今回は、これまで以上に息が詰まるような展開の連続で、見終わった後、思わず深いため息が出ちゃいました。信じていたものが揺らぎ、正義が孤立していく…。そんな第9話の衝撃的な内容を、早速振り返っていきましょう!
絡み合う疑惑と、セヒョンの危険な賭け
物語は、セヒョンの父からの不穏な電話で幕を開けます。父は彼女が進める証拠に関する「仕事」について触れ、助けなしでやり遂げるようにと釘を刺します。この会話自体が、セヒョンが何か危険な領域に足を踏み入れていることを暗示していましたね。
一方、警察署ではジョンヒョンが過去の未解決事件の再捜査を訴えますが、上司に一蹴されてしまいます。リソースの無駄だと一喝され、別の署にいる友人を頼るよう指示される始末。組織の壁にぶつかりながらも、彼の正義感は揺らぎません。しかし、そんな彼の心には、セヒョンへの拭いきれない疑念が渦巻いていました。彼女に電話をかけるも、応答はありません。
その頃、セヒョンは職場である国立科学捜査研究院(NFS)で、取り返しのつかない行動に出ていました。なんと、集めていた髪の毛を証拠品の袋に忍び込ませたのです。真実を暴くためとはいえ、法医学者として決して越えてはならない一線を越えてしまうセヒョン。その姿は、悲壮感に満ちていました。
時を同じくして、チェさんが警察署を訪れ、捜査チーム宛に一つの箱を残していきます。その中身が、後にとんでもない波紋を広げることになるのです。
四面楚歌!追い詰められるセヒョン
NFSに戻ったセヒョンを待っていたのは、さらなる逆境でした。同僚のジュンギョンから、ジョンヒョンにパンクロニウム(筋弛緩剤)の件を話してしまったと告白されます。さらにキム局長からは、龍川(ヨンチョン)に設置した臨時の解剖センターの撤退を一方的に宣告されてしまうのです。
「責任を取る」という約束を反故にされたセヒョンがオフィスに戻ると、そこには内部監査チームの姿が。報告書の捏造や虚偽申告の疑いで、彼女の私物は全て押収されてしまいます。
まさに四面楚歌。そんな彼女に追い打ちをかけたのが、オ・ミノの母親の出現でした。「息子の事件でも結果を操作したんだろう!」と詰め寄り、セヒョンを激しく罵倒。セヒョンが冷静に「あなたの息子も同類だった」と事実を告げると、逆上した母親に平手打ちされてしまいます。周囲から完全に信頼を失い、孤立していくセヒョンの姿は、見ていて胸が痛みました。
明かされた衝撃の映像と、悲しい決別
警察署では、チェさんが届けた箱に入っていたUSBメモリの解析が進んでいました。そこに収められていたのは…なんと、セヒョンが黒いスーツケースを引きずる衝撃的な映像!デジタルフォレンジックチームの分析により、その場所がヨンジュのストーカーだったクォン・ヒョンジョの家であることも判明します。
事態を重く見たジョンヒョンは、セヒョンの元へ向かいます。そして、彼女にスーツケースを運ぶ映像のキャプチャ画像を突きつけ、「何か隠していることがあるんじゃないか」と問い詰めるのです。
動かぬ証拠を前にしても、セヒョンは真実を語りません。ただ、静かに、そして悲しげにこう告げるだけでした。
「犯人を捕まえたら…もう二度と会うのはやめましょう」
ジョンヒョンへの想いを断ち切るかのような、あまりにもつらい決別の言葉。セヒョンは一体何を背負い、一人で戦おうとしているのでしょうか。謎と疑惑が極限まで高まったところで、第9話は幕を閉じました。
『メスを持つハンター』第9話の感想
今回の第9話は、主人公セヒョンがこれまでにないほど徹底的に追い詰められる姿が描かれ、非常に重厚な一時間でした。正義を追求するための行動が、皮肉にも彼女自身を社会的に抹殺する刃となっていく過程は、見ていて息苦しさを感じるほどです。特に、かつての仲間や上司から信頼を失い、内部監査まで入るという展開は、彼女の孤独を際立たせていました。
また、ジョンヒョンとの関係性の変化も今話の大きな見どころでした。セヒョンを信じたい気持ちと、目の前に突きつけられる疑わしい証拠との間で葛藤するジョンヒョンの苦悩が痛いほど伝わってきます。そして、彼に真実を明かせないまま、別れを告げるセヒョンの悲痛な決断。二人の間にできてしまった深い溝が、物語にさらなる深みを与えています。単純な勧善懲悪ではない、人間の複雑な心理や組織の矛盾を丁寧に描き出す脚本の巧みさを改めて感じさせられました。
つづく