舞台は明朝時代の中国。皇帝直属の冷酷なエリート秘密警察「錦衣衛」の陸繹(りくえき) は、国を揺るがす機密文書「布防図」の盗難事件を追っていた。一方、庶民派の警察組織「六扇門(りくせんもん)」に所属する袁今夏(えんきんか)は、男勝りだが天才的な捜査能力を持つ女性捕快(ほかい)。ある焼死事件の現場で出会った二人だが、その出会いは最悪そのもの。高圧的な陸繹(りくえき) に、今夏は真っ向から反発する。身分も性格も正反対の二人が、それぞれの知恵とプライドをかけて、同じ事件の真相に迫っていく。

「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」あらすじネタバレ1話

明朝、嘉靖(かせい)帝の時代。朝廷では大臣・厳嵩(げんすう)とその息子・厳世蕃(げんせいはん)が権力をほしいままにし、逆らう者たちを次々と排除していました。外に目を向ければ倭寇が沿岸を脅かし、まさに内憂外患の状況。そんな中、国の防衛計画が記された超重要機密「兵部布防図」が盗まれるという大事件が発生します。

皇帝直属の秘密警察「錦衣衛」に所属する若きエリート、陸繹(りくえき) は、この事件の捜査を命じられます。彼は拷問もためらわない冷酷さで容疑者を尋問し、前役人である曹昆(そうこん)が布防図を盗んで逃亡したという情報を掴み出しました。その眼差しは氷のように冷たく、彼の前ではどんな嘘も通用しないかのようです。

一方、庶民派の警察組織「六扇門(りくせんもん)が活躍していました。彼女は男装して食堂に飛び込み、豪快に食事をかっさらうなど、おてんばで食いしん坊。しかし、その観察眼は本物。駆け落ち中の男女を見つけると、たちまち犯人の李旦(りたん)を追い詰め、見事な立ち回りで捕縛します。そのドタバタの最中に髪がほどけ、実は女性だったことがバレてしまうあたりもご愛嬌。

そんな二人が出会うきっかけとなったのが、曹昆が火事で死んだとされる事件でした。今夏は師匠である楊程万(ようせいばん)の指示で現場に駆けつけ、検視の結果、焼死体は別人による他殺だと見抜きます。15両の報奨金のために、彼女が事件の調書を握りしめたその瞬間、背後から現れた陸繹(りくえき) に調書を奪われてしまいます。

「検視が甘い」。陸繹(りくえき) は、今夏が見つけた証拠の矛盾点を冷ややかに指摘し、彼女の自作した大切な手銃まで取り上げ、事件の管轄権を強引に奪い去りました。エリート意識丸出しの彼の態度に、今夏の怒りは頂点に。「あんたより先に犯人を見つけてやる!」と、彼女は固く誓うのでした。

腹の虫が収まらないまま家に帰ると、今度は陸繹が李旦を捕らえる際に、養母である袁大娘(えんたいじょう)が営む豆腐屋台をめちゃくちゃに。わずか二両の銀を投げ渡され、悔し涙をこらえる今夏。

しかし、彼女はこのまま引き下がるような女性ではありません。同僚の楊岳(ようがく) と協力し、牢獄にいる李旦に揺さぶりをかけます。李旦が大金を持っていたことから、今夏は「駆け落ちは曹昆が自分の死を偽装するために仕組んだ芝居だ」と推理。ついに曹昆の隠れ家を二箇所まで突き止め、二手に分かれて捜査を開始します。

けれど、彼女のその行動は、すべて陸繹の掌の上でした。物陰から今夏の動きを冷静に見つめる陸繹。果たして、先に曹昆を見つけ出すのはどちらなのでしょうか。

『花様衛士~ロイヤル・ミッション~』第1話の感想

初回から、物語の二本柱である「事件捜査」と「朝廷の権力闘争」が巧みに描かれ、一気に世界観に引き込まれました。何より魅力的なのは、陸繹と袁今夏(えんきんか)という二人の主人公の鮮やかな対比です。冷徹で手段を選ばないエリートの陸繹と、明るくたくましい庶民派の今夏。身分も性格も捜査スタイルも正反対の二人が、一つの事件を巡って火花を散らす様子は、見ていて実に小気味良いです。特に、陸繹が今夏の推理の穴を突き、権力を笠に着て事件を横取りする場面は、彼の非情さと頭のキレが際立っていました。一方で、お金にがめつくても正義感と人情に厚い今夏のキャラクターには、つい肩入れしたくなります。彼女の出生の秘密を匂わせる養母とのやり取りも、今後の物語の深まりを感じさせます。この二人が反発しあいながらも、いずれその能力を認め合っていくであろう過程を想像すると、期待が膨らみます。複雑な事件の謎解きと、二人の関係性の変化、この両輪がどう回っていくのか、じっくりと見届けたいと思わせる、見事な幕開けでした。

つづく