崖の上の真実…ウンソに何が起こったのか

物語は、あの崖での出来事の回想シーンから幕を開けます。これまでジョギュンに突き落とされたと思われていたウンソ。しかし、事実はもっと残酷でした。

ジョギュンに押されたウンソは、崖から落ちたものの、奇跡的に怪我だけで済んでいたのです!しかし、悪魔は彼女を見逃しません。再び崖っぷちへ引きずろうとするジョギュン。その前に立ちはだかったのは、なんと幼いセウンでした。妹が作った一瞬の隙を突き、ウンソは最後の力を振り絞ってジョギュンをプッシュ!今度こそ、ジョギュンが崖の下の岩場へと転落していきました。

しかし、悲劇はこれで終わりません。頭を負傷していたウンソは、セウンと共に森をさまよううちに力尽き、静かに息を引き取ってしまうのでした…。これが、セヒョンが長年抱えてきた罪悪感の、本当の光景だったのですね。

ジョギュンの狂気とセウンの危機

現在。病院にいるジョンヒョンのもとをセヒョンが訪れますが、ジョンヒョンは「君はもう十分だ」と彼女を捜査から遠ざけようとします。その直後、チャンジンからの電話で、ジョンヒョンは警察署へ。キム局長は未だにセヒョンの疑いを捨てきれず、ジョンヒョンは必死に真犯人であるジョギュンを追うべきだと説得します。

その頃、当のジョギュンは恐ろしい行動に出ていました。なんと、セウンを車の中に呼び出し、誘拐。血まみれになった彼女の制服だけを警察に送りつけてきたのです。

この制服は法医学ラボのチョン医師の元へ。彼女は、意図的に捜査を遅らせているヤン・ジュンギョンに対し、ナム・スンヒョプ事件の真相を暴露すると脅しをかけます。焦ったジュンギョンはキム・ミョングァンに泣きつこうとしますが、自分が彼に裏切られ、約束されていたポジションを他の誰かに与えられようとしていることを知ります。この裏切りが、ジュンギョンの心に変化をもたらしたようです。彼女はチョン医師の脅迫をミョングァンに報告しませんでした。これは今後の大きな波乱の予感…!

脱出、そして最悪のシナリオへ

ジョンヒョンからセウンの制服の話を聞いたセヒョン。彼女は、ジョギュンが病院に来てセウンを脅していたことを打ち明け、いてもたってもいられず探しに行こうとしますが、ジョンヒョンに固く止められてしまいます。

罪悪感に苛まれるセヒョンの元に、一輪の花束が届けられます。添えられた封筒には、なんと父親からのメッセージと、ある住所が記されていました。

一方、警察はセウンの制服が発見された場所の周辺を捜索しますが、手掛かりはなし。しかし、法医学チームから「制服の血は成人のもの」という驚きの報告が!つまり、セウンはまだ生きている可能性が高いのです!

その頃、ジョギュンは森の中で大きな青いドラム缶を引きずっていました。中には、おそらくセウンが…。さらに彼は、自身の密航を手配していた男と会いますが、「チケットは1枚しかない」と聞かされると、ためらうことなく男を殺害。「これで席が空いた」と呟く姿は、まさに狂気そのものです。

そしてラストシーン。森の中に放置された青いドラム缶の中から、助けを求めるセウンの必死の叫び声が響き渡るのでした…。

『メスを持つハンター』第15話の感想

今回のエピソードは、登場人物たちの心理描写の深さに改めて感嘆させられました。過去の悲劇の全貌が明らかになる一方で、現在の時間軸ではそれぞれのキャラクターが重大な岐路に立たされています。特に印象的だったのは、出世のために魂を売り渡しかけていたヤン・ジュンギョンが、上司の裏切りによって人間性を取り戻すかもしれない、という一筋の光が見えた点です。彼女の選択が、今後の捜査の鍵を握ることは間違いないでしょう。また、狂気を加速させるジョギュンと、罪悪感を抱えながらも妹を救うために決死の覚悟で病院を脱出するセヒョンの対比が鮮烈でした。単純なサスペンスに留まらない、人間の弱さや強さ、そして複雑な感情が丁寧に描かれており、物語に更なる奥行きを与えています。

つづく