前回、社会的責任財団の闇に迫ったカン・ヨハン(チソン)でしたが、今回はチョン・ソナ(キム・ミンジョン)率いる財団側の猛烈な反撃から幕を開けます。

悪女ソナの罠、窮地に陥るヨハンとガオン

ソナはまず、ヨハンの手足である協力者たちを襲撃。ヨハンの目の前で協力者の一人が無残に殺害されます。さらに、部下を使ってキム・ガオン(ジニョン)を袋叩きにさせ、その様子をヨハンにテレビ電話で見せつけるという悪魔の所業…!愛する者を傷つけられ、血の海に倒れる仲間を前に何もできないヨハンの絶望が、画面越しに突き刺さります。

ガオンはヨハンからの連絡を受けたユン・スヒョン(パク・ギュヨン)によって、かろうじて救出されます。一方、ヨハンが急いで屋敷に戻ると、そこにはなんとソナが!姪のエリヤと仲良くケーキを食べているという、悪夢のような光景が広がっていました。ソナは銃をちらつかせながらヨハンを精神的に追い詰めます。彼女の歪んだ愛情と執着は、もはや狂気の域に達していますね。

束の間の安らぎと、あまりにも切ないキス

傷ついたガオンを、スヒョンが手当てします。これまでずっとガオンを想い続けてきたスヒョンと、ヨハンのやり方に悩みながらも、彼女の存在に救われてきたガオン。二人の間に流れる穏やかな空気の中、ガオンは思わずスヒョンにキスをします。しかし、この束の間の幸せが、後に訪れる悲劇をより一層際立たせることになるなんて…。

メディアを操り、国民を欺く権力者たち

その頃、ソナやホ・ジュンセ大統領らは、ヨハンを完全に叩き潰したと祝杯をあげていました。彼らは貧民街で発生したとされる「変異ウイルス」をでっち上げ、夜間外出禁止令を発令。不安を煽って国民を支配し、邪魔者を排除しようという汚いやり口です。

オ・ジンジュ判事(キム・ジェギョン)は当初、このプロパガンダに加担していましたが、ガオンの説得と、実際に貧民街で「竹槍部隊」と呼ばれるならず者たちが無実の市民を弾圧する様子を目の当たりにし、自分が利用されていたことに気づきます。権力への野心と正義感の間で揺れ動いていた彼女が、ついに目を覚ました瞬間でした。

反撃の狼煙!貧民街での移動法廷

権力者たちは、ヨハンの武器である「国民公開裁判」を中止に追い込みます。しかし、ヨハンは決して諦めません。彼はなんと、弾圧の現場である貧民街に機材を持ち込み、移動法廷を開いて全国に生中継するという大胆な作戦に打って出ます!

竹槍部隊が襲いかかり、ガオンが頭を殴られて負傷、市民が殺されるという地獄絵図の中、ヨハンは声を張り上げます。大統領の命令で電力供給が絶たれ、辺りが真っ暗になっても、市民たちがスマートフォンのライトを掲げてヨハンたちを照らし、配信は続行。その光景は、民衆の怒りと希望の光そのものでした。市民の協力も得て、ついに竹槍部隊を追い払うことに成功します。

衝撃のラスト…ガオンを襲う最大の悲劇

戦いが終わり、ガオンを迎えに来たスヒョン。しかし、その背後から忍び寄る影が…。一発の銃声が響き渡り、スヒョンはその場に崩れ落ちます。ガオンの腕の中で、彼女は最後の力を振り絞って愛を告げ、息を引き取りました。愛する人を目の前で失ったガオンの、天を裂くような慟哭が響き渡り、13話は幕を閉じます。

『悪魔判事』第13話の感想

このエピソードは、登場人物たちの感情が激しくぶつかり合い、物語が大きく動いた回でした。特に印象的だったのは、対照的な二つのシーンです。一つは、ガオンとスヒョンの切ないキスシーン。やっと想いが通じ合ったかのように見えた二人の束の間の幸せが、視聴者の心を温めました。しかし、その直後に訪れるラストの悲劇が、その温かさを無慈悲に奪い去ります。この構成はあまりにも巧みで、残酷です。スヒョンの死によって、ガオンが抱いていた正義のあり方やヨハンへの想いが、決定的に変化することを予感させました。権力者たちの非道な策略と、それに屈しない市民の力の対比も鮮やかで、物語の持つ社会的なメッセージ性を強く感じさせます。単なる勧善懲悪ではない、複雑な人間ドラマの深みを見せつけられた回でした。

つづく