いやあ、今回の『恋人』第10話、本当に胸が締め付けられる展開でしたね…。愛する人を想い、待ち続けたギルチェと、彼女のためだけに全てを懸けて帰ってきたジャンヒョン。やっと会えると思ったのに、運命のいたずらはあまりにも残酷です。それでは早速、涙なしには語れない第10話の詳しいあらすじとネタバレを見ていきましょう。

運命の歯車が狂い出す時

物語は、武官ウォンムがギルチェに力強く求婚する場面から始まります。江華島で見た彼女の生きようとする強い意志に心惹かれた、と。しかし、ギルチェの心にはまだジャンヒョンがいます。彼女はその申し出を断るのでした。

そんな中、ギルチェの父が行方不明になる騒動が。夜の街で娘を探していた父は揉め事に巻き込まれますが、そこを救ったのはまたしてもウォンムでした。彼の献身的な姿、そして偶然にも火事で火傷を負った彼の手当てをするうち、ギルチェはウォンムの体にある古い傷跡に気づきます。

これは江華島で私を助けた時の傷…?

そう問いかけるギルチェに、ウォンムは恥ずかしかったから他人の手柄にしたのだと、それを否定しませんでした。本当はジャンヒョンが命の恩人なのに…。この誤解が、ギルチェに重い決断をさせることになります。ウォンムはジャンヒョンを想ったままでいいと再び求婚し、ついにギルチェは彼の妻になることを受け入れるのでした。

遅すぎた再会と悲しき真実

一方、ギルチェへの贈り物として花靴をたくさん抱え、意気揚々と漢陽に帰ってきたジャンヒョン。しかし、彼が耳にしたのは、愛するギルチェが結婚するという信じがたい知らせでした。彼の心は張り裂けんばかり。希望の象徴だった花靴を、彼は自らの手で燃やしてしまいます。

婚礼の品が届く日、ギルチェは人混みの中にジャンヒョンの姿を見つけます。夜、必死で彼を探し出し、ついに二人は再会を果たします。ギルチェは、ウォンムが島の恩人だと思い結婚を決めたと告げますが、ジャンヒョンは助けたのは自分だと今更言えません。彼女を危険な目に遭わせた罪悪感が、彼の口を重くするのでした。

さらに、ジャンヒョンは下人のジョンジョンから衝撃の事実を知らされます。ギルチェはジャンヒョンが死んだと聞かされてもずっと彼を待ち続けていたこと。しかし、リャンウムがジャンヒョンは瀋陽で他の女の腕の中で死んだと嘘を告げたことで、彼女の希望は完全に打ち砕かれてしまったのです。その嘘を信じ込み、絶望の末にウォンムとの結婚を決意したのでした。

駆け落ちの約束、そして永遠の別れ

真実を知ったジャンヒョンは、もうギルチェを諦めきれません。他の男と結婚しようがかまわない、俺に機会をくれと訴え、彼女と共に逃げることを提案します。彼の言葉に心揺れたギルチェは、一度はその手を取ることを決意します。

しかし、出発の直前、父に最後の別れを告げに行ったギルチェは、その姿を見て心を覆します。家族を、父を、見捨てることはできない…。彼女は、船着き場で待つジャンヒョンの元へは現れませんでした。

ギルチェはウォンムと結婚する道を選びます。その事実を目の当たりにしたジャンヒョンは、静かにその場を去るしかありませんでした。ギルチェからジョンジョンを介して託された包みには、かつてジャンヒョンが贈った靴と一通の手紙が。

船の上で手紙を読むジャンヒョン。そこには、あなたと私の愛を信じて、全てを捨てる勇気がなかったというギルチェの痛切な言葉が綴られていました。彼は手紙と靴を、想いと共に川へと投げ捨てます。遠ざかる船を、ギルチェは崖の上から、ただ静かに見送るのでした。

2年後、そして衝撃のラスト

物語は2年後の瀋陽へ。ジャンヒョンは、清に捕らわれた朝鮮人の逃亡を助ける謎の人物として生きていました。ある日、逃亡者を追う盗賊団と対峙したジャンヒョンは、いつも仮面で顔を隠している一人の人物と再び相まみえます。

その人物が放った矢をかわしたジャンヒョンは、相手の馬を驚かせ、落馬させます。地面に倒れそうになるその体を受け止めると、頭巾が外れ、その下から現れたのは…。

ジャンヒョンは、その人物を地面に押さえつけ、顔をぐっと近づけます。驚きと緊張が交錯する視線。そこで、第10話は幕を閉じるのです。

『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』第10話の感想

今回のエピソードは、登場人物それぞれの選択が胸に深く突き刺さる回でした。ギルチェが愛よりも家族への責任を選んだ決断は、彼女の強さと優しさの表れであり、非常に切なかったです。ジャンヒョンを待ち続けた彼女の純粋な想いを知っているからこそ、リャンウムの嘘とウォンムの偽りが彼女を追い詰めていく過程は見ていて本当に苦しくなりました。

一方で、全てを懸けて帰ってきたジャンヒョンの絶望も痛いほど伝わってきます。愛する人のためだけに用意した贈り物を自ら燃やすシーンは、彼の希望が灰になる瞬間を見ているようで、涙を誘いました。二人が再会し、真実が明らかになっても、もう後戻りできない状況。運命の非情さに言葉を失います。ギルチェが父を見て駆け落ちを思いとどまる場面は、彼女の人間性を深く描き出しており、物語に重厚感を与えていました。最後の別れのシーンは、二人の愛の深さと、それが故の悲劇を象徴する、忘れられない名場面になったと感じます。

つづく