第5話のラストでカン・ヨハンが何者かに拉致されるという衝撃的な展開でしたが、第6話はその謎から幕を開けました。ヨハンの過去、そして彼を狙う真の敵の姿が明らかになり、息つく暇もないとはまさにこのこと。早速、第6話の濃密なストーリーを振り返っていきましょう!

拉致されたヨハン、明かされる過去の因縁

ガオンが目を覚ますと、ヨハンの姿がありません。心配するガオンに、姪のエリヤは意外な言葉を口にします。彼女もまた、ヨハンを憎みながらも心の底では案じていたのです。そして、エリヤは衝撃的な過去を語り始めます。かつて屋敷にいた家政婦がヨハンを慕っていたこと、そしてその家政婦をヨハンが2階のバルコニーから飛び降りさせ、死に追いやったというのです。

その頃、拉致されたヨハンの前に現れたのは、社会的責任財団の理事チョン・ソナでした。彼女が「坊ちゃん」と呼びかけると、ヨハンの脳裏にかつての記憶が蘇ります。ソナこそ、あの家政婦だったのです。しかし、真相はエリヤが語ったものとは少し違いました。ソナはヨハンの兄の母親が遺したネックレスを盗み、それを知ったヨハンが彼女に飛び降りるよう命じたのでした。ソナはヨハンに薬物を注射し、部下に命じて屋敷へ送り返します。

束の間の平穏と、亀裂の始まり

ふらつきながら帰宅したヨハンが見たのは、ソファで彼を待ちながら眠ってしまったガオンとエリヤの姿でした。翌朝、ガオンが作った温かい朝食を3人で囲むシーンは、このドラマには珍しい、心温まる家族のようなひとときでした。しかし、その平穏は長くは続きません。

ガオンがエリヤをスヒョンに会わせるため外に連れ出したことを知ったヨハンは激怒。ガオンを殴りつけ、泣き叫ぶエリヤを無理やり連れ帰ってしまいます。エリヤを守ろうとするヨハンの歪んだ愛情と、ガオンの正義感が、早くも衝突の火花を散らします。

ソナとギョンヒの恐るべき共謀

その裏で、チョン・ソナと法務部長官チャ・ギョンヒは、財閥の夫人たちを脅し、「夢の地域社会プロジェクト」への土地の寄付を強要していました。恐怖に怯える夫人たちをなだめ、裏で糸を引くソナの姿は、まさに悪女そのもの。彼女たちの真の目的は、国民のためではなく、私腹を肥やすことでした。ソナの次の狙いは、ヨハンが「守ろうとしているもの」を突き止めることでした。

疑惑の連鎖、引き裂かれる信頼

スヒョンは、過去の裁判の証人だったチャン・ギヒョン博士が偽証したのではないかと疑い、独自に調査を進めていました。しかし、ガオンに電話で報告している最中、何者かに襲われ意識を失ってしまいます。

時を同じくして、チャ・ギョンヒは記者会見を開き、「ヨハンが証人を買収して偽証させた」と大々的に発表します。これを知ったガオンは、スヒョンを襲ったのもヨハンの仕業だと確信し、怒りに任せてヨハンに殴りかかります。激しい殴り合いの末、ヨハンはガオンを気絶させ、「俺じゃない」と繰り返し呟くのでした。二人の間に生まれた信頼は、ソナとギョンヒが仕掛けた巧妙な罠によって、脆くも崩れ去ろうとしていました。

法廷での大逆転劇!悪魔の反撃開始

偽証疑惑で一気に窮地に立たされたヨハン。彼は国民が見守る法廷で、重要な声明を発表すると宣言します。ソナやギョンヒをはじめとする権力者たちが、固唾をのんで中継を見守る中、事態は誰も予想しなかった方向へ動きます。

なんと、死んだと思われていた証人チャン・ギヒョン博士が法廷に現れ、自らの証言が真実であったことを認めたのです。ヨハンが彼に渡した金は、買収のためではなく、彼の苦しい生活を見かねた援助だったと明かされました。そしてヨハンは、判事職の辞任を表明。その潔さに、国民の支持率は92%にまで跳ね上がります。

クライマックスはここからでした。ヨハンは、国民の絶大な支持を背に、チャ・ギョンヒ、ホ・ジュンセ、ミン・ヨンシク、パク・ドゥマンといった権力者たちが、「夢の地域社会プロジェクト」の名目で国民から集めた寄付金を横領している事実を暴露します。騒然となる法廷。悪魔判事カン・ヨハンによる、壮大な反撃の狼煙が上がった瞬間でした。

『悪魔判事』第6話の感想

今回は、物語の根幹をなすヨハンとソナの過去の因縁が明らかになり、一気に深みが増しました。単なる敵対関係ではなく、かつての「坊ちゃんと家政婦」という歪んだ主従関係が、現在の権力闘争に影を落としている構図は見事です。また、ヨハン、ガオン、エリヤの3人が見せた束の間の家族のような朝食シーンが、その後の亀裂と対立をより一層際立たせていました。あの温かい光景があったからこそ、ガオンの疑念やヨハンの孤独が痛いほど伝わってきます。ヨハンが守ろうとするものが何なのか、そしてソナが何を奪おうとしているのか、その謎が今後の物語を牽引していくのでしょう。権力者たちの不正を白日の下に晒したラストの法廷シーンは痛快でしたが、ヨハンのやり方が真の正義なのかという問いは、より重く私たちにのしかかってきます。彼の孤独な戦いの先に何があるのか、目が離せません。

つづく