いやあ、今回の『悪魔判事』第14話は、本当に息をするのも忘れるほどの展開でしたね…。信じていたものがガラガラと崩れ落ち、正義とは何か、悪とは何かを改めて突きつけられました。早速、怒涛の第14話を振り返っていきましょう!
スヒョンのいない世界で
物語は、あまりにも悲しいユン・スヒョンの葬儀から始まります。同僚たちが涙にくれる中、キム・ガオンはただ一人、離れた場所で呆然と立ち尽くすだけ。幼い頃からの思い出が走馬灯のように駆け巡り、彼の心は張り裂けんばかりでした。皆が去った後、墓碑にすがりついて号泣するガオンの姿は、見ているこちらの胸も締め付けられます。
そんなガオンを無理やり連れ帰り、介抱するのはカン・ヨハンでした。意識を取り戻したガオンは、すぐにでも犯人を見つけ出し、スヒョンの仇を討とうと息巻きます。しかし、そんな彼を必死に引き留めたのは、車椅子の上から見守るエリヤでした。「無謀なことをして命を落としたら、スヒョンさんが悲しむ」というエリヤの言葉に、ガオンはかろうじて冷静さを取り戻します。
ヨハンは、犯人の狙いがライブ法廷ショーの阻止にあると分析し、傷心のガオンを「一緒に真犯人を炙り出そう」と力強く励まします。そして二人は、オ・ジンジュ陪席判事と共に記者会見を開き、犠牲者のための正義を誓うのでした。
追い詰められる悪、そして新たな策略
一方、ヨハンの反撃を恐れるホ・ジュンセ大統領、ミン・ヨンシク、パク・ドゥマンら社会的責任財団の面々はうろたえるばかり。そこへ、不敵な笑みを浮かべたチョン・ソナが現れ、「まずはカン・ヨハンの退路を断つ」という悪魔的な計画を授けます。ソナの筋書き通り、ホ大統領は国民の前で偽りの謝罪を演じ、すべての責任を現場の暴徒に押し付けようと画策します。
その頃、ガオンは失意の底にいました。スヒョンが遺したボイスメッセージを繰り返し聞き、一人涙に暮れる日々。そんな彼を、ヨハンはウイルス専門家ユン・ミョンジンの元へ連れて行きます。そこで明かされたのは、貧民街で流行していたのは変異ウイルスなどではなく、死因は栄養失調だったという衝撃の事実。青瓦台が研究データを封鎖し、真相を隠蔽していたのです。ヨハンはミョンジンに法廷での証言を依頼します。
電気椅子と裏切りの声明
そして、公開裁判が開廷。被告は、老人を撲殺した暴徒のリーダー、キム・ジュウォンです。弁護側は「戦時状態での偶発的な事件」と主張しますが、ヨハンは証人としてユン・ミョンジンを召喚します。しかし、ミョンジンはすでにこの世の人ではありませんでした。弁護側は「ウイルスに感染して死んだ」と主張し、被告のジュウォンはほくそ笑む始末。
追い詰められたヨハンは、ある映像を法廷で流します。それは、ホ大統領が「不公正な裁きには市民が立ち向かえ」「殺人は死刑で償うべきだ」と演説する映像でした。ヨハンは、ジュウォンがこの演説に扇動されたと断定し、彼に「死刑」を求刑。国民投票は75%が死刑を支持し、ヨハンは24時間後に電気椅子による死刑を執行すると宣言します。法廷は騒然となりました。
しかし、この判決に待ったをかけた人物がいました。ガオンの恩師であるミン・ジョンホです。彼はヨハンのやり方に反対し、辞職を表明。そしてガオンに衝撃の事実を告げます。「スヒョンは生前、ヨハンと教会の火事について調べていた。真相に近づいた矢先に殺されたんだ」。
恩師の言葉に、ガオンの心は激しく揺さぶられます。彼はヨハンに死刑の中止を求めますが、ヨハンは取り合いません。
そして運命の時。電気椅子に縛り付けられたジュウォン。実は彼はホ大統領から「途中で電源を切る」と約束され、強気な態度を崩しませんでした。ヨハンが執行を命じ、ジュウォンが電流に苦しむその瞬間――。
キム・ガオンが、突如として声明を発表します。
「公開法廷は…すべて捏造でした」
この一言で、すべてが凍りつきました。法務部からヨハンに死刑執行の中止命令が下され、第14話は幕を閉じるのです。
『悪魔判事』第14話の感想
今回のエピソードは、登場人物それぞれの「正義」が激しく衝突し、物語を大きく動かしました。特に、最愛の人を失ったガオンの選択は、非常に重く、考えさせられるものでした。彼の行動は、ヨハンへの裏切りに見えますが、それは同時に、暴走しかねない「悪魔」を止めようとする、彼なりの正義の発露だったのかもしれません。恩師ミン・ジョンホの言葉と、スヒョンが遺した謎が、彼の信念を根底から揺るがしたのでしょう。
一方で、カン・ヨハンが見せた電気椅子という過激な手段は、彼が抱える闇の深さを改めて感じさせました。悪を裁くためなら、自らも悪に染まることを厭わない。その危うい正義が、ついに最も信頼していたはずのガオンにまで牙をむかれる結果となったのは皮肉です。善と悪の境界線が曖昧になっていく中で、視聴者である私たちもまた、本当の正義とは何かを問われているようでした。
つづく