皇太子イ・ファンの前にひざまずき、家族殺害の汚名をそそぐため、自分をそばに置いてほしいと懇願したミン・ジェイ。彼女はわざと大声をあげ、自分を捕らえに来た追っ手とファンの両方に自分の存在をアピールします。これは、ファンに助けてもらう以外に道はないという、ジェイの覚悟の表れでした。
東宮殿では、ファンが謎の武士(ジェイ)を連れ帰ったという噂が、すでにスパイの耳にも入っていました。疑り深いファンは悩みますが、 결국ジェイを東宮殿に置くことを決意。ただし、「問題の答えは自力で見つけろ」とだけ言い、一枚の出入証を投げ与えます。こうして、ジェイの危険な宮廷生活が幕を開けました。
ファンの側近であるテガンは、正体不明のジェイを側に置くことに反対しますが、ファンは「彼女が何をしでかすか見ものだ」と、どこか面白がっている様子。
一方、ジェイの侍女ガラムは、ジェイをかくまってくれている変わり者の両班キム・ミョンジンに、なぜジェイを好きなのかと根掘り葉掘り聞かれています。ミョンジンはジェイに許嫁がいることなど気にしない様子で、ガラムに検視の技術を学ぶよう勧めます。しかし、ガラムが文字を読めないと知ると、まずはハングルを学び、自分の名前を書けるようになれと指導するのでした。
内官の服に着替えたジェイは、ひょんなことから後宮の庭で王女を助けます。見慣れない顔のジェイに興味を持った公主は、兄であるファンの元へ彼女を案内することに。道中、公主は「兄上は噂されているような冷酷な方ではないから、しっかりお仕えしてほしい」とジェイに語りかけます。
その言葉を聞きながら、ジェイはかつて父に言われた言葉を思い出していました。男装して事件の謎を解く娘に、父は「お前がやろうとしていることは、この世の道理と戦うことだ。それでもやり遂げる覚悟はあるか?」と問い、ジェイは「屋敷の中に閉じ込められたまま生きたくありません」と力強く答えたのでした。
その頃、ファンは自分に送られてくる「呪いの書」の差出人について頭を悩ませていました。そこにジェイと公主がやってきます。公主はジェイをすっかり気に入り、自分の宮殿に欲しいと言い出します。困ったジェイでしたが、ファンが機転を利かせ、「その者はコ・スンドルという私の内官だ」と、とっさに新しい名前を与えてくれました。
しかし、話の流れで公主はジェイ(スンドル)の家族が殺された事件に触れ、「姦夫のために家族を殺すなんて信じられない」と世間の噂を口にしてしまいます。その言葉は、ジェイの胸に深く突き刺さりました。
公主が去った後、ジェイはこれまでに兄の名で数々の事件を解決してきたことをファンに打ち明けます。彼女の能力に興味を持ったファンは、ジェイの力を試すため、二つの未解決事件の記録を渡し、これを解決するよう命じるのでした。
同じ頃、ジェイの元許嫁ハン・ソンオンは、祭文が血に染まった事件の鍵を握る人物を追っていましたが、一足遅く逃げられてしまいます。ソンオンは、一連の事件がファンを狙ったものであると確信し、父である領議政に相談。父は、王の血筋でありながら後ろ盾の弱いミョンアン大君を王位に就かせようとする勢力がいる可能性を示唆します。
夜になり、ジェイはテガンによって書庫の中にある密室へ案内されます。そこが彼女の隠れ家となる場所でした。テガンはジェイを信用しておらず、「妙な気を起こせば、ただではおかない」と鋭く警告します。
一人になったジェイは、密室に残された痕跡から、ここがファンが呪いの影響で自由の利かなくなった腕を、誰にも知られず血のにじむような努力でリハビリしていた場所だと気づきます。彼の孤独と苦悩に触れ、ジェイは必ず二つの事件を解決し、ファンの信頼を勝ち取ってみせると心に誓うのでした。
翌朝、寝坊したジェイは、東宮殿への道を忘れ、慌てて走り出します。ようやくたどり着いたものの、なんと靴を履き忘れており、他の内官たちから奇異の目で見られ、叱責されてしまいます。
その頃、ソンオンの部下が、逃亡中のジェイが落としたと思われる片方の靴を発見。「ミン・ジェイはまだ生きているかもしれない」という疑惑が、ソンオンの胸に芽生えるのでした。
『青春ウォルダム 呪われた王宮』第3話の感想
ファンとジェイ、二人の孤独な魂が少しずつ共鳴し始める、物語にとって重要な回でした。ファンがジェイに「コ・スンドル」という新しい名前を与える場面は、単にその場しのぎの嘘というだけでなく、彼がジェイを自分の領域に受け入れた証のように感じられ、印象的です。互いにまだ完全には信頼しきれていないものの、「呪いの謎を解きたいファン」と「家族殺害の汚名をそそぎたいジェイ」という共通の目的が、二人の間に確かな絆の芽生えを感じさせます。ジェイがファンの秘密の努力を知る場面も、彼女の彼に対する見方を変えるきっかけとなり、今後の関係性の変化を期待させます。シリアスな謎解きの中に、靴を忘れてしまうジェイのコミカルな一面が描かれるなど、緩急のバランスも絶妙で、物語への没入感を高めてくれました。
つづく