行方知れずだった朱曼娘(しゅまんな)が、突然顧廷燁(こていよう)の屋敷に現れます。息子の死は顧廷燁のせいだと激しく罵る彼女に対し、顧廷燁は怒りを抑えきれません。しかし、妻の明蘭(みんらん)は冷静に夫をなだめ、この騒動の裏に何か陰謀が隠されていることを見抜きます。朱曼娘の狂気じみた言動からは真相を聞き出せないと判断した明蘭は、腹心の部下に命じて独自の調査を開始。一方、母を恋しがる娘の蓉姐児(ようじょじ)は、父に隠れて朱曼娘に会いに行きますが、そこで思いもよらない恐ろしい出来事に遭遇してしまいます。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ53話

いやあ、今回の『明蘭』は息をするのも忘れるくらい、画面に釘付けになりましたね!前回、顧廷燁(こていよう)の前に突如現れた朱曼娘(しゅまんな)は死んだと泣き叫び、その死はすべて顧廷燁(こていよう)のせいだと狂ったように罵ります。

あまりのことに激高し、今にも拷問具を持ってこいと叫ぶ顧廷燁(こていよう)。気持ちは痛いほどわかりますが、ここで彼をピシャリと止めたのが、我らが明蘭(めいらん)です。

あなた、落ち着いて!とばかりに夫を外に連れ出し、冷静に状況を分析してみせる明蘭。そもそも、あの小秦氏(しょうしんし)の侵入を黙って見過ごすはずがない。ここで下手に手を出せば、待ってましたとばかりに正義の仮面を被って乗り込んでくるに決まっています。しかも、今は皇帝と皇太后が権力争いの真っ最中。顧廷燁に少しでも落ち度があれば、それはもう顧家の問題では済まされなくなる…と。明蘭の的確な指摘に、顧廷燁も娘の蓉姐児(ようじょじ)のためにと、なんとか怒りを収め、朱曼娘(しゅまんな)の身柄を開封府に預けることを承諾するのでした。

さて、狂乱状態の朱曼娘から話を聞き出すのは不可能。ならばと、明蘭は別の角度から攻めることにします。夜通しかけて、なんと小秦氏(しょうしんし)の似顔絵を何枚も描き上げる明蘭。屋敷には多くの目があるため、腹心の石頭(せきとう)にこの絵を渡し、極秘に調査を命じます。

この調査が、とんでもない黒い繋がりを暴き出しました。朱曼娘は顧家を出た後、顧家の財産を狙う白(はく)家に目をつけられていたのです。贅沢な暮らしの味を忘れられない朱曼娘は、白家と結託して顧廷燁を殺害する計画に加担。さらに、顧廷燁の死後、彼の遺書を無効だと証言させる見返りに、小秦氏(しょうしんし)とも手を組んでいたのでした。白家は財産を、そして小秦氏は自分の息子の顧廷煒(こていい)に爵位を継がせる…まさに利害が一致した悪魔の契約です。

しかし、この絶望的な状況の中に、一筋の光が差し込みます。昌哥児(しょうか)が彼らの計画の一部であるならば、彼はきっとまだ生きているはず!この希望を胸に、石頭は漕運ギルドを使って白家の船を拿捕しますが、残念ながら昌哥児(しょうか)は見つかりませんでした。

焦りと落胆が広がる中、最も心を痛めていたのは姉の蓉姐児でした。母に会いたいと願う健気な娘。しかし顧廷燁は母さんは病気だと会わせようとしません。その夜、蓉姐児は父の目を盗んで、こっそりと朱曼娘が囚われている部屋へ向かってしまいます。

お母様…と駆け寄る蓉姐児。しかし、朱曼娘の口から出たのはこの欲張り者!という罵声でした。あろうことか、盛明蘭(せいめいらん)を困らせるために、お前はここにいればいいとまで言い放ちます。それでも弟の行方を尋ねる蓉姐児に対し、朱曼娘は突然、鬼の形相で娘の首を締め上げ、床に押さえつけたのです!実の娘にさえ、容赦なく手をかけるその姿は、まさに狂気そのものでした。

間一髪で駆けつけた明蘭と顧廷燁が蓉姐児を救出。怒りで我を忘れた顧廷燁を明蘭が必死で部屋から連れ出します。一人残った明蘭は、朱曼娘に向き直り、怒りをぶつけます。あなたは昌哥児を道具としか見ていない!本当にあの子を愛したことなどないのでしょう!と。そして、亡き母・衛恕意(えいじょい)の名にかけて、昌哥児の居場所を教えてほしいと誠心誠意訴えかけますが、朱曼娘は不気味な笑い声を上げるだけ…。その声は部屋の外にいる明蘭の背筋をも凍らせるのでした。

この一部始終は、もちろん小秦氏の耳にも入っていました。朱曼娘を罰しなかったと聞き、それが明蘭の深謀遠慮によるものだと見抜いて、彼女の用心深さを改めて警戒します。

その夜、顧廷燁はショックを受けた蓉姐児のそばで一睡もせずに付き添います。一方、明蘭は部屋を歩き回り、必死に思考を巡らせていました。昌哥児は一体どこに?その時、ふと彼女の脳裏に、ある人物の存在が浮かび上がります。そうだわ…朱曼娘には、兄がいたはず!

翌朝、顧廷燁は朱曼娘を開封府へ送るよう命じますが、明蘭はそれを制し、驚くべき提案をします。彼女を解き放ちましょう。母親ならば、どれだけ非道でも我が子が気になるはず。必ず、会いに行くはずですと。

『明蘭~才媛の春~』第53話の感想

今回のエピソードは、人間の持つ愛情の光と、狂気の闇が強烈なコントラストをなしており、深く考えさせられる回でした。特に、朱曼娘が実の娘である蓉姐児の首を絞める場面は、母性という概念そのものを根底から覆すような衝撃がありました。彼女にとって子供とは、富と地位を得るための道具でしかなく、その執着が彼女自身を怪物に変えてしまったのでしょう。一方で、明蘭の姿はまさに聖女のようでした。激情に駆られる夫をいさめ、敵の背後関係を冷静に探り、さらには自分を陥れようとする相手の子供の心配までしてみせる。その知性と慈愛の深さには、ただただ感服するばかりです。蓉姐児の健気さと彼女が受けた心の傷を思うと胸が痛みますが、この絶望的な状況を明蘭がどう切り抜けていくのか、目が離せません。

つづく