嵐の海の上、病院船の甲板はまさにカオス!息子の腕が切断されたと聞き、逆上したジョンホの父親がウンジェに掴みかかろうとします。その瞬間、間に入って必死に止めたのはヒョンでした。「腕を助けるには、一度切断して繋ぎ直すしかないんです!」というヒョンの悲痛な叫びに、父親は我に返り、その場に崩れ落ちるのでした。ヒョンはすぐさま切断された腕を適切に処置し、時間との戦いが始まります。
船長は必死に救助を要請しますが、海上は暴風雨。ヘリコプターは飛べず、船も思うように進めません。まさに絶体絶命の状況で、事務長はウンジェに手術を懇願します。しかし、ウンジェは「私は整形外科医じゃない」と、その申し出を頑なに拒否するのでした。
患者であるジョンホの腕を救えるタイムリミットは、わずか6時間。それを過ぎれば、彼の腕は二度と元には戻りません。事務長の説得もむなしく、一度は診察室を出るウンジェ。しかしそこで、ヒョンに支えられながら歩くジョンホと鉢合わせます。
「先生…もうすぐ子供が生まれるんです。この腕で、自分の子を抱きたいんです…」
血のにじむ腕で、涙ながらに訴えるジョンホ。それでもウンジェは首を縦に振りません。彼女の脳裏には、かつて自分を冷たく解雇した整形外科の権威、キム・スグォン院長の顔が浮かんでいました。プライドが邪魔をして、どうしても助けを求める電話をかけられずにいたのです。
しかし、患者の未来がかかっている。葛藤の末、ウンジェはついにキム・スグォン院長に電話をかけ、助けを求めました。事情を聴いた院長は、遠隔での手術指導を承諾。さらに、事務長が手配したテレビ局によって、この前代未聞の手術が生中継されることになったのです!
手術室の準備が整い、ウンジェの執刀が始まります。その様子は、ソウルの大韓病院にも中継されていました。ウンジェを追い出したキム課長は「専門外のうえに、設備も不十分な船の上で成功するはずがない」と、手術の失敗を確信したように画面を睨みつけます。
一方、船内ではもう一人、複雑な思いで中継を見つめる人物がいました。キム・ジェゴルです。画面の向こうでウンジェに指示を出しているのは、彼の父親であるキム・スグォン院長。優秀な兄ばかりを可愛がり、自分には見向きもしなかった父の姿に、ジェゴルは苦い記憶を思い出していました。
多くの人々が見守る中、ウンジェはキム院長の的確な指示のもと、見事に手術を成功させます!ジョンホの指がピクリと動いた瞬間、船内は拍手と歓声に包まれました。
翌日、第一病院に搬送されたジョンホを診察したキム院長は、手術の完璧な出来栄えに驚きを隠せません。そして、ウンジェの実力を改めて評価し、「病院に戻ってこないか」と再び彼女をスカウトするのでした。
病院から出たウンジェを待っていたのは、大勢の記者たちでした。一夜にして時の人となった彼女に、マスコミの関心は「なぜこれほど優秀な外科医が、ソウルの大病院を解雇されたのか?」という一点に集中します。キム課長は、ウンジェが自分の医療ミスを暴露するのではないかと、テレビの前で冷や汗を流していました。
記者たちの追及に、ついに事務長が重い口を開きます。「ウンジェ先生が解雇された本当の理由は…」
それは、ウンジェの母親が亡くなったわずか1日後のこと。悲しみを堪えて職場復帰した彼女は、以前キム課長が執刀した胃がん患者の容態急変に直面します。検査の結果、ウンジェは術後の合併症ではなく、手術そのものにミスがあったのではないかと疑い、キム課長に電話をかけていたのでした…。
『病院船〜ずっと君のそばに〜』第5話の感想
今回のエピソードは、外科医ソン・ウンジェの真価が問われる、非常に見ごたえのある回でした。嵐の海という極限状況の中、専門外である腕の接合手術に挑む彼女の姿は、医師としての責任感と葛藤を強く感じさせます。一度は拒絶しながらも、患者の未来のために過去の因縁やプライドを乗り越え、宿敵ともいえるキム・スグォン院長に助けを求める決断には、彼女の人間的な成長が垣間見えました。手術の成功がもたらした安堵感と、周囲の人々が彼女を見る目を変えていく様子は、静かな感動を呼びます。そして物語の最後には、彼女が抱える過去の傷、つまり不当な解雇の真相が明かされ始めました。医療ドラマとしての緊張感と、登場人物たちの深い人間ドラマが巧みに織り交ぜられ、物語の奥行きを一層深めています。
つづく