物語は、幼い少女が床についた血の跡を必死に拭いている、なんとも不穏なシーンから幕を開けます。壁には、彼女自身の小さな血まみれの手形が…。この少女が、後にスーツケース詰めの遺体を路上に遺棄した張本人であることが示唆されます。

場面は変わり、事件現場。刑事のジョンヒョンは、ビニールに包まれたバラバラの遺体が入ったスーツケースを前に、険しい表情を浮かべています。彼は上司に対し、遺体が最初の事件と同じく「赤い糸」で結ばれていることから、同一犯による連続殺人事件だと強く主張します。

一方、国立科学捜査研究院(NFS)では、法医のセヒョンが同僚オ・ミノの失踪について問いただされていました。そこへジョンヒョンが現れ、新たな事件について報告。「赤い糸」の一言を聞いたセヒョンは、すぐさま捜査協力を快諾します。

解剖が始まると、すべての遺体の部位が赤い糸で結ばれていることが確認されます。そしてその中から、切断された指が一つ…。指紋を照合した結果、なんと被害者は行方不明だった同僚のオ・ミノだと判明するのです。セヒョンはジョンヒョンに衝撃の事実を告げます。犯人のものと思われる部分的な指紋も見つかりましたが、データベースには一致する人物はいませんでした。

NFS内部では、クァン院長がセヒョンに対し、別の事件であるナム・スンヒョプの件を不十分な報告書で終わらせるよう圧力をかけてきます。彼女がこれを拒否すると、院長はセヒョンの部下であるチョン・スヨンに、彼女の担当事件をすべて引き継ぐよう命じるというパワハラっぷり。組織の闇が垣間見えますね…。

ジョンヒョンは、ミノと最後に一緒にいたセヒョンから事情を聞きつつも、彼女を気遣う優しさを見せ、必ず犯人を捕まえると誓います。その頃、警察署では最初の被害者イ・ヨンジュのストーカーの映像が発見され、逮捕ムードが漂いますが、ジョンヒョンは犯人ではないと直感。映像に映っていたトラックを追うべきだと主張し、捜査の方向性を変えさせます。

執念の捜査の末、該当するトラックを発見したジョンヒョンたちは、所有者の住所へ急行。踏み込むと、そこにいたのはストーカーとそっくりの服装の男!激しい追跡の末、男を逮捕することに成功します。

物語の終わり、セヒョンは新たな発見をします。同僚から、イ・ヨンジュの体内から筋弛緩剤「パンクロニウム」が検出されたと報告を受けるのです。そして、ミノの遺体を包んでいたビニールとテープを再調査したセヒョンは、テープから指紋を採取するよう依頼。その指紋は、遺体から見つかった部分的な指紋と、見事一致したのでした!

『メスを持つハンター』第3話の感想

今回のエピソードは、新たな事件の発生によって物語が大きく動きました。被害者が主人公セヒョンの身近な同僚であったという事実は、彼女だけでなく視聴者にも大きな衝撃を与えたでしょう。犯人への個人的な憎しみと、法医としての冷静さを保たなければならないセヒョンの内面の葛藤が、ひしひしと伝わってきました。また、NFS内部での権力争いや、ジョンヒョン刑事の鋭い洞察力と人間味あふれるキャラクターが、重厚なサスペンスに深みを与えています。単なる猟奇殺人事件の謎解きに留まらず、登場人物それぞれの立場や思惑が複雑に絡み合う人間ドラマとしても、非常に見ごたえのある内容でした。最後に指紋という決定的な証拠が見つかり、捜査は新たな局面を迎えますが、まだまだ多くの謎が残されています。

つづく