呪いの謎を追う世子イ・ファンと、家族殺害の濡れ衣を着せられたミン・ジェイ。二人の運命が複雑に絡み合う中、『青春ウォルダム』第11話は、ファンの世子としての器の大きさと、宮殿に渦巻く新たな陰謀が描かれる、非常に見ごたえのある回となりました。

碧川の謎と萬研堂での出会い

東宮殿に仕える者の中にいる間者、そして碧川(ピョクチョン)の地で過去に何があったのか…。呪いの真相に近づくため、ファンは碧川出身の者たちを呼び出して話を聞きますが、有力な手がかりは得られず、焦りは募るばかり。そんな彼の心を和ませるのは、やはり内官ゴ・スンドルとして側に仕えるジェイの存在。思い悩むファンのために、つまずきそうな石を一生懸命どけようとするジェイの姿に、ファンは思わず笑みをこぼします。二人の間には、確実に信頼と穏やかな空気が流れていますね。

その頃、キム・ミョンジンは師匠の行方を追う中で、ククムが使っていた花びらが「信都国」という謎の国と関係があることを突き止めます。

ファン一行は情報交換のため萬研堂を訪れますが、そこで思わぬ事件に遭遇します。一人の少年が盗みを働き、逃げる途中で役人のチョ・ウォノにぶつかり、高価な青磁の花瓶を割ってしまったのです!激怒したチョ・ウォノは少年を殴りつけ、助けに入ったチャン・ガラムまでも罵倒。ミョンジンもガラムを守ろうとしますが、権力者の前で何もできず、悔しい思いをします。

チョ・ウォノは少年に200両もの大金を要求し、「逆賊め!」と罵りながら連行しようとします。その横暴な振る舞いを、ファンは静かに見つめていました。

世子の裁きと新たな陰謀

「その手を放せ」

ついにファンが口を開くと、場の空気は一変。世子だと気づいたチョ・ウォノは青ざめます。ファンは、その花瓶が不正な品であることを見抜き、役人の不正を鋭く指摘。権力に屈せず、弱き者を守るファンの姿に、周りの民衆からは拍手喝采が湧き起こりました。このシーンは本当に胸が熱くなりました!

ファンとジェイは、少年が病気の姉のために盗みを働いたことを知ります。彼らもまた、碧川出身の孤児でした。ファンは少年に銀を与え、偶然その場に居合わせた刺客夫婦に、子どもたちの世話を頼むのでした。

しかし、宮殿では右議政チョ・ウォンボが、新たな陰謀を企てていました。彼は、呪いの手紙の筆跡から碧川の生き残りの存在を確信し、王に「碧川出身者の科挙受験資格を剥奪し、官職から追放すべきだ」と進言します。

引き裂かれる絆とファンの孤立

王がこの進言を受け入れたことで、宮殿は大混乱に。碧川出身というだけで、多くの者たちが職を追われてしまいます。もちろん、ミョンジンも例外ではありません。

ファンは父である王に「奸臣の言葉に惑わされないでください!」と必死に直訴しますが、王は激怒。それどころか、ファンを東宮殿に一ヶ月もの間、軟禁するという厳しい処分を下してしまうのです。

実は王もまた、チョ・ウォンボの強大な権力を前に、直接対抗できない苦悩を抱えていました。「軽率に動けば、呪いの矢がお前に向かう」とファンを諭しますが、操り人形になることを拒むファンは、父に反発し、深い孤独に突き落とされてしまいます。仲間たちとも引き離され、東宮殿に閉じ込められたファンの運命は、一体どうなってしまうのでしょうか。

『青春ウォルダム 呪われた王宮』第11話の感想

今回は、世子イ・ファンの民を思う心と、為政者としての気高さが際立つ回でした。街中で横暴を働く役人から少年を救う場面では、彼の正義感と洞察力に感銘を受けました。しかし、その真っ直ぐな正義感が、結果的に彼自身を宮殿内で孤立させてしまう展開は非常に皮肉です。父である王との対立も深まり、彼の苦悩がひしひしと伝わってきました。一方で、どんな状況でもファンを信じ、支えようとするミン・ジェイとの絆が、この重苦しい物語の中の確かな光になっています。右議政チョ・ウォンボの底知れない策略が本格的に動き出し、物語は新たな緊張感に包まれました。登場人物それぞれの正義と苦悩が交錯し、物語の深みを一層増したように感じます。

つづく