いやはや、今回も息つく暇もない展開でしたね!王妃としての地位を固めようとする元敬と、夫であり王であるイ・バンウォンの間の溝が、いよいよ決定的になっていく様子が描かれた第17-18話。信じていた人々に次々と裏切られ、孤独を深めていく元敬の姿には、胸が締め付けられる思いでした。
孤独な王妃、反撃の狼煙
物語は、次期王妃となる皇太子妃選びから幕を開けます。権力者イ・スクポムは自分の娘を猛プッシュ。王も彼の持つ兵力を手に入れるため、この縁談に乗り気です。しかし、我らが元敬王妃はそんな政治的な取引を許しません。
彼女が目を付けたのは、イ・スクポムの娘ではなく、偶然見かけた名もなき少女でした。その少女の謙虚で心優しい人柄に、未来の国母としての資質を見出したのです。
王妃は、皇太子妃候補の二人による「綿織り対決」を提案します。もちろん、これは単なる技術を競うものではありません。民の暮らしを思う心があるかどうかを試すためのものでした。案の定、イ・スクポムの娘は、侍女のチェリョンと結託してズルをします。あらかじめ織られた布をこっそり持ち込み、さも自分が織ったかのように見せかけたのです。
しかし、元敬王妃の目はごまかせません。翌日、改めて織る過程を実演させ、その不正を鮮やかに暴いてみせます。王の意向に反してでも、正しいと思う道を選ぶ。これぞ元敬の真骨頂ですね。こうして、王妃が選んだ少女が新しい皇太子妃となるのでした。
ところが、喜びも束の間、元敬に次々と悲劇が襲いかかります。
新皇太子妃の誕生を祝う恩赦で解放された罪人たちが、なんと元敬の二人の弟たちを「謀反を企んだ」と告発したのです。これは明らかに、王妃の力を削ごうとする者たちの罠。しかし王は、その訴えをあっさりと受け入れ、弟たちを済州島への流罪に処してしまいます。
さらに、王妃の腹心であるチェリョンが、とんでもない裏切り行為に。王に取り入ろうと、王妃の私設情報網の要であるパンスの存在をイ・スクポムに密告。時を同じくして、元敬の父親がこの世を去ります。
父の死を悲しみ、弟たちの流罪に心を痛める元敬に、追い打ちをかけるように衝撃の知らせが届きます。王が、最後まで忠誠を誓ってくれたパンスを処刑したというのです。信頼していた家族、そして忠実な部下まで、すべてを一度に失ってしまった元敬の絶望は、察するに余りあります。
完全に孤立無援となった元key。しかし、彼女はここで終わりません。
密かに宮殿を抜け出し、パンスの亡骸を弔う中で、飢饉に苦しむ民への施し米が役人によって横領されている事実を突き止めます。さらに、パンスが死の直前まで行っていた調査の記録を発見。そこには、高官たちが皇太子に賄賂を贈り、将来の地位を約束させていたという、宮廷を揺るがす不正の証拠が記されていました。
すべてを失った王妃が、亡き部下の遺した最後の希望を手に、静かに反撃の狼煙を上げる…そんな劇的なラストでした。
『元敬(ウォンギョン)~欲望の王妃~』第17-18話の感想
今回のエピソードは、元敬が築き上げてきたものが次々と崩れ落ちていく、非常に苦しい回でした。特に、夫である王が彼女の弟たちを切り捨て、腹心であるパンスを処刑する場面は、二人の関係がもはや修復不可能な段階に至ったことを示しています。王の行動は、王権強化という大義名分のもとに行われますが、その裏には妻への嫉妬や劣等感が渦巻いているように見え、彼の人間的な弱さが際立っていました。信頼していた侍女チェリョンの裏切りも、元敬の孤独を一層深める残酷な仕打ちです。しかし、そうした絶望的な状況の中で、彼女は決して屈しません。父の死や弟たちの流罪という悲しみを乗り越え、民のための施し米の不正や、パンスが遺した汚職の証拠を見つけ出す姿は、彼女の持つ本来の強さと為政者としての気高さを改めて感じさせました。ただ権力を求めるのではなく、正義を貫こうとする彼女の孤独な戦いは、観る者の心を強く打ちます。
つづく