第11話、来ましたね…。パート2の幕開けにふさわしい、とんでもないエピソードでした。ギルチェとジャンヒョン、それぞれが別の道を歩み始めたかと思いきや、運命の糸は残酷な形で二人を再び引き寄せようとしています。早速、胸が張り裂けそうになった11話の世界に飛び込んでいきましょう!

失意のジャンヒョンと、妻になったギルチェ

物語は、ギルチェを失ったジャンヒョンの痛々しい姿から始まります。彼はわざと盗賊が出るような危険な道を選んで進むなど、まるで自暴自棄になっているかのよう。その心の中は、ギルチェへの想いでいっぱいなのでしょうね…。

一方、漢陽ではギルチェがク・ウォンムとの婚礼を挙げ、新しい生活をスタートさせていました。彼女は良き妻になることを誓いますが、夜、一人で月を見上げるその表情には、どこか寂しさが漂います。

そんな中、ジャンヒョンは瀋陽に到着。昭顕世子(ソヒョンセジャ)や清のヨンゴルテと再会し、彼の新たな任務が始まります。しかし、夜空の月を見上げる彼の姿は、まるで愛する人を失った者のそれ。宦官に恋人を失ったようだと指摘されると、ジャンヒョンは永遠に失ったと認めます。この一言、重すぎます…。

ジャンヒョンの裏の顔と、ギルチェに迫る危機

ここからが11話の真骨頂!ジャンヒョンは清の命令で、逃亡した朝鮮人捕虜を捕らえていました。しかし、彼の真の目的は全く別のところにありました。なんと彼は、捕らえた捕虜を清の役人に売ると見せかけ、自腹を切ってその代金を支払い、密かに解放して保護していたのです!

回想シーンでは、ヨンゴルテが捕虜のかかとを切って見せしめにしようとしたのを、ジャンヒョンが彼らを売って儲けを分けましょうと提案して止めさせます。しかし、実際にはジャンヒョンが身銭を切って彼らを買い取っていたという事実が明らかに。彼の行動は、清への協力者を装いながら、苦しむ同胞を一人でも多く救うための苦肉の策だったんですね。彼の深い愛と信念には、本当に頭が下がります。

その頃、漢陽のギルチェは持ち前の商才を発揮し、王の側室に品物を売り込むなど、たくましく生きていました。しかし、平和な日々は長くは続きません。

朝鮮では、仁祖(インジョ)王が清からの逃亡した捕虜を捕らえて送り返せという非情な命令を下します。これにより、国中が大混乱に。捕虜にされまいと自ら命を絶つ者、手足を切断する者、さらには報奨金目当てに家族を偽って密告する者まで現れる始末。

そして最悪なことに、ギルチェが工房に逃亡者をかくまったという疑いをかけられてしまいます。なんとか役人を丸め込んでその場を収めますが、その帰り道、ギルチェとジョンジョンは清の役人たちに拉致されてしまうのです!彼らは、王に献上するはずだった女たちが逃げたため、その代わりにギルチェを捕らえ、王に差し出すことで怒りを鎮めようと企んだのでした。

気づかない二人、残酷すぎる運命の悪戯

物語のラスト、息を呑むシーンが訪れます。

捕虜として瀋陽に送られることになったギルチェ。長い道のりを歩かされ、ボロボロの姿で瀋陽に到着します。

そして、彼女たちが引き出されたその場所には…捕虜を監督する役人として、ジャンヒョンが立っていました。

しかし、大勢の捕虜の中にいるギルチェに、彼は気づかない。ギルチェもまた、彼を見つけることができない。すぐそこにいるのに、二人の視線は交わらないまま…。ここで11話は幕を閉じます。なんて残酷な終わり方なのでしょうか。


『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』第11話の感想

今回のエピソードは、ジャンヒョンの行動の裏側が明かされ、彼のキャラクターの深さに改めて感銘を受けました。ただ愛する人を想うだけでなく、その愛が同胞を救うという大きな行動に繋がっている。彼の信念の強さと優しさが、失意の中でも全く揺らいでいないことに胸を打たれます。一方で、ようやく手に入れた平穏を理不尽に奪われ、再び奈落の底に突き落とされたギルチェの運命には、言葉を失いました。最も会いたい人がすぐ近くにいるのに、最も過酷な状況で再会すら叶わないという展開はあまりにも皮肉です。物語が大きく動き出し、二人の運命がどう交錯していくのか、その一点から目が離せなくなりました。

つづく