自らの命が尽きかけていることを悟りながらも、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) は元一宮の教王・長無絶(チャン・ウージュエ)の治療という危険な任務に臨みます。宮殿では、それぞれの思惑が渦巻き、緊迫した空気が流れます。治療が進む中、長年隠されてきた過去の因縁が解き明かされ、物語は衝撃的な展開を迎えます。ある人物の悲願の復讐が、登場人物たちの運命を大きく揺るがし、悲劇的な結末へと導いていくのでした。

「七夜雪(しちやせつ)」あらすじネタバレ30話

霍展白(フオ・ジャンバイ)が瓜州での穏やかな暮らしを思い描き、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) との未来に心を馳せている頃、彼女は死の淵に立たされていました。瞳(トン)から毒を吸い出した代償は大きく、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) の五臓六腑はすでに毒に蝕まれていたのです。薄れゆく意識の中、彼女の脳裏に浮かぶのは霍展白(フオ・ジャンバイ)の顔と、彼と交わした「笑紅塵」を共に飲むという約束。しかし、その約束はもはや果たせない運命でした。彼女は心の中で、愛する人に別れを告げます。

夜が明け、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) は解毒薬でかろうじて体を支え、妙風(ミアオフォン)と共に元一宮の教王・長無絶(チャン・ウージュエ)の治療へと向かいます。彼女の覚悟を知らない妙風(ミアオフォン)は、薬箱を念入りに調べる用心深さを見せます。

宮殿では、薛紫夜が長無絶(チャン・ウージュエ)の脈を診ますが、核心に触れない彼女に長無絶(チャン・ウージュエ)は激昂し、首を締め上げます。しかし「治せる」という一言で、彼は落ち着きを取り戻しました。治療が始まり、薛紫夜が長無絶の背中の無数の傷跡に一瞬息をのんだその時、ついに計画が実行に移されます。外では徐重華(シュー・チョンホワ)が人払いをし、中で機会をうかがっていた妙水(ミアオシュイ)が動きます。薛紫夜が最後の一撃を加えようとした瞬間、長無絶が抵抗。妙風(ミアオフォン)が身を挺して彼女を守りますが、二人とも地面に叩きつけられてしまいます。

その時、長無絶に真の最後の一撃を与えたのは、彼に仕えていたはずの妙水(ミアオシュイ)でした。彼女は、21年前に長無絶によって滅ぼされた桑国の公主であり、妙風が探し続けていた実の姉・雅弥(ヤーミー)だったのです。彼女は一族の仇を討つため、素性を隠して長無絶に近づいていたのでした。

衝撃の真実に妙風は言葉を失います。しかし、復讐を果たした妙水(ミアオシュイ)は、長無絶に仕えていた弟をも手にかけようとします。血を吐きながらも薛紫夜は妙風の助命を乞いますが、妙水は聞き入れません。弟の命と引き換えに薛紫夜を助けてほしいと懇願する妙風。その時、薛紫夜が彼の本当の名前「雅弥」を叫びます。記憶の扉が開かれた妙水ですが、弟が仇の側近であったという事実は、彼女の心を固く閉ざしたままでした。

その刹那、まだ息のあった長無絶が最後の力を振り絞り妙水を襲います。妙風が姉をかばって深手を負い、それを見た妙水は、自らの命と引き換えに長無絶を完全に葬り去り、宮殿の外へと散っていきました。

薛紫夜もまた、噬魂散の毒を自らの体に移していたことで重傷を負っていました。その自己犠牲を知った妙風は涙を流し、その悲しみが引き金となってか、失われていたはずの妙春風の功法が蘇ります。彼は薛紫夜の「薬師谷へ…」という呟きを聞き、急いで彼女を故郷へと送り届けます。その様子を、徐重華は静かに見送るのでした。

一方、徐重華は瞳のもとを訪れ、新たな取引を持ちかけます。長無絶が死んだ今、瞳を新たな閣主に押し上げる代わりに、鼎剣閣の七剣を殺し、武林を二分するという恐ろしい計画を提案するのでした。

『七夜雪(しちやせつ)』第30話の感想

今回は、物語の核心に迫る壮絶な復讐劇が描かれ、息つく暇もないほど密度の濃いエピソードでした。特に、妙水と妙風の悲しい過去と姉弟の結末には胸が締め付けられます。長年抱き続けた復讐心と、唯一の肉親である弟への複雑な感情が交錯し、ついには自らの命と引き換えにすべてを終わらせる彼女の選択は、あまりにも悲痛です。また、薛紫夜の自己犠牲の精神も際立っていました。彼女の行動は、単なる医師としての使命感を超え、深い人間愛と、過去の出来事への償いの念を感じさせます。登場人物それぞれの背負う宿命がぶつかり合い、物語はさらに重厚な局面を迎えました。

つづく