『元敬~欲望の王妃~』第9-10話、今回も息もつかせぬ展開でしたね!王と王妃、かつては同志として手を取り合ったはずの二人の間に、これほど深い溝が生まれてしまうとは…。権力という魔物が、いかに人の心を変えてしまうのかをまざまざと見せつけられた回でした。

物語は衝撃的な場面から始まります。王が、側室であるヨンシルを斬りつけようとした刺客から守るため、彼女を突き飛ばします。しかし、その一撃が原因で、ヨンシルは二度と子供を授かれない体になってしまいました。この出来事を知ったチェリョンは、王の寵愛が自分に向くと考え、ほくそ笑むのでした。

一方、王は公正な国を再建するため、私腹を肥やす臣下たちの権力を削ぐ計画を静かに進めていました。その一環として、上王が都を移した際に臣下たちが不正に土地を買い占め、民を苦しめていた事実を突き止めます。

そんな中、王は王妃の強大化する影響力を抑えるため、新たな側室を迎えることを決意。しかも、ただの側室ではなく、楽師の娘を正式な婚礼の儀式をもって迎え入れようとします。これは、王妃に対する明確な牽制でした。

傷の癒えないヨンシルは王にすがりつきますが、冷たく突き放されてしまいます。しかし、それを見ていた王妃は、ヨンシルの息子を自分の息子たちと同じように愛し、育てることを誓うのでした。

王が新たな側室を正式な婚礼で迎えるという話は、すぐに王妃の耳に入ります。王妃は王に激しく詰め寄り、「正式な婚礼は新たな王妃を迎えるという噂を呼び、再び血なまぐさい争いを引き起こす」と警告。そして、自らの命を盾に、抗議の意を示すため宮殿を去り、実家へと戻ってしまいます。

王妃が去った宮殿で、王は一人落ち着かない日々を過ごします。王としての責任に縛られる前の、純粋に愛し合っていた頃の二人を思い出し、心は乱れるばかり。結局、王は新たな側室を正式な婚礼なしで迎えることを条件に、王妃を宮殿に連れ戻すことを決意します。

こうして、新たな側室ヒョスン王女が宮殿に入りますが、そこにはチェリョンの傲慢な態度が待ち受けていました。王との近さをひけらかすチェリョンでしたが、その様子を王に聞かれ、厳しく叱責されます。その後、王は王妃にチェリョンの躾を命じますが、王妃は罰する代わりに、的確な助言を与えるという意外な方法で彼女を諭すのでした。

物語の終盤、王妃は謀反の動きを鎮圧する準備を進める王の目を盗み、実家で情報提供者であるパンスと密会します。しかし、王の命令で王妃を監視していたチェリョンがその現場を目撃。王妃はチェリョンを捕らえ、「パンスの正体を漏らせば、お前を宮殿から追放する」と鋭く脅しつけます。

そしてラストシーン。王妃はチェリョンを入浴に誘います。湯気が立ち込める中、王妃がチェリョンに手をかけようとするかのような、不穏で緊迫した雰囲気のまま、第5話は幕を閉じるのでした。

『元敬~欲望の王妃~』第5話の感想

今回のエピソードは、王と王妃の権力闘争が、もはや単なる夫婦喧嘩の域を完全に超え、国を揺るがす政争そのものであることを改めて感じさせました。王妃が実家に戻るという行動は、単なる感情的な家出ではなく、彼女の一族の権勢を背景にした高度な政治的駆け引きです。一方で、そんな王妃の不在に寂しさを覚え、過去を懐かしむ王の人間らしい一面も描かれ、二人の関係の複雑さに深みを与えています。王妃がチェリョンを罰するのではなく、助言を与える場面は、彼女がただ強いだけでなく、人心掌握術にも長けた優れた策略家であることを示していました。権力を巡る争いの中で、それぞれのキャラクターが抱える孤独や愛情、そして野心が交錯し、物語から目が離せません。

つづく