皇帝からの罰を覚悟の上で、亡き母・白氏(はくし)の名誉ある称号を勝ち取った顧廷燁(こていよう)。しかし、その代償は大きく、一族の恩人であるはずの彼に、親族は心無い言葉を浴びせる。一方、顧廷燁への憎しみを募らせる継母の小秦氏(しょうしんし)は、彼の元愛人である朱曼娘(しゅまんな)を利用した次なる策略を巡らせていた。そんな中、行方知れずだった朱曼娘が、息子の居場所をちらつかせながら顧廷燁の前に姿を現す。彼女の真の目的とは一体何なのか。顧廷燁と明蘭(みんらん)に、新たな嵐が吹き荒れる。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ52話

顧廷燁(こていよう)に、これでもかというほど試練が襲いかかります。亡き母のため、そして愛する明蘭(めいらん)のため、必死に前へ進もうとする彼を待ち受けていたのは、あまりにも残酷な裏切りと、狂気に満ちた刃でした。

爵位継承の裏にあった悲壮な覚悟

物語は、顧廷燁(こていよう)が皇帝から叱責を受けながらも、亡き母・白氏(はくし)のために誥命(こうめい)という名誉ある称号を勝ち取るところから始まります。乳母の常(じょう)ばあやが母の位牌の前で涙ながらに喜ぶ姿は、見ているこちらも胸が熱くなりました。これでようやく、商人の娘であると蔑まれてきた母の汚名がそそがれるのですから。

しかし、この栄誉には大きな代償が伴いました。明蘭が皇帝からの聖旨に不審な点を見つけたことで、顧廷燁(こていよう)は皇帝の逆鱗に触れる覚悟でこれを願い出たことを白状します。

さらに、顧廷燁の尽力で顧家一族は滅亡の危機を免れたというのに、四叔父夫婦は自分たちの息子が流罪になったのは顧廷燁のせいだと逆恨み。恩を仇で返すとは、まさにこのこと。身内こそが一番の敵、という構図が鮮明になってきましたね。

新・寧遠侯を襲う悪意の刃

正式に寧遠侯(ねいえんこう)の爵位を継いだ顧廷燁。妻である明蘭も永嘉郡夫人という破格の称号を得て、夫婦の未来は明るいかのように見えました。

しかし、そんな祝賀ムードをぶち壊しにやってきたのが、例の四叔父夫婦です。彼らの理不尽な非難に対し、継母の小秦氏(しょうしんし)がいつものようにまあまあと仲裁に入りますが、顧廷燁は芝居がかったその態度は、芝居小屋でやれ!と一喝。ついに、積年の怒りを爆発させ、彼らを追い返します。

この一件で、小秦氏(しょうしんし)の憎悪は頂点に。彼女は借刀殺人、つまり自分の手を汚さずに誰かを利用して顧廷燁を殺し、爵位を奪い返すことを心に誓うのでした。あの静かな怒りの表情、恐ろしすぎます…。

そんな中でも、夫婦水入らずの夜のシーンには少し癒やされました。明蘭に二郎(じろう)と呼ばせようと、子供のようにこだわる顧廷燁。憎い継母への怒りを忘れ、束の間見せる素顔が、彼の孤独を物語っているようでした。

狂気の母、朱曼娘(しゅまんな)の再来

しかし、平穏は長くは続きません。小秦氏(しょうしんし)は密かに白家の元使用人と接触し、最悪の刺客を呼び寄せます。そう、あの朱曼娘(しゅまんな)です。

朱曼娘(しゅまんな)は顧廷燁の屋敷の前に馬で乗りつけ、息子の昌哥児(しょうか)の行方を盾に騒ぎ立てます。明蘭は冷静に息子さんだけなら引き取ってもいいと提案しますが、朱曼娘はあんたのせいで追い出されたんだ!と聞く耳を持ちません。小秦氏はここでも偽善者の仮面をかぶり、明蘭に嫉妬深いと思われますよと囁く始末。本当に腹立たしいですね。

その夜、朱曼娘は昌哥児の居場所を教える代わりに、夫婦の契りを交わせという常軌を逸した要求を突きつけます。これには顧廷燁も激昂しますが、驚いたのは明蘭の反応。その条件、受け入れてもいいのでは?と冷静に分析するのです。夫が他の女と寝ることを意に介さない妻の姿に、顧廷燁は衝撃を受けます。

しかし、これはもちろん罠。顧廷燁が朱曼娘のもとへ向かうと、彼女は隠し持っていた匕首で彼の胸を深く突き刺しました。

そして、狂ったように笑いながら、絶望的な真実を叫ぶのです。

昌哥児はとっくに病死したわ!

夫の胸から流れる血と、息子の死という二重の衝撃に、明蘭はただ立ち尽くすしかありませんでした。

『明蘭~才媛の春~』第52話の感想

今回のエピソードは、顧廷燁という一人の男が背負う過酷な運命を、まざまざと見せつけられた回でした。亡き母の名誉を回復するという悲願を達成した一方で、親族からは裏切られ、継母には命を狙われ、そして元愛人には身も心も切り裂かれる。彼の苦しみを思うと、胸が締め付けられます。特に、ずっと探し続けていた息子の死という残酷な真実は、あまりにも衝撃的でした。

そんな絶望的な状況下で、明蘭の冷静さと強さが際立ちます。彼女の存在だけが、顧廷燁にとって唯一の光なのでしょう。しかし、その光さえも消そうと、小秦氏と朱曼娘という二人の女の執念が渦巻いています。彼女たちの狂気じみた行動は、物語に恐ろしいほどの緊張感を与えていました。守るべきものを手に入れたからこそ、次々と襲い来る不幸。この先、夫婦がこの絶望をどう乗り越えていくのか、目が離せません。

つづく