過去と現在、交差する想い

物語は、ジェハ(ナムグン・ミン)が初めて監督した映画の撮影時に遡ります。当時、新人女優だったソヨン(イ・ソル)は、「愛する」という感情が理解できず、役作りに苦しんでいました。そんな彼女に、「俺も愛が何か分からない」と静かに寄り添ったのがジェハだったんです。二人は「愛が分からない」者同士、惹かれ合い、ソヨンの方からジェハにキスをしたのでした。

そして現在。映画の打ち合わせに、主演のダウン(チョン・ヨビン)とジョンウ(ソ・イソ)が遅れてきます。気まずい雰囲気の中、ソヨンはジェハへの未練を断ち切れません。彼女は衝動的にジェハにキスをしますが、彼は冷静に彼女を制し、「映画に集中しろ」と突き放します。

近づく心、深まる謎

一方、ダウンはジェハの元を訪れ、先日ソヨンの前で発作を起こしてしまったことを謝罪します。するとジェハは、彼女を責めるどころか、その体を強く抱きしめて心から心配するのです。彼の優しさに触れ、ダウンはジェハを「良い人だ」と感じ始めます。

映画の製作は着々と進みます。プロデューサーのスンウォンは、ダウンのミステリアスな雰囲気を宣伝に利用しようと画策し、メディアもそれに飛びつきます。そんな中、ダウンは女優業を続けるため、副作用で思考がぼんやりする可能性があることを承知の上で、臨床試験に参加することを決意するのでした。

初めての台本読み合わせの日。ダウンは人生初のキスシーンがあると知り、緊張でガチガチに。そんな彼女を見て、親友のギュヨンは「初めてのキスが偽物なんて」と少し寂しそうです。読み合わせでは案の定、ミスを連発してしまいますが、ジョンウとソヨンが優しく励まし、その場は和やかな雰囲気に包まれます。

しかし、ジェハの心は穏やかではありませんでした。彼は父親役の俳優キム・ヒョンチョルから、自分の父親のことで心を乱されないよう忠告され、さらに休業中に同僚が亡くなっていたことを知り、動揺を隠せません。

そんなジェハの前にダウンが現れ、二人は役作りについて語り合います。ヒロインの感情表現について意見がぶつかる二人。ジェハは「これは希望に満ちたラブストーリーじゃない」と釘を刺しつつも、彼女の病気のことを知るジョンウとは親しくなるな、と警告します。その直後、コ代理が山のような仕事のオファーを持ってきますが、ダウンは全て断るしかなく、失われた機会に悲しみを感じるのでした。

裏切りと雨の中のキス

ジェハは、父親の盗作疑惑の鍵を握る元女優ジニョに会おうとしますが、なんと彼女と一緒にいたのはダウンでした。役作りのためのリサーチだという彼女の言葉も、ジェハには届きません。裏切られたと感じ、怒りをぶつけるジェハに、ダウンはそっと鎮痛剤を渡します。「心の痛みも、体の痛みのように感じることがあるから」と。

そして、運命の夜が訪れます。主要キャスト4人での食事会。ジョンウはソヨンがジェハを見つめていることに気づき、嫉妬から「彼女と付き合っている」と爆弾発言。気まずい雰囲気の中、ジェハとダウンは先に席を立ちます。

帰り道、ダウンはジェハに問いかけます。「愛していない相手とキスするって、どんな気持ち?」。戸惑うジェハに、彼女は「あなたのこと、利用させてもらうから」と告げます。

その夜、雨が降る中、ダウンはジェハの家の前に現れます。彼女は「あなたを利用するって言ったでしょ」と言い、ジェハにキスをします。最初は驚いていたジェハですが、やがて持っていた傘を捨て、彼女に深くキスを返すのでした。

『私たちの映画』第4話の感想

第4話は、登場人物たちの感情が静かに、しかし激しくぶつかり合う回でした。特に印象的だったのは、ジェハとダウンの関係性の変化です。それぞれが抱える痛みや孤独を、互いに少しずつ埋め合おうとする姿が丁寧に描かれていました。ダウンがジェハに渡した鎮痛剤は、二人の心の距離が縮まった象徴的なアイテムだと感じます。一方で、ソヨンとジョンウのカップルは見ていて少し苦しくなりますね。ジョンウの嫉妬からくる行動が、かえってソヨンの心をジェハへと向かわせているようで、この四角関係の行方が非常に気になります。ラストの雨の中のキスシーンは、理屈ではなく感情が溢れ出した結果であり、二人の物語が本格的に始まったことを告げる美しいシーンでした。

つづく