自らが妖であるという衝撃の事実を知った捉妖師の宣夜(センヤ)。育ての親の旧友・沈図南(シェン・トゥーナン)は、そんな彼に人か妖かという過酷な選択を迫ります。一方、行方が分からなくなった宣夜を案じる半夏(ハンゲ)ら仲間と共に危険な地下城へと足を踏み入れます。そこで彼女が目にしたものとは?愛する人のすべてを受け入れようとする半夏の強い想いと、自らの存在に苦悩する宣夜。二人の絆の真価が問われる、切なくも美しい物語が展開されます。

「無憂渡~瞳に映った真実の愛~」あらすじネタバレ32話

今回の32話は息を呑む展開の連続でしたね…。宣夜(センヤ)との絆の深さが、これでもかと描かれた神回だったんじゃないでしょうか。さっそく、胸が熱くなったあのシーンやこのシーンを振り返っていきましょう!

衝撃の過去と、父の愛

物語は、沈図南(シェン・トゥーナン)の過去を語るところから始まります。かつて地下城で瀕死の重傷を負っていた宣夜(センヤ)を救ったのは、彼の父親でした。父は宣夜を沈図南のもとで治療させ、術法を教えるうちに、その類まれなる才能に気づきます。その愛情は、実の息子をも超えるほどだったとか…。

しかし、初めて共に妖怪退治へ向かった日、父は無相水を使って宣夜の正体が妖であることを知ってしまいます。苦悩と葛藤の末、父が選んだのは、種族を超えた愛。彼は不二環という法具で宣夜の正体を覆い隠し、息子として育て続けることを決意したのでした。このくだり、もう涙なしには見られません…。

沈図南からすべての真実を聞かされた宣夜は、人として生きるか、妖として生きるかという、あまりにも過酷な選択を迫られます。

地下城での再会、仲間たちの変わらぬ想い

その頃、半夏(ハンゲ)と共に地下城へ。入口で待っていた呂春眠(ルィ・チュンミエン)に導かれ、ついに宣夜との再会を果たします!お互いの無事を確かめるように強く抱きしめあう二人。このシーンを待ってました!

司馬令嬴(スーマー・リンイン)たちは、亡くなった遅雪(チセツ)の亡骸を運び、宣夜が妖であることなど気にも留めない様子。仲間たちの温かさが心に沁みます。

一方で、不穏な動きも。沈図南は呂春眠に、豹妖・子空(ズークン)の捜索を命じ、捕らえられなければ殺せと冷酷な一面を覗かせます。12年に一度しか開かないはずの界門が閉じたまま、なぜ子空(ズークン)が現れたのか…沈図南はその謎に迫ろうとしているようです。

あなたが、あなたであればいい―半夏(ハンゲ)と宣夜、愛の誓い

遅雪の亡骸を前に、自分を責める宣夜。新しいズボンを買ってやれなかった…と涙する彼を、半夏は優しく慰めます。

そして、宣夜は半夏に問いかけます。いつから俺が妖だと?

半夏は、地下城で気づいていたこと、でも、彼を失うのが怖くて言い出せなかったことを正直に打ち明けます。

滑稽だよな。妖怪退治師の俺が、妖だったとは

自嘲する宣夜に、半夏はまっすぐな瞳で告げます。

人でも妖でも、あなたは善良な人。民を守ってきたじゃない。あなたがどんな姿でも、私が愛している宣夜であることに変わりはないわ

この言葉が、どれほど宣夜の心を救ったことでしょう。一度は俺から離れろと半夏を突き放そうとした宣夜ですが、あなたがどこへ行こうと、物乞いになってでも探し出すという半夏の決意に心を打たれ、彼女を強く抱きしめるのでした。これからは、お前を俺の未来に入れる…最高のプロポーズじゃないですか!

沈図南の野望と、非情なる粛清

束の間の平穏とは裏腹に、物語はきな臭い方向へ。司馬令嬴(スーマー・リンイン)は沈図南に対して疑念を抱き始めます。その勘、きっと当たってる…!

宣夜は遅雪の仇である捉妖師、薛橋(シュエ・チャオ)と姜尚雲(ジャン・シャンユン)を捕らえますが、命は奪わず、彼らの妖力を奪うにとどめました。しかし、その直後、呂春眠が現れ、二人を容赦なく斬り殺してしまいます。宣夜の甘さを菩薩を育てたかと嘲笑う沈図南。彼の目的は一体何なのでしょうか。

さらに沈図南は、宋奇(ソン・チー)という妖を謎の池に投げ込み、水に変えてしまいます。大事はもうすぐだ…あと一匹、妖が足りないと呟く彼の姿は、底知れぬ恐怖を感じさせました。

新たな生活、そして新たな波乱の予感

沈図南のもとを去る決意をした宣夜と半夏。沈図南は幽篁(ユウコウ)の存在を気にしてか、ひとまずは二人を行かせますが、その目は笑っていません。

遅雪を弔った二人の前に、再び子空(ズークン)が現れます。遅雪の死の一因が子空にあると怒る宣夜と、そんな弟に失望する子空。兄弟の溝は深まるばかりです。

ラストは、司馬令嬴と幽篁(ユウコウ)の助けを借り、山中で新しい家を見つけた宣夜と半夏が、仲間たちと穏やかに過ごすシーンで幕を閉じました。しかし、この平穏が長くは続かないであろうことは、誰の目にも明らか。沈図南の計画、子空の目的、そして宣夜と半夏の運命は、一体どこへ向かうのでしょうか。

『無憂渡~瞳に映った真実の愛~』第32話の感想

今回のエピソードは、宣夜のアイデンティティを巡る苦悩と、それを包み込む半夏の無償の愛が深く描かれた、非常に感動的な回でした。自分が何者であるかという根源的な問いに直面し、絶望の淵にいた宣夜。彼にとって、種族や過去を問わずあなた自身が大切だと全肯定してくれる半夏の存在は、唯一の光だったに違いありません。二人がお互いの存在を確かめ合うように抱きしめ合う姿は、本作のテーマである真実の愛そのものを見ているようでした。

その一方で、沈図南の底知れぬ野望と呂春眠の非情さが、物語に不穏な影を落としています。宣夜の優しさが、かえって彼らを危険に晒すのではないかという緊張感が常に漂っていました。ようやく手に入れたかに見える穏やかな暮らしが、次なる嵐の前の静けさに思えてなりません。キャラクターの心情と物語のサスペンスが見事に融合した、見応えのある一話でした。

つづく