ついに新首都・漢陽(ハニャン)へと移り、新たな国づくりが始まった朝鮮。しかし、王イ・バンウォンの前には、私腹を肥やす権力者たちという巨大な壁が立ちはだかっていました。王は早速、彼らへの粛清を開始します。その矛先が、他ならぬ王妃ウォンギョンの実家、ミン氏一族にも向けられるとは、この時のウォンギョンはまだ知りませんでした。

王は、ミン氏が世子(セジャ)を後ろ盾にして権力を掌握しようと企んでいること、そして不正に奴婢を増やしていることを突き止めます。調査を命じられたイ・スクポムと、軍の要職を狙う王妃の弟が衝突し、乱闘騒ぎにまで発展。この一件は、王とミン氏の間に決定的な亀裂を生むきっかけとなるのでした。

そんな中、明の使節が「貢女」を要求するという、国を揺るがす事態が発生します。即位時に廃止を誓ったはずの悪習の復活に、ウォンギョンは自ら動くことを決意。使節団を接待する裏で、長である使節の弱みを巧みに突き、見事に要求を撤回させる離れ業をやってのけます。その交渉術は、まさに王妃の器そのものでした。

しかし、本当の嵐はこの後にやってきます。

ミン氏一族に忠誠を誓う軍人たちに激怒した王は、なんと「世子に王位を譲る」と宣言! これは、不忠な臣下をあぶり出すための、あまりにも危険な罠でした。このままでは世子の命が危ない。そう悟ったウォンギョンは、王の策略を逆手に取る、驚くべき行動に出ます。

彼女は、養蚕の神への儀式を口実に、王の譲位宣言を撤回するよう迫ります。もし聞き入れないのなら、「兄たち、そして世子と共に、あなたに反旗を翻す」と。これは事実上の宣戦布告。王妃が王に、真っ向から戦いを挑んだ瞬間でした。

王妃の覚悟を前に、さすがの王も「王妃と争うことはできぬ」と本音を漏らし、彼女の要求を飲むしかありませんでした。

こうして最大の危機は乗り越えられましたが、問題の根源であるミン氏の奴婢問題は残ったまま。ウォンギョンが調査を進めると、遷都の混乱に乗じて民の家を奪い、人々を奴婢に貶めた巨大な陰謀の存在が明らかになるのでした。

『元敬(ウォンギョン)~欲望の王妃~』第13-14話の感想

今回のエピソードは、王と王妃の息詰まるような知略戦が圧巻でした。特に、王が仕掛けた「譲位宣言」という危険な罠に対し、王妃が「反逆」をちらつかせて対抗する場面は、二人の関係の深さと複雑さを象徴しているように感じます。彼女は単に夫に逆らっているのではなく、夫の策略の危険性を誰よりも理解し、息子である世子を守るために最善の一手を打ったのです。それは、王妃としての務めであり、母としての覚悟の表れでした。互いの手の内を読み合いながらも、どこかで深く理解し合っている。そんな二人の緊張感に満ちた関係性が、このドラマの大きな魅力だと改めて感じさせられました。

つづく