いやはや、今回の『恋人』第13話は、息をするのも忘れるほど凄まじい回でしたね…。パート2に入ってからというもの、毎回がクライマックスのような展開ですが、今回は特にギルチェとジャンヒョンの運命が残酷な形で交錯し、多くの視聴者が涙したのではないでしょうか。
さっそく、胸が張り裂けそうになる第13話の展開を、詳しく振り返っていきましょう。
崖の上での決断、そして再び捕虜へ
捕虜狩りからなんとか逃げ出したギルチェたち。しかし、追っ手はすぐそこまで迫っていました。ジャンヒョンが駆けつけ、間一髪のところで彼女たちを助けようとしますが、逃げ込んだ先は断崖絶壁。もはや逃げ場はありません。
辱めを受けるくらいなら…と、当時の朝鮮の女性たちが選んだのは、自ら命を絶つという悲しい道でした。次々と崖から身を投げる女性たち。しかし、ギルチェは違いました。生き抜くことが私たちの意志よ!と叫び、共に生き延びようとジョンジョンや残された女性たちの手を握ります。彼女のその強さ、その気高さには、本当に胸を打たれます。
しかし、その決意も虚しく、彼女たちは再び捕らえられ、瀋陽の奴隷市場へと連れ戻されてしまうのでした。そして、ギルチェとジョンジョンは無情にも引き離されてしまいます。
夫ウォンムの葛藤と、ハニャンに残された人々の祈り
一方、妻ギルチェが連れ去られたと聞き、瀋陽までやってきた夫のク・ウォンム。しかし、彼が旅の途中で耳にしたのは、辱めを受けた妻を連れ戻して何になるという世間の心ない声でした。奴隷市場のあまりの惨状を目の当たりにし、さらにギルチェが既にどこかの男に売られたと聞かされたウォンムは、失意のままハニャンへ帰ってしまいます。
ハニャンでは、ウネがギルチェとジョンジョンの無事を必死に祈り、ヨンジュンは朝廷に助けを求めますが、相手にされません。ギルチェの家族も、近隣住民からの心ない噂に苦しめられていました。
清の王女に気に入られたジャンヒョン
その頃、瀋陽にいるジャンヒョンは、捕虜狩りをしていた覆面の人物が、実は清の王女(カクファ)であったことを知ります。退屈しのぎに男装して捕虜狩りをしていたという王女は、物怖じしないジャンヒョンに強い興味を抱き、彼を自分のものにしようと迫ります。
私の心は捧げられないと拒むジャンヒョン。彼の心にはギルチェがいると知りながらも、王女は彼への執着を深めていくのでした。
絶望のギルチェと、運命の再会
ウォンムが自分を探しに来て、売られたと聞くと諦めて帰ってしまった…その事実を知らされたギルチェは、ついに生きる気力を失いかけてしまいます。そんなある日、市場で偶然ジャンヒョンの姿を見かけますが、今の自分の姿を見られたくなくて、必死に身を隠すのでした。
その頃、ハニャンでは、ウォンムがギルチェを連れ帰らなかったことにウネが憤慨。自ら瀋陽へ行くと決意します。その話を聞いたリャンウムは、ジャンヒョンがギルチェのこととなると我を忘れてしまうことを知っているため、彼を案じて一足先に瀋陽へと向かいました。
リャンウムからギルチェが瀋陽にいると知らされたジャンヒョンは、すぐさま奴隷市場へ。
そして、運命はあまりにも残酷な形で二人を再会させます。
競りにかけられ、商品として台の上に立たされているギルチェ。彼女が幻を見ているのかと思ったその瞬間、人混みをかき分けてこちらへ向かってくるジャンヒョンの姿が。二人の視線が、ついに交わります。
ジャンヒョンは、変わり果てたギルチェの前にひざまずき、ただ涙を流しながらなぜだ…と叫び続けることしかできませんでした。
『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』第13話の感想
今回は、登場人物それぞれの無力感と、それでも失われない意志が深く描かれた回でした。特に、夫であるウォンムがギルチェを救えずに帰ってきてしまう場面は、当時の社会通念の残酷さと、一個人の限界を突き付けられ、非常にやるせない気持ちになりました。一方で、友のために自ら危険な地へ向かおうとするウネや、ジャンヒョンを想い行動するリャンウムの姿には、人の絆の尊さを感じます。
そして何より、ギルチェとジャンヒョンの再会シーンです。あれほどまでに愛する女性が、商品として扱われている姿を目の当たりにしたジャンヒョンの慟哭は、画面を越えて心に突き刺さりました。ただなぜと繰り返す彼の声には、驚き、悲しみ、怒り、そして自分への不甲斐なさ、あらゆる感情が凝縮されていたように思います。二人の運命はあまりにも過酷ですが、この再会が新たな希望の始まりとなることを信じずにはいられません。
つづく