復讐の女神、ハンナの孤独な戦い
前回、ジュヨンの手下にやられてしまったドンジュは、まだ戦線に復帰できません。そんな中、いてもたってもいられないのが、元射撃の金メダリスト、ハンナです。彼女は警察署からライフルを手に取り、たった一人で巨悪の巣窟である建設現場へと向かいます。 その瞳に宿るのは、静かな、しかし燃え盛る復讐の炎でした。
時を同じくして、ジョンヒョンとマンシクたちも動いていました。警察署長が最高検察庁(SPO)と特別チームを組んだという情報が入り、警察上層部が完全にジュヨン側に取り込まれ、証拠隠滅に動いていることが明らかに。 焦った彼らは、事件の重要な証拠が隠されている質屋へ急ぎますが、そこにはセルゲイの無残な姿が…。万事休すかと思われたその時、ロッカーに隠れていたグァンセが生きていました!
彼の口から語られたのは、衝撃の事実。セルゲイを裏切らせたのも、オー・ダラーの父を殺したのも、すべてはミン・ジュヨンだったのです。
そして、ついにパズルの最後のピースがはまります。ハンナが調べていたオー・ダラーの財産記録。その息子である「デイビッド・オー」こそが、ミン・ジュヨンの正体だったのです。 そう、ハンナが長年追い続けてきた父の仇は、すぐそこにいたのでした。彼女が持ち出したライフルが、ただの銃ではなくスナイパーライフルだった理由も、これで納得がいきます。仲間たちは、ハンナが取り返しのつかないことをする前にと、必死で彼女の行方を追います。
悪魔の囁きとライブ配信
その頃、ジュヨンは自分の悪事の限りを尽くしていました。彼の元から逃げようとしたヨナの姉を捕らえ、「キャンディ」と呼ばれる新型ドラッグで廃人同様にしてしまいます。変わり果てた姉の姿を見たヨナは、怒りに燃えて建設現場のジュヨンの元へ乗り込みますが、逆に捕らえられ、無理やりドラッグを飲まされてしまうのでした。
まさにその時、復讐の銃弾が火を噴きます。遠くのビルから構えていたハンナが、ジュヨンの持つ銃を正確に撃ち抜いたのです。 顔をかすめ、一瞬の隙が生まれますが、ジュヨンは大量の部下を差し向けます。ハンナは元メダリストの身体能力で応戦し、ジュヨンがペントハウスの20階にいるという情報を掴み取ります。
しかし、エレベーターで待ち伏せしていたジュヨンに、胸を撃たれてしまうハンナ。幸いにも防弾ベストで命は助かりましたが、その衝撃は計り知れません。 勝利を確信したジュヨンは、自分が成し遂げてきた悪事の数々を、まるで武勇伝のように語り始めます。
ところが、これが最大の誤算でした。なんと、ハンナはボディカメラを装着しており、その一部始終が生配信されていたのです! 警察も手出しできないライブ映像は瞬く間に拡散。この状況に、チームを離れていたジェホンも心を動かされます。
ヒーローたちの集結
意識を取り戻したドンジュは、鎮痛剤を飲んで無理やり体を動かし、ハンナを助けるために駆けつけようとします。時を同じくして、ジュヨンの前に新たな人物が現れます。それは、ジュヨンに父を殺されたもう一人の被害者、レオでした。彼はジュヨンに銃口を突きつけますが、ペク室長の不意打ちに倒れ、ヨナに助けられてその場を脱出します。
混乱の中、ハンナも脱出に成功。レオは、過去にハンナの父に命を救われた恩を返すために来たと告げ、父の思い出が詰まったデジタルカメラを彼女に手渡すのでした。
一方、ドンジュは警察上層部の秘密会合に乗り込み、裏切り者である署長の顔面に強烈な一撃を叩き込みます。 ジョンヒョンはペントハウスでペク室長と死闘を繰り広げ、マンシクとドンジュも建設現場へ。
こうして、すべての登場人物が因縁の建設現場へと集結し、物語は最終決戦に向けて最高潮に達したところで、幕を閉じるのでした。
『グッドボーイ』第13話の感想
今回は、これまで散りばめられてきた多くの謎が一気に解き明かされ、物語が大きく動いた回でした。特に、ミン・ジュヨンがハンナの父の仇だったという事実は、彼の非道なキャラクター性をより一層際立たせています。たった一人で復讐に乗り出すハンナの悲壮な覚悟と、それを必死に止めようとする仲間たちの絆には胸を打たれました。ジュヨンが悪事を自白するシーンがライブ配信されるという現代的な反撃方法は非常に痛快で、脚本の見事さを感じさせます。終盤、傷ついたドンジュの復活やレオの参戦、そして全員が建設現場に集結するラストは、最終決戦の始まりを告げるにふさわしい迫力がありました。それぞれのキャラクターが背負うものがぶつかり合う、重厚な人間ドラマとしても見ごたえのあるエピソードだったと思います。
つづく