顧家の長兄・顧廷煜(こていよく)が、病床から顧廷燁(こていよう)を呼び寄せます。長年いがみ合ってきた兄弟が、祠堂で二人きりで対峙する中、顧廷煜は顧廷燁の母の名誉回復を約束すると共に、ある最後の願いを託します。それは、残される妻子を守るための、知略を尽くした深謀遠慮でした。一方、朝廷では顧家の縁者の処罰を巡り、顧廷燁が皇帝や重臣たちの前で驚くべき行動に出ます。彼の決断は、ライバルである斉衡(せいこう)との間に新たな火種を生み、朝廷の力関係にも静かな波紋を広げていくことになります。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ51話

顧家の祠堂、薄暗い灯りの中で向き合う二人の兄弟、顧廷燁(こていよう)と顧廷煜(こていよく)。長年、病と家督争いの中で歪み合ってきた彼らの関係が、顧廷煜(こていよく)の死を前に、思いもよらない形で決着を迎えようとしていました。今回は、一人の男の死が、顧家と朝廷に大きな波紋を広げる、まさに物語の転換点となるエピソードです。

兄・顧廷煜の最後の策謀

顧家の祠堂に顧廷燁(こていよう)を呼び出した顧廷煜。彼は、自分の死期が近いことを悟っていました。そして、長年顧廷燁(こていよう)を苦しめてきた母・白氏(はくし)の名誉回復について、すでに皇帝に上奏し、白氏(はくし)を正式な夫人として族譜に記す手はずを整えたと告げます。これは、顧廷燁がずっと望んでいたことでした。

しかし、これは単なる罪滅ぼしではありません。全ては、残される妻の邵氏(しょうし)と娘の嫻姐児(かんじょじ)を守るための深謀遠慮だったのです。父母の子を愛するは、則ち之が為に計を深遠にす…病弱な体で練り上げた、あまりにも切ない最後の策謀でした。

一見、恩着せがましい態度で顧廷燁に恩を売り、自分の妻子を託す。その裏には、自分が死んだ後、小秦氏(しょうしんし)が彼女たちをないがしろにすることを見越した、父親としての必死の愛情が隠されていました。顧廷燁もまた、その真意を汲み取り、将死の人の願いを聞き入れます。

その後、案の定、小秦氏(しょうしんし)は邵氏(しょうし)に庶子を養子に迎えるよう画策。それを知った顧廷煜は激怒し、邵氏に小秦氏には絶対に近づくな、あの女は他人を盾にすると最後の力を振り絞って警告し、息を引き取るのでした。

朝廷での新たな対立

兄の死後、顧廷燁は朝廷で驚くべき行動に出ます。罪人となった顧家の兄弟たちの減刑を、公の場で皇帝に願い出たのです。これに真っ向から反対したのが、なんと斉衡(せいこう)でした。

顧廷燁は兄弟が杖刑を受けるなら自分が代わりに30回受ける。流罪になるなら自分の官位を下げてくれとまで訴えます。皇帝・趙宗全(ちょうそうぜん)は、公の場でこのような願い出をされたことで、顧廷燁を贔屓していると周囲に示さざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。内心では激怒しつつも、結局は顧廷燁の顔を立て、減刑を認めるしかありませんでした。

この一件は、顧廷燁と皇帝の間に微妙な緊張感を生むと同時に、彼を快く思わない者たちに新たな攻撃の口実を与えてしまいます。

静かに燃える斉衡(せいこう)の対抗心

顧廷煜の葬儀に弔問に訪れた斉衡(せいこう)と妻の申氏(しんし)。帰り道、斉衡は馬車を降りて一人歩きながら、今回の件を冷静に分析します。顧廷燁の行動は、皇帝に私情を挟んだという弱みを握らせ、皇太后を利することになった、と。

妻の申氏(しんし)が盛家の奥様(明蘭)のことで腹を立てているのでは?と口にすると、斉衡は朝廷の争いに婦女子を巻き込むなと厳しい表情で一喝します。その言葉は、彼の中に今なお残る明蘭への特別な感情と、彼女を政争から守りたいという想いの表れなのかもしれません。

『明蘭~才媛の春~』第51話の感想

これまで嫌味で病弱な兄としか見ていなかった顧廷煜という人物の評価が、この回で180度覆りました。彼の全ての言動は、ただひたすらに自分の妻子を守りたいという、深く、そして切実な愛情から生まれたものだったのです。小秦氏の本質を見抜き、最も信頼できる相手として、長年憎んできたはずの弟・顧廷燁に後事を託す知略と父性愛には胸を打たれました。彼の死は、単なる退場ではなく、顧家内の権力闘争を新たなステージに進め、さらに朝廷における顧廷燁の立場をも揺るがす大きな引き金となりました。特に、斉衡との対立がより鮮明になり、それぞれの正義と私情が複雑に絡み合う人間ドラマの深さを改めて感じさせられます。登場人物たちの思惑が静かに、しかし激しくぶつかり合う、見応えのある回でした。

つづく