物語は、これまであまりスポットライトが当たらなかったジェホンが、円盤投げの試合に挑むシーンから始まります。残念ながら結果は振るわず、落ち込むジェホン。そこに黙って傘を差しだすドンジュの姿が…。言葉はいらない、ただそばにいる。そんな二人の友情が雨の中で静かに描かれます。

しかし、そんなしっとりした雰囲気も束の間。復讐の炎を燃やすジュヨンが、ドンジュに電話をかけてきます。「君を甘く見ていた」と謝罪しつつも、その口調は「ここからが本番だ」とでも言いたげな不気味さに満ちていました。彼の残忍さは昔から。過去に偽物の時計を掴まされた密輸業者を半殺しにし、本物の時計を奪い取ったエピソードが、彼の手段を選ばない性格を物語っています。

一方、マンシク率いる「特別チーム」は、押収した26トンもの現金のおかげで世間の注目を浴びます。警察の非協力的な態度にうんざりした彼らは、麻薬王「ゴールデンバニー」を直接検察庁へ連れて行き、証言させるという大胆な作戦に打って出ます。これで敵も手が出せないだろうと、ジェホンの家でささやかな祝賀会を開くことに。

ところが、そのニュースはジュヨンの組織に亀裂を生みます。特に、ジュヨンに協力していたヨンハは、彼が自分の妹にまで危害を加えると脅したことに激昂し、彼の顔を平手打ち!組織を抜けることを決意します。

その頃、ドンジュの体調は深刻なレベルまで悪化していました。ジムで気を失い、心配するハンナにはシャツについた血を「キムチの汁だ」と嘘をついてごまかしてしまいます。そんな中、マンシクたちは質屋を新たな拠点とし、ジュヨンを追い詰めるための本格的な証拠集めを開始。ジェホンもローンが承認されたことで有給を取り、捜査に合流します。

しかし、ジュヨンが黙っているはずがありません。彼らの動きを察知したジュヨンは、インソン地区に不良薬品をばらまくという非道な手口で反撃。ドンジュは、その現場で倒れているヨンハを発見します。彼女は薬物中毒者であると同時に重い糖尿病を患っており、低血糖で倒れていたのです。ドンジュは彼女を介抱しますが、またしても逃げられてしまいます。

さらに、ジェホンには「ローン承認が取り消された」という非情な連絡が。これもジュヨンの部下、ジョングの仕業でした。ジェホンがその対応に追われている隙を突かれ、ドンジュはチンピラたちに襲撃されます。体調不良でまともに戦えないドンジュは、ジョングの強烈な一撃を食らい、意識を失って拉致されてしまうのです。

ドンジュが連れてこられたのは、薄暗い輸送コンテナの中。そこで待っていたジュヨンは、ドンジュの病状を知った上で、致死量の薬物を注射します。「これで終わりだ」と…。

絶体絶命のドンジュ。しかし、そこに現れたのは、なんと寝返ったヨンハでした。以前ドンジュに命を救われた彼女は、その恩を返すために解毒剤を渡し、脱出の手引きをします。「子供を殺すのはやりすぎだ」と、彼女の中にも越えてはならない一線があったのです。

ヨンハの助けでなんとかコンテナから脱出したドンジュですが、すぐにジュヨンの手下に見つかり、腹部を深く刺されてしまいます。さらに、ジュヨンはドンジュを「危険な逃亡者」として警察に情報を流し、裏社会には多額の懸賞金をかけるという二重の罠を仕掛けました。警察とギャング、その両方から追われることになったドンジュは、まさに四面楚歌の状態に。

瀕死の状態で逃げるドンジュを最初に見つけたのは、ジョンヒョンでした。そこにヨンハも駆けつけ、彼の応急処置を手伝います。マンシクは危険すぎるインソンからドンジュを脱出させるため、ソンジン市への移動を指示。しかし、その道中も追っ手に襲われ、ジョンヒョンはついに、これまで頼ることを拒んできた兄に会社の株を渡すことを条件に助けを求めます。

兄の協力でなんとか医者の治療を受けることができたドンジュ。仲間たちが彼の元へ駆けつけ、安堵したのも束の間、物語は最後の衝撃的な展開を迎えます。ドンジュの危機を知ったハンナが、すべての決着をつけるため、たった一人でジュヨンの待つインソンへと向かうのでした。

『グッドボーイ』第12話の感想

今回のエピソードは、希望の光が見えたかと思えば、次の瞬間には深い絶望の淵に突き落とされる、まさに息をのむような展開の連続でした。特に、ドンジュが病状の悪化と敵の卑劣な罠によって、心身ともに追い詰められていく様子は見ていて胸が痛みました。しかし、そんな極限状況だからこそ、仲間たちの絆の強さが際立ちます。そして、敵だと思っていたヨンハが見せた人間性や、ジョンヒョンがプライドを捨てて兄に助けを求める姿など、各キャラクターの葛藤と成長が物語にさらなる深みを与えています。最後にハンナが一人で敵地へ向かうという決断を下し、物語がどこへ向かうのか、まったく予測がつかないまま幕を閉じました。彼女の行動が、この膠着した状況を打破する鍵となるのか、新たな波乱を呼ぶのか、目が離せません。

つづく