前回、ヨンスと一緒にソウルへ向かう途中で事故に遭ってしまったガンヒ。一体どうなってしまうのかとハラハラしましたが、物語はそこから一気に核心へと迫っていきました。

事故から目覚めたガンヒと、よみがえる過去の断片

病院で目を覚まさないガンヒを前に、自分を責めるスンジャの姿が意外でした。あれだけガンヒを呪うようなことを言っていたのに、心の底では心配していたんですね。その声が届いたのか、ガンヒはゆっくりと目を開けます。

モーテルに戻ったガンヒは、父チュンピルに、事故現場が母ミナが亡くなった場所と同じだったと告げます。あの事故の日に、なぜ父は来なかったのか。チュンピルは「大事な約束があった」と苦しそうに答えますが、その真相はあまりにも切ないものでした。

回想シーンで明らかになったのは、チュンピルが客とのトラブルで警察沙汰になり、逮捕されていたという事実。ミナと幼いガンヒがいくら待っても、彼が現れることはなかったのです。そして、母の死を知った幼いガンヒは、チュンピルの車に忍び込み、事故現場で母の亡骸を目撃してしまった…。そのショックで逃げ出したガンヒを、幼いヨンスが必死に探していたという記憶の断片も蘇りますが、ヨンス本人は覚えていない様子。この記憶のズレが、後々の展開に大きく関わってきます。

それぞれの愛の行方

一方で、他のキャラクターたちの恋模様も大きく動きました。

アルムは、親の決めた相手から無理やり車に乗せられそうになったところをスンオンに助けられます。これを機に、二人はアルムの母親を説得しようと決意しますが、母親は「孤児とは結婚させられない」とスンオンを侮辱し、アルムに平手打ち…。スンオンが孤児であったこと、そして彼がモーテルを離れられない理由が、母が残した「必ず戻ってくる」という手紙を信じているからだという事実も明かされ、胸が締め付けられましたね。

ハンウの元カノ・ミンジョンが登場し、一瞬ヒヤッとしましたが、彼女は結婚の報告に来ただけでした。牛の病気を口実にハンウを引き留めようと走るナヌの姿が健気で可愛らしかったです。

ついに明かされる、あの日の真実

ソウルの自宅で、ガンヒはベッドの下から小さなテディベアを見つけます。それが引き金となり、忘れていた記憶が一気に蘇りました。

納骨堂で母と向き合ったガンヒは、すべてを思い出します。「カリフォルニアに行こう」と約束した母。しかし、父は現れない。不安になった幼いガンヒは、眠っている母の足と自分の足を赤い糸で結びます。しかし、朝、目を覚ますと母の姿はなく、手にはあのテディベアが…。

そして、衝撃の事実が明かされます。幼いガンヒは、母がまたどこかへ行ってしまうと思い、テディベアを車の排気管に詰めてしまったのです。それが、あの悲しい事故の直接の原因でした。

すべてを思い出したガンヒは、ヨンスに別れを告げようとします。しかし、ヨンスは「話す気になるまで待ってる」と、ただ優しく彼女を包み込むのでした。

物語のラスト、ガンヒはヨンスに「私が両親を殺したの」と真実を告白します。そして、「愛してる」という言葉を残し、彼の元を去っていくのでした…。

『モーテル・カリフォルニア』第10話の感想

今回のエピソードは、登場人物たちが抱える過去の傷と、それに向き合おうとする姿が深く描かれていました。特に、ガンヒが記憶を取り戻していく過程は、見ているこちらも胸が苦しくなるほどでした。彼女が背負うことになった真実はあまりにも重く、幼い頃の純粋な行動が引き起こした悲劇だと思うと、言葉を失います。また、不器用ながらも娘を愛し、ヨンスに託そうとする父チュンピルの愛情にも涙を誘われました。彼はスンオンに自分の遺影を撮らせていましたが、彼の健康状態も気になるところです。愛するがゆえのすれ違いや、残酷な運命に翻弄されるキャラクターたちの姿に、ただただ感情を揺さぶられる1時間でした。

つづく