ついに、チェリンが守り抜こうとした秘密が、最も残酷な形で暴かれてしまいました。本物のスアが突きつけた鑑定報告書に、養母のヘランは卒倒寸前。長年、娘の身代わりとして尽くしてきたチェリンの努力は、一瞬にして裏切りという名の烙印を押されてしまいます。
家族の視線は、氷のように冷たくチェリンに突き刺さります。特に、今まで父親として接してくれたはずの養父の失望は、チェリンの心を深くえぐりました。「なぜスアを隠していたのか」という問いに、チェリンは「スアが戻れば、自分は不要になるのが怖かった」と涙ながらに訴えます。20年間、愛されることを願い、必死に家族のために生きてきた彼女の悲痛な叫びは、しかし、誰の心にも届きません。
会社でも孤立し、父からも業務連絡は秘書を通せと突き放されるチェリン。まさに四面楚歌の状況です。
そんな中、事の真相を知ったジェサンは、チェリンの身を案じます。一方でスアは、心変わりしたウニョクを取り戻そうと、ジェサンから聞き出した彼の家を訪ねますが、冷たくあしらわれてしまいます。
チェリンは、テサングループのムン会長から、なぜウニョクの正体をスアに明かさないのかと問われます。それに対し、ジェサンは報復のように、ウニョクがかつてスアの誘拐を手助けしたという衝撃の事実をチェリンに告げるのでした。
チェリンの苦難は、これだけでは終わりません。祖母のヘグムは、チェリンが持つ会社の株式をスアに譲渡するよう、悪魔のような言葉で迫ります。「お前は三度も捨てられた。お前自身に問題があるからだ」――その言葉は、チェリンの心をズタズタに引き裂きました。しかし、チェリンはウニョクの過去の罪を清算するためにも、その要求を飲むことを決意します。
その夜、ついに養母ヘランの怒りが爆発。チェリンは、着の身着のままで家を追い出されてしまいます。裸足で玄関の前にうずくまり、絶望の涙を流すチェリン。その時、電話で一部始終を聞いていたウニョクが駆けつけます。彼は、まるで宝物を扱うかのように優しくチェリンを抱き上げ、車に乗せるのでした。その光景を、ジェサンとスアが複雑な表情で見つめていました。
ウニョクの家で、チェリンは株式譲渡の決意を語ります。それは、ウニョクを過去の罪悪感から解放するための決断でもあったのです。しかし、安息の時間は長くは続きません。会社のトラブルを口実にジェサンが現れ、チェリンを強引に連れ去ってしまいます。その光景を目撃したウニョクの瞳には、静かな怒りの炎が燃え上がるのでした。
『かくれんぼ』第35話の感想
今回のエピソードは、主人公チェリンがこれまで築き上げてきたものが、砂の城のように崩れ去っていく様が描かれ、見ていて非常に胸が締め付けられました。家族からの完全な孤立、信じていた人々からの裏切り、そして暴かれる過去の秘密。これ以上ないほどの逆境に立たされた彼女の姿は、痛々しくも、その強さに目を奪われます。特に、自分を追い詰める祖母の要求を、愛する人のためを思って受け入れる決断には、彼女の複雑な愛情の形が見て取れました。登場人物たちの感情が激しくぶつかり合い、それぞれの欲望や憎しみが物語をより深い場所へと導いています。ウニョクの無償の愛だけが唯一の救いですが、それすらも新たな火種となりそうで、今後の展開から目が離せません。
つづく