衝撃の幕開け、ドンジュを襲う最悪の事態

物語は前回の続き、駐車場でのドンジュとジョングの対決から始まります。しかし、私たちのヒーローであるドンジュは明らかに精彩を欠いています。そして、悪夢が現実となる瞬間が訪れました。ジョングの強烈な右ストレートを食らい、ドンジュは意識を失って倒れてしまいます。

駆けつけたジョンヒョンが必死に助けようとしますが、その時、ドンジュは自らの身に起きた信じがたい事実に気づきます。なんと、彼の視界は完全に光を失っていたのです。あまりのショックに打ちのめされながらも、ドンジュはハンナにだけはこのことを秘密にしてほしいとジョンヒョンに懇願します。

病院に行くことを頑なに拒むドンジュでしたが、同じボクサーとしてパンチドランク症候群の恐ろしさを誰よりも理解しているジョンヒョンが、彼を説得。検査を受けるドンジュに付き添うジョンヒョンの姿には、言葉を超えた友情が滲み出ていました。

明らかになる巨悪の過去と、警察内部の最後の裏切り者

一方、撃たれた署長は病院に搬送されます。彼の尋問を担当することになったのは、なんとマンシク。これまでの気弱な姿とは違い、彼は毅然とした態度で署長に立ち向かいますが、狡猾な署長から情報を引き出すことはできません。

その頃、諸悪の根源であるジュヨンは街を脱出し、仁城(インソン)市長を脅迫していました。「俺が生き残れば、お前も助かる。だが、もし俺が死んだら?お前の家族も全員死ぬことになる」…その言葉は、彼の狂気と非道さを物語っています。

ジュヨンはロシアのギャングと接触し、「キャンディ」と呼ばれるブツの取引を急いでいました。日本のヤクザとの約束が絡んでおり、一刻の猶予もなかったのです。

チームは銃声が響いた倉庫の捜査にあたりますが、そこは厳重な検問をいくつも突破しなければたどり着けない場所でした。この事実から、警察内部にまだスパイ、つまり「モグラ」がいることを確信します。

捜査を進めるうち、ジュヨンの恐るべき過去が明らかになります。彼は税関の職員時代、紙の記録をデジタル化する部署におり、その過程で得た企業の不正の証拠を元に人々を脅迫し、今の地位を築き上げたのです。彼にとって、金よりもその「弱み」を握ることこそが力の源泉でした。

ドンジュたちは、この事実を利用してジュヨンを罠にかける計画を立てます。警察の誰も信用できない状況下で、無線を盗聴するという大胆な作戦を実行。そしてついに、最後の裏切り者の正体を突き止めます。その男こそ、建設現場でジュヨンに情報を流し、ジョンフンの死の原因を作った人物だったのです。

証拠をめぐる攻防と、ヒーローの再起

スパイを捕らえ、追い詰められたジュヨンをトンネルで発見するチーム。しかし、ジュヨンはまたしても車を奪って逃走してしまいます。逃げながら市長に証拠書類をすべて燃やすよう指示するジュヨン。しかし、ハンナの調査能力が光ります。彼女は書類がヨンサング公立図書館に保管されていることを突き止めました。チームは間一髪で証拠を確保し、現金を持って逃げようとしていた市長の身柄も押さえることに成功します。

しかし、ドンジュの体調は悪化の一途をたどっていました。彼の異変に、ハンナも気づき始めてしまいます。そんな中、チームはオ・ジョングの潜伏先を突き止めます。マンシクはドンジュを心配するあまり、彼を車のハンドルに手錠で繋ぎますが、ドンジュはなんとハンドルごと引きちぎり、ジョングとの再戦に挑みます。

視界もままならない絶体絶命の状況。しかし、今回はドンジュが執念で上回りました。彼はジョングを打ちのめし、ついに逮捕へと導きます。そこに現れたハンナは、自分に何も話してくれなかったドンジュの姿を見て、ただただ動揺するのでした。

追い詰められたジュヨンは、日本のヤクザに会い、トラック一台分の「キャンディ」と引き換えにある取引を持ちかけます。それは、自らの痕跡を消すための最終手段でした。ヨンハからの情報提供で、チームはジュヨンがトラックを爆破しようとしていることを知り、現場へ急行しますが、彼らが到着したまさにその瞬間、トラックは巨大な炎を上げて爆発するのでした…。

『グッドボーイ』第15話の感想

今回のエピソードは、ドンジュが抱える肉体的な限界と、それでもなお悪に立ち向かおうとする精神力の対比が胸を打ちました。光を失うというボクサーにとって最も過酷な状況に陥りながらも、仲間を守るために真実を隠し、たった一人で戦おうとする姿は痛々しくも、彼のヒーローとしての覚悟を感じさせます。一方で、ジュヨンの悪事が単なる金儲けではなく、他者を支配し、破滅させることに喜びを見出す歪んだ欲求に基づいていることが明らかになり、その底知れぬ悪意に改めて戦慄しました。仲間さえ信じきれない極限状況下で、それでも真実を追い求めるチームの姿には、緊迫感と共に確かな絆も感じられます。最終回を前に、全ての要素が破滅的な一点に向かって収束していくような、密度の濃い一時間でした。

つづく