さあ、今回も『オクニョ 運命の女(ひと)』の世界にどっぷり浸かっていきましょう!第2話は、少女オクニョの賢さと度胸、そして彼女を取り巻く大人たちの欲望が渦巻く、息もつかせぬ展開でしたね。
神がかった占いの裏側と、まさかの誘拐事件
物語は、オクニョが当代きっての権力者ユン・ウォニョンの運勢を占う場面から始まります。師匠であるイ・ジハムの入れ知恵と、持ち前の聡明さでオクニョはウォニョンの性格や未来を見事に言い当ててみせます。「王の相をお持ちです」「三公の位に就かれるでしょう」とおだてられ、ウォニョンはすっかりご満悦。
しかし、師匠イ・ジハムの前でオクニョが明かした本心は衝撃的でした。ウォニョンの相には、本人だけでなく家族や兄弟までもが悲惨な死を遂げるという「ヒョンサル(刑殺)」が出ていたのです。それを隠し、耳障りの良い言葉だけを並べたオクニョの機転に、師匠も「悪知恵の働く娘だ!」と大笑い。この一件でオクニョはウォニョンに気に入られ、典獄署(チョノクソ)から追い出されずに済むことになりました。
ところが、この幸運がとんでもない悲劇の引き金となります。
オクニョの育ての親であるチ・チョンドゥクは、彼女を正式に典獄署に登録するための大金300ニャンを、囚人でごろつきの頭カン・マンボから借りてしまいます。その見返りは、なんとカン・マンボの脱獄の手引き!断れば命がないと脅され、チョンドゥクは絶体絶命のピンチに陥ります。
その頃、オクニョは処刑を控えた盗賊団の頭目に使いを頼まれ、仲間への手紙を届けます。しかし、その手紙こそ、頭目を救出するために「ユン・ウォニョンの娘を誘拐する」という恐ろしい計画の合図だったのです。
ウォニョンの屋敷で褒美の絹の服をもらい、意気揚々と帰るオクニョ。その豪華な身なりが仇となり、彼女はウォニョンの娘ユン・シネと間違えられ、盗賊団に誘拐されてしまいます!
生き延びるため、オクニョはとっさに「私の父はユン・ウォニョン様よ!」と嘘をつき、自分が人質としての価値があると思わせようとします。しかし、その嘘が事態をさらに悪化させることに。
娘が誘拐されたと聞いたウォニョンと、その側室チョン・ナンジョン。しかし、人違いで誘拐されたのが典獄署の小間使いオクニョだと知ると、彼らは顔色一つ変えません。「たかが下女一人のために、なぜ心を痛める必要があるのです?」と冷たく言い放つナンジョン。ウォニョンは盗賊団の要求を無視し、見せしめとして頭目の処刑を前倒しで執行してしまいます。
仲間を殺され、怒り狂った盗賊団はオクニョを殺害しようとします。絶体絶命のオクニョは「私はユン・ウォニョンの娘じゃない!」と真実を叫びますが、時すでに遅し。命乞いの嘘だと思われ、まさに首を斬られようとしたその瞬間…!
チ・チョンドゥクが必死で探し出した山賊のアジトに役人たちが突入し、オクニョは九死に一生を得るのでした。
借刀殺人の計!悪をもって悪を制す
命は助かったものの、権力者の非情さを目の当たりにし、オクニョは深く傷つきます。
一方、チ・チョンドゥクはカン・マンボからの脅しに苦しめられていました。その様子を見たオクニョは、師匠イ・ジハムに助けを求めます。そこで授けられたのが「借刀殺人(しゃくとうさつじん)」の計。自分たちの手を汚さず、他人の刀を借りて敵を討つという兵法です。
オクニョは早速行動に移します。まず、腕っぷしの強い謎の囚人ユン・テウォンに接触し、彼をカン・マンボと同じ牢屋に移すよう手配します。案の定、牢屋のボスであるカン・マンボは新入りのテウォンに手荒い洗礼を浴びせようとしますが、テウォンはこれを一蹴。逆にカン・マンボを叩きのめしてしまいます。
さらにオクニョは、典獄署の主簿(トップ)であるチョン・デシクに「ユン・ウォニョン様が、主簿様を通さずに典獄署の内部を探るよう私に命じました」と嘘の情報を流します。そして、「カン・マンボという囚人が他の囚人を苦しめています」と告げ口。
自分の頭越しにウォニョンが探りを入れていると勘違いしたチョン・デシクは、カン・マンボの不正を正すことでウォニョンへの忠誠心を示そうと、カン・マンボを厳しく罰するのでした。
オクニョの鮮やかな計略により、チ・チョンドゥクを苦しめていたカン・マンボは失脚。オクニョに協力したユン・テウォンは、礼を言って釈放されていきました。
『オクニョ 運命の女(ひと)』第2話の感想
第2話は、主人公オクニョの非凡な才能と、彼女が生きる世界の厳しさが色濃く描かれた回でした。権力者の前で物怖じせず、機転を利かせてその場を切り抜ける姿は、まだ少女とは思えないほどの度胸と知性を感じさせます。しかし、その聡明さがかえって仇となり、命の危機に瀕してしまう展開は非常に皮肉です。ユン・ウォニョンとチョン・ナンジョンの、自分たちの保身のためなら他人の命など何とも思わない冷酷非道な姿は、強烈な印象を残しました。オクニョが初めて直面する権力者の理不尽さに、見ているこちらも胸が痛みます。しかし、彼女はただ打ちのめされるだけではありません。育ての親を救うために「借刀殺人」という大胆な策を実行する姿は、彼女の強さと優しさの表れでしょう。物語の序盤にして、オクニョという人物の多面的な魅力と、彼女を待ち受ける過酷な運命が示唆された、見ごたえのあるエピソードでした。
つづく