第9話は、そんな二人の甘いキスシーンから幕を開けます。 「もう周りの幸せばかり考えない。君だけを幸せにする」というヨンスのストレートな告白に、思わず頬が緩んでしまいますよね。

幸せな気分でモーテルに戻ったガンヒですが、そこにはソクギョンから贈られたネックレスが…。時を同じくして、ソクギョンはイベントプランナーたちと何やら壮大な計画を練っている様子。そう、彼が企んでいたのは、なんとガンヒへのサプライズ公開プロポーズでした!

モーテル建設の噂を払拭するためという名目でネックレスを受け取ってしまったガンヒ。ヨンスはその理由を理解し笑い飛ばしますが、ガンヒは「ネックレスを返してからが、私たちの本当の始まり」と宣言します。

しかし、ソクギョンの計画はそんな二人をあざ笑うかのように実行されます。街中の人々から次々とバラの花を渡され、たどり着いた先ではバンドを背に歌うソクギョンの姿が。そして、大観衆の前でひざまずき、指輪を差し出すという、あまりにも大掛かりなプロポーズが繰り広げられるのです。

一方、ヨンスはガンヒのために、ソクギョンが贈ったものと似たネックレスを探しますが、あまりの値段の高さに愕然。それでも諦めきれず、必死に仕事に打ち込む姿が健気で胸を締め付けられます。

そんな中、物語は二人の恋愛模様だけでなく、周囲の人間関係にも深く切り込んでいきます。

  • 友人たちの恋と秘密: アルムはスンオンへの恋心をガンヒに打ち明けます。同時に、父親から長年DVを受けており、結婚から逃れるために勉強を続けているという衝撃の事実も告白します。
  • ソクギョンの過去と誤解: ガンヒにフラれた(と本人は思っている)ソクギョンは、元婚約者のエスターと再会。そこで、彼女が拒絶したのは政略結婚そのものであり、ソクギョン自身ではなかったことを知ります。さらに、エスターの夫ビクターが「いとこ」とキスしている現場をガンヒと共に目撃。ショックを受けたエスターは腹痛を起こし、病院に運ばれてしまいます。
  • 親世代の因縁: ヨンスの母スンジャは、二人の交際に猛反対。ガンヒの父チュンピルに詰め寄りますが、チュンピルは意外にも「お前にいじめられるより財閥と一緒になる方がマシだ」と一蹴し、ガンヒを守る姿勢を見せます。しかし、ヨンスとガンヒ本人たちには「住む世界が違う」と交際に反対の言葉を告げるのでした。

周囲の反対や様々な事件が起こる中、ヨンスとガンヒはついにオープンに付き合うことを決意し、お揃いの指輪を購入。しかし、幸せな時間も束の間、ヨンスの母スンジャはガンヒに「お前の母親のように天罰が下る」という呪いのような言葉を吐き捨てます。

この言葉が引き金となったのか、ソウルへ向かう車の中で、ガンヒは幼い頃に両親が事故に遭った時の幻覚を見てパニックに陥ります。彼女を落ち着かせようとしたヨンスがハンドルを切った瞬間、向かってくるトラックが…。物語は、ガンヒが病院に緊急搬送されるという衝撃的なシーンで幕を閉じます。

『モーテル・カリフォルニア』第9話の感想

甘い恋愛模様から一転、登場人物たちが抱える闇や過去の因縁が一気に噴出した、非常に密度の濃い回でした。ヨンスとガンヒがようやく結ばれたかと思えば、ソクギョンの度を越したプロポーズや、親世代からの根深い反対が立ちはだかります。特に、友人アルムが抱える家庭内暴力の問題や、エスターの夫の裏切りなど、サイドストーリーも決して軽視できない重さを持っていました。幸せに向かおうとする主人公たちを、過去のトラウマや親の因縁が容赦なく引き戻そうとする展開は、見ていて心が痛みます。ラストの事故シーンは、二人の幸せな未来を暗示する写真が示された直後だっただけに、その落差に言葉を失いました。単純なラブストーリーに留まらない、本作の奥深さを改めて感じさせるエピソードです。

つづく