血の海からの逃走、そして明かされる犯人の「本当の名前」

物語は、セウンの誕生日プレゼントを開けて喜ぶ微笑ましいシーンから一転、ウンソがバンの車内に広がるおびただしい血痕を発見する緊迫の場面で幕を開けます。そこに現れたのは、もちろんあの男、チェ・ミングク。ウンソは機転を利かせて液状の何かをチェの顔に投げつけ、セウンの手を引いて森の中へ必死に逃げます。しかし、セウンは父の言葉が頭から離れず、ウンソの制止を振り切って足を止めてしまうのでした。

その頃、襲われたジョンヒョンとセヒョンは共に病院へ緊急搬送されていました。現場に駆けつけたホン・ジヌ刑事たちは、ジョンヒョンが抱いていたチェ・ミングクへの疑いが正しかったことを痛感します。

警察署では、チャンジン刑事が「青い樽事件」の資料からゴ・ドゥサムという男の顔写真を見つけ出します。しかし、そこに写っていたのは、なんとチェ・ミングクその人でした。これでついに正体が…と思いきや、物語はそんな単純な話ではなかったのです。

一方、NFS(国立科学捜査研究院)では、チョン医師がジュンギョンとキム・ミョングァンの会話を偶然耳にし、セヒョンが報告書を改ざんなどしていなかったと気づき、彼女を庇おうとします。その頃、当のチェ・ミングクは、セヒョンを助けようとした罰として、幼いセウンの頭にバケツを被せて座らせるという非道な仕打ちをしていました。

病院で意識を取り戻したセヒョン。ジョンヒョンもまた、危険な状態を脱したことがわかります。ホン・ジヌ刑事は、セヒョンが食料品店にノートを隠す防犯カメラ映像を発見し、彼女を問い詰めますが、セヒョンは固く口を閉ざしたままです。

別の刑事チームは、「青い樽事件」の調査のためハリョンへ。道中、彼らはチェ・ミングクがこれまで足を引きずるフリをしていたに違いないと推測します。町での聞き込み調査の結果、ある女性から衝撃の事実が語られます。チェ・ミングクはゴ・ドゥサムではなく、本名はユン・ジョギュンであること。彼はイ・ジョンミという女性と交際していましたが、彼女に酷い仕打ちをしていました。そしてジョンミは、娘をジョギュンの元に残し、ゴ・ドゥサムと駆け落ちしたというのです。

セヒョンの覚悟、そして全国民の前での告白

病院でホン刑事の追及を受け続けるセヒョンは、ついに口を開きます。「記者会見を開いてくれるなら、すべてを話す」と。彼女の狙いは、記者会見で自らをおとりにすることで、父であるユン・ジョギュンをおびき出し、逮捕させることでした。

そして、運命の記者会見が始まります。病室のベッドで目を覚ましたジョンヒョンも、テレビでその様子を見つめていました。

無数のフラッシュを浴びながら、セヒョンはマイクの前に立ちます。そして、彼女の口から放たれたのは、誰もが耳を疑う言葉でした。

「私は、ユン・ジョギュンの娘です」

さらに彼女は、1999年から続く連続殺人事件の犯人が父と自分自身であると告白し、第13話は幕を閉じるのでした。

『メスを持つハンター』第13話の感想

今回のエピソードは、これまで積み上げてきた謎や伏線が、予想もしない形で繋がり、そして崩壊していく圧巻の回でした。特に、セヒョンの最後の告白には言葉を失いました。彼女がこれまで抱えてきた秘密の重さ、そして父を止めるために自らをも犯罪者として告発するその覚悟を思うと、胸が張り裂けそうです。彼女の行動は、決して許されるものではないのかもしれません。しかし、そうするしかなかった彼女の絶望と孤独を考えると、単純に非難することはできません。また、犯人と思われたチェ・ミングクの正体が二転三転し、その背景にある複雑な人間関係が明らかになったことで、物語に一層の深みが加わりました。単なるサイコスリラーではなく、歪んだ親子関係や人間の業を描く、重厚な人間ドラマとしての側面が際立ったように感じます。物語は最終章へ向け、大きく舵を切りました。この衝撃を、私たちはどう受け止めればいいのでしょうか。

つづく