顧家の従兄弟たちが罪に問われ、一族は存亡の危機に立たされます。跡継ぎの顧廷煒(こていい)までもが捕らえられ、母の小秦氏(しょうしんし)に助けを求めますが、彼は亡き母の名誉回復という重い条件を突きつけます。当主の顧廷煜(こていよく)はこれを頑なに拒否し、兄弟の対立は決定的に。しかし、牢での過酷な状況と、顧廷煜自身の病が、事態を誰もが予想しなかった方向へと動かしていきます。追い詰められた顧廷煜が下す、驚くべき決断とは?顧家の運命が大きく動く、見逃せない一話です。

「明蘭~才媛の春~」あらすじネタバレ50話

夫婦の絆と、迫りくる火の粉

冒頭、穏やかな夜を過ごす明蘭(せいめいらん)と顧廷燁(こていよう)。でも、話題は穏やかじゃない。斉衡(せいこう)の件で少し気まずい空気が流れるけど、明蘭が本当に心配しているのは、夫・顧廷燁(こていよう)の身の上。皇太后と皇帝の関係を例に出し、小秦氏(しょうしんし)のような継母の恐ろしさを語る顧廷燁(こていよう)に対し、明蘭はあなたに何かあったらどうするのと本気で案じます。そんな彼女に何があっても守り抜くと誓う顧廷燁。この夫婦、本当に尊い…!

しかし、そんな二人のもとに、顧家から厄介な知らせが舞い込みます。

顧家の崩壊と、顧廷燁の条件

なんと、顧廷燁の弟・顧廷煒(こていい)が罪に問われ、引っ立てられてしまった!原因は、四房と五房の叔父たちが送り込んできた美女たち。まんまと罠にはめられた形です。妻の朱氏(しゅし)は慌てて明蘭と顧廷燁に助けを求めます。

侯爵家(こうしゃくけ)に乗り込むと、そこはもう地獄絵図。朱氏は明蘭に泣きついて土下座するし、四房・五房の妻たちと髪を掴み合っての大喧嘩!長兄の顧廷煜(こていよく)が杯を叩きつけて一喝するまで収まりません。

皆が顧廷燁の力にすがる中、彼は静かに、しかし断固として一つの条件を突きつけます。

亡き母・白氏(はくし)が顧家を救った事実を族譜に記し、母上の名誉を回復させてほしい

それは、顧廷燁にとって長年の悲願。しかし、顧廷煜はこれを死んでもごめんだ!と一蹴。交渉は決裂し、顧家の闇はさらに深まっていきます。

追い詰められた顧廷煜、最後の決断

顧廷燁は、従兄弟たちの罪が流罪程度で済むと知っていました。それでも彼が許せなかったのは、母の犠牲の上に胡坐をかき、その存在すら忘れ去ろうとする顧家の者たちの態度。彼の胸に渦巻く怒りと悲しみを、明蘭だけがそっと受け止め、慰めるのでした。

一方、牢獄では従兄弟たちが酷い目に遭い、顧廷煒は重病に。小秦氏(しょうしんし)と叔父たちは、息子の身を案じて再び顧廷煜に泣きつきます。四方八方から追い詰められ、極度の心労がたたったのか、顧廷煜はその場で意識を失い倒れてしまうのです。

そして、目覚めた彼の耳に入ってきたのは、医師と妻・邵氏(しょうし)の非情な会話…自分の命が、もういくばくもないという事実でした。

間違っていた…

己の余命を悟った顧廷煜は、絶望の中で何かを決意します。

翌日、顧家の祠堂に一族が集められます。病でやつれた顧廷煜が顧廷燁に手渡したのは、亡き父・顧偃開(こえんかい)が遺した手紙。そこには、驚くべき内容が記されていました。

  • 母・白氏が嫁いだ時の莫大な持参金は、すべて顧廷燁に帰属すること。
  • 分家後の、四房・五房、そして小秦氏の財産分与の詳細。

それは、今まで彼らが不正に得ていた富の根源を断ち、白家の財産を正当な持ち主である顧廷燁に返すという、まさに大逆転の切り札でした。自分たちが横領していた財産がすべて明るみに出され、真っ青になる小秦氏と叔父たち。

これまで顧廷燁を憎み、邪魔者扱いしてきた顧廷煜が、命の最後に下した決断。それは、顧家の当主としての最後の務めであり、弟へのあまりにも遅すぎた謝罪だったのかもしれません。

『明蘭~才媛の春~』第50話の感想

今回は、これまで顧廷燁の前に立ちはだかってきた最大の壁の一人、顧廷煜の物語でした。彼の行動は、単に追い詰められた末の降伏ではありません。自らの死期を悟った彼が、最後に顧家の当主として、そして一人の兄として、果たすべき責任と向き合った結果なのだと感じました。父の遺言を盾に、私腹を肥やしてきた小秦氏たちの顔から血の気が引いていく様は、まさに因果応報。しかし、それ以上に、顧廷煜が長年の確執と憎しみを乗り越え、弟に正義を返した行為に胸を打たれます。彼の選択は、決して弟のためだけではなく、顧家の歪みを正し、残される妻子や一族の未来を守るための、悲しくも気高い決断だったのではないでしょうか。静かながら、物語の潮目を大きく変える、非常に重厚な一話でした。

つづく