花灯会でのある出来事をきっかけに、封印されていた記憶の扉を開いた半夏(ハンゲ)。彼女は忘れていた大切な人・宣夜(センヤ)を思い出し、彼との再会を果たすために禁じられた地下城へと向かいます。ようやく再会できた二人でしたが、残された時間はごくわずか。避けられない別れの運命が迫る中、彼らは最後の思い出を刻むように、かつて過ごした街を巡ります。愛しているからこそ下される決断とは?二人の真実の愛が試される、切なくも美しい物語の結末です。
「無憂渡~瞳に映った真実の愛~」あらすじネタバレ最終回・36話
ついに迎えた最終回!記憶を取り戻した半夏(ハンゲ)の物語は、どんな結末を迎えるのでしょうか。涙なしには見られない、第36話のすべてを詳しくお届けします。
花灯会の奇跡!呼び覚まされた記憶
賑やかな花灯会。汀州(テイシュウ)でしたが、ふと見かけた謎の人影に心を奪われ、家族の心配を振り切って後を追いかけます。その人影は、かつて彼女の記憶から消されたはずの蛮瑛(マンイン)でした。
またしても見失い、途方に暮れる半夏(ハンゲ)先生。彼が差し出した回音螺を耳に当てると、そこから聞こえてきたのは、紛れもなく自分自身の声。私、宣夜(センヤ)が好き。
その一言が引き金となり、封印されていたすべての記憶が洪水のように蘇ります。愛しい人の名前、共に過ごした日々、そして彼が自分のために姿を消したこと…。涙が止まらない半夏は、震える声で汀州に告げます。思い出したの。彼の名前は、宣夜(センヤ)よ。
蒲先生(プーせんせい)に背中を押され、半夏は地下城へと狂ったように走り出します。持っていたお金をすべて船頭に渡し、禁じられた地へと乗り込んでいくのでした。
涙の再会と、明かされる守護の真実
地下城で蛮瑛と子空(ズークン)を引き留めた半夏。その先にいたのは、ずっと会いたかった宣夜その人でした。彼を見つけた瞬間、半夏の堪えていた感情が爆発します。彼の名を呼びながらきつく抱きしめ、嗚咽する姿はあまりにも切ない…。
二人は、思い出の旧居へ。半夏はもう二度と離さないとばかりに、宣夜の袖を固く握りしめます。
ここで宣夜の口から、驚きの真実が語られました。彼は目覚めた後、すべての記憶を取り戻していました。そして、半夏のそばにはいられない自分の代わりに、陰からずっと彼女を守り続けていたのです。彼女を苦しめた妖怪を払い、悲しい運命を辿るはずだった赤練(チー・リェン)の結末を書き換え、さらには沈図南(シェン・トゥーナン)の行いを改めさせたのも、すべて宣夜の仕業でした。
武術の稽古をしたり、遊び回ったり、一見無邪気に過ごしていた半夏。しかし、心のどこかにぽっかりと空いていた穴――その正体が彼だったのだと、ようやく気づくのでした。
つかの間の幸せと、迫りくる別れの刻
再会を喜びながらも、二人に残された時間はわずか。地下城と人間界を繋ぐ界門が、まもなく閉じてしまうのです。
因果は遡れても、縁は続かない。実の父との再会を拒んだ宣夜は、ただ半夏が自分を覚えていてくれたことだけを喜びます。
そんな宣夜の姿を見て、半夏は昔みたいに街を歩きたいと提案します。甘い汁粉を食べ、美しい花灯を眺め、琴の音に耳を澄ませ、二人で花火を打ち上げる…。記憶を失っていた間、見せることのなかった心からの笑顔が、半夏の顔に戻ります。
天灯を上げ、一緒に雪を見て、白髪になるまで添い遂げたいと願う半夏。しかし、宣夜はただ彼女が生涯、憂いなく過ごせますようにと静かに祈るだけでした。半夏の行かないでという必死の願いに、彼は沈黙で応えることしかできません。
彼女の願いを叶えるため、宣夜は術で雨を雪に変えます。街角でふと彼の姿が見えなくなり、パニックで泣き崩れる半夏。その手を、後ろから現れた宣夜が強く握りしめます。彼の肩に舞い落ちる雪を見つめ、半夏は涙ながらに微笑みました。
行く前に、みんなでご飯を食べましょう
最後の宴、そして永遠の別れ
宴には、温剣(オン・ケン)、そして段英恒(ダン・エイコウ)といった懐かしい顔ぶれが集まりました。和やかな雰囲気の中、宣夜は実の父と対面し、界門が閉じ、自分を守っていた桃符の効力も消える運命にあることを告げます。
常楽剣は記憶を消すはずだった。だが彼女は覚えている。それは定められた劫なのだ
父の言葉を受け入れ、育ててくれた恩に跪いて感謝する宣夜。
宴が終わり、別れの時。半夏は無憂境(むゆうきょう)はどこにあるの?と問いかけます。宣夜は空に浮かぶ月を指さし、僕たちが見ているのは、ずっと同じ月だよと微笑みました。
二人は笑顔で手を放し、背を向け合います。しかし、その瞬間に二人の瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちるのでした。声を殺して泣きながらも、半夏は彼の乗る小舟を追いかけ、渡口へと向かいます。
小舟が無憂渡を進む中、宣夜は振り返ることなく拳を握りしめます。霧が晴れた対岸では、月虫の力で無憂草が青々と蘇っていました。彼は新たな生へと踏み出していきます。
岸辺に一人たたずむ半夏は、彼の小舟が遠く霞んで見えなくなるまで、ただ静かに見送るのでした。
『無憂渡~瞳に映った真実の愛~』最終回 第36話の感想
記憶を取り戻した半夏の行動力と、すべてを受け入れて彼女の幸せだけを願う宣夜の深い愛情が、胸に迫る最終回でした。愛するがゆえに離れることを選ぶ二人の決断は、あまりにも切なく、しかし崇高な美しさを感じさせます。再会してから別れるまでの、つかの間の幸せな時間が丁寧に描かれていたからこそ、最後の別れのシーンがより一層際立ちました。特に、笑顔で別れた直後に二人同時に涙を流す場面は、言葉にならない感情が伝わってきて、強く心に残っています。彼らの愛の形は悲しい結末かもしれませんが、お互いを想い合う気持ちの強さに深い感動を覚えました。