞳は静かに答えます。「お前は、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) が気にかけている人だから」。この一言で、霍展白は初めて紫夜が元一宮に来ていたこと、そして彼女がどれほど危険な目に遭っていたかを知るのでした。真実を知った霍展白は、血相を変えて薬師谷へと馬を走らせます。
届かぬ想い、誇り高き最期
その頃、妙風は満身創痍で紫夜を運び続けていました。自らの功力を注ぎ込み、必死に彼女の命をつなぎとめようとします。一度、紫夜は意識を取り戻し、愛しい霍展白の名を呼びながら、遥か彼方の光に手を伸ばしますが、その手は力なく落ちてしまいます…。
絶望の中、妙風は偶然立ち寄った飯屋で、紫夜の師匠である廖谷主(リャオこくしゅ)と出会います。しかし、廖谷主(リャオこくしゅ)は紫夜の顔が髪で隠れていたため、自分の弟子だとは気づきません。そして、非情にも告げるのです。「この方はもう亡くなっている。死後、二刻(約4時間)は経っているだろう」と。
廖谷主は、彼女が金針で自らの経穴を封じていることに気づきます。それは、毒(噬魂散)によって変わり果てた姿を晒すことを拒んだ、彼女の最後の誇りでした。「きっと、とても誇り高い女子だったのだろう」と呟き、そっと髪をかき分けた廖谷主。その目に映ったのは、愛弟子、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) の安らかな、しかしあまりにも悲しい亡骸でした。
「この馬鹿弟子が!人のことばかり救って、自分のことは顧みないで!」
師の慟哭が、雪の降る夜に響き渡ります。そして、何も知らずに必死で馬を駆る霍展白が薬師谷に到着し、廖谷主と妙風の姿を認めたところで、この壮絶な31話は幕を閉じるのです。
『七夜雪(しちやせつ)』第31話の感想
今回のエピソードは、物語全体を覆う悲劇性が凝縮されたような回でした。特に印象的だったのは、徹底して描かれる「すれ違い」の残酷さです。霍展白と薛紫夜が物理的に最も近い距離にいながら、互いを認識できずに離れてしまう場面は、運命の非情さを象徴していました。お互いを想う心が強いほど、このすれ違いの痛みは深まります。
また、徐重華の裏切りは、単なる悪役の登場ではなく、人間の嫉妬や劣等感といった普遍的な感情から生まれた悲劇として描かれており、物語に深みを与えています。彼が抱えていた苦悩を思うと、一方的に非難することもできません。
そして何より、薛紫夜の最期です。彼女が自らの尊厳を守るために金針を打ったという事実は、彼女の医師としての、そして一人の女性としての誇りの高さを物語っています。それを師匠である廖谷主が看取り、その死の理由に気づいて慟哭するシーンは、涙なしには見られませんでした。希望の光が見えたかと思うと、次の瞬間には深い闇に突き落とされる。そんな激しい感情の揺さぶりに、ただただ心を掴まれました。
つづく